ガントリークレーン
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ガントリークレーン (gantry crane) とは、港湾の岸壁に設置され、コンテナなどの貨物の積み卸しを行うクレーンのことをいい、トランスポーター(transporter)ともいう。特定重要港湾、重要港湾のほとんどに設置され、貨物の荷役を行う上で欠かせない機械の一つとなっている。
ガントリークレーンは軌道上を左右に移動するために橋ゲタの両端に2本ずつの車輪を備え、巻き上げワイヤーロープが上下移動し、トロリーやジブクレーンが岸壁と船内を往復することで、岸壁と船内の荷役を円滑に進めることができる。
ガントリークレーンのうちコンテナ荷役に利用されるものには、コンテナを掴むためにスプレッダーという専用の装置を備えている。これはコンテナ上部の四隅についているコーナーポケット(=穴)にスプレッダーのロックピンを挿入し固定することで30トンもあるコンテナを迅速・確実に運搬する為のものである。
クレーン本体が岸壁と平行に移動することを「走行」といい、スプレッダが岸壁と直角に移動することを「横行」、スプレッダを上昇・下降させることをそれぞれ「巻き上げ・巻き下げ」という。
クレーン上部には運転室が設けられ、クレーン・デリック運転士が岸壁や船内の船内荷役作業主任者、玉掛作業者と連絡を取りながらクレーン動作の全ての操作を行っている。
また、吊具(リフター)を取り付けることで、コンテナ荷役だけでなく船舶や鉄鋼品、工作機械など様々な貨物の荷役を行うことができ、コンテナターミナル以外にも数多く設置されている。
船舶や貨物の大型化に伴い、揚程48.5mを超えるスーパーガントリークレーン、56mを超えるメガガントリークレーンと呼ばれるものも登場している。