ガイアックス
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ガイアックス(GAIAX)とは、かつて日本で発売されていた高濃度アルコール燃料のブランド名。1999年頃からベンチャー企業であるガイアエナジー株式会社が韓国より輸入し、販売を開始した。 2003年より販売が禁止されている。
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[編集] 謳われていたメリット
- 自動車、ガソリンスタンドなど、インフラが現状のまま利用できる。
- 添加剤の使用によりアルコール燃料の欠点であるゴム、金属の腐食を抑える。
- アルコールの洗浄作用により排気系がクリーンになる。
- 排気ガスがクリーンである。
- 石油揮発油税の課税の対象外であることから安価である。
- ハイオク仕様車にも利用できる。
- ガソリンと混用できる。
[編集] 販売状況と使用感
- アルコールの持つカロリーがガソリンに劣るため、出足が心持ち鈍くなり燃費が若干低下する。このため設定価格によっては、レギュラーガソリンと価格面での優位性が弱い場合もある。
- 一般のオートバイ、ロータリーエンジンを搭載したマツダ車、水平対向エンジンを搭載したスバル車は、相性上の理由により給油が拒否されていた。また、比重計測による残燃料系を搭載する車への給油も推奨されていなかった。
[編集] ガイアックスをめぐる議論
- 高濃度アルコール燃料については既存税制の想定外であったことから、軽油引取税の対象品目として扱うのか、新たに石油揮発油税の対象品目に加えるのかという議論が生じた。
- 一方、2000年頃から高濃度アルコール燃料を使用した車両からの火災事故が発生。自動車会社各社は、高濃度アルコール燃料が燃料パイプなど、鉄製部品やアルミ製部品の腐食の原因となることから自社製品に入れないよう警告を発表している。この件に関しては、ガイアックス社が自社研究資料で反証を行ったことから自動車工業会、国土交通省、経済産業省、末端ユーザーが入り乱れての大論争になった。
- また2001年3月、環境省がガイアックスが環境へ与える影響について調査結果を発表。ガソリンと比べ、一酸化炭素及び炭化水素の発生量は低いものの、窒素酸化物、アルデヒド類の排出量は増加する傾向を示したとする。こちらでも、ガイアックス社と環境省が試験の手法について対立する構図となった。
- アメリカ向け輸出用自動車の中には、高濃度アルコール燃料(含有量85%)の使用が前提として作られているものもあることから、石油業界と経済産業省の緊密な関係を背景とした単なるベンチャー潰しという批判もあった。
[編集] 流通の終焉
- ガイアックス社以外にも複数の販売会社が参入し一時的に市場が拡大、活性化したものの、高濃度アルコール燃料の度重なる問題報道やトラブルの噂により、徐々に販売の増加ペースが鈍化した。販売店の安全面に関する懸命なアピールをよそに、消費者の間で不信感が高まりつつあったことが想像できる。
- 2003年、安全上の理由から燃料の品質を規定する「揮発油等の品質の確保等に関する法律」が改正され、事実上、高濃度アルコール燃料の販売が市場から閉め出されることになった。
[編集] 高濃度アルコール燃料の種類(商品名)
- ガイアックス
- エピオン
- イクシオン
- ゴールドライズ
- ジンガー
- エルニーニョ
- クリアス
- クリアスネオ
- シアース
- グリーンフュエル
このうちエピオンを出していたのは「ガイアックス株式会社」であり、非常にややこしい。これは同社がガイアエナジーの元販売代理店だったものの契約が破棄されて独自展開をするに至ったためである。