カルノーサイクル
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カルノーサイクルは、温度 TH, TL の間で動作する可逆熱サイクルの一種で、一番能率のよいものである。実現不可能だが、限りなく近いものは作れる(スターリングエンジンはこれに近い)。
ニコラ・レオナール・サディ・カルノー(1796~1832)が熱機関の研究のために思考実験として1820年代に導入したものである。これによって本格的な熱力学が始まり、熱力学第二法則、エントロピー等の重要な概念が導き出されることになった。
[編集] サイクル
次の各過程が準静的(可逆的)に行われるものとする。
- 1-2 断熱圧縮
- 2-3 温度 TH で QH の熱を等温吸熱、膨張
- 3-4 断熱膨張
- 4-1 温度 TL で QL の熱を等温放熱、収縮
[編集] 理論熱効率
有効仕事 W は
理想気体の性質から、
が導かれ、理論熱効率 ηth は
となる。
エントロピー変化は、
- 、
であり、さきの熱効率の関係式から全サイクルでは差し引き0となる。
T : 絶対温度 S : 気体のエントロピー Q : 熱量