クリソプレーズ
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クリソプレーズ (Chrysoprase または chrysophrase)とは、宝石の名前。緑玉髄(りょくぎょくずい)ともいう。少量のニッケルを含んだカルセドニー(繊維状の石英)の一種である。 その色は通常は黄緑だが、深緑色のものもある。
クリソプレーズは隠微晶質(cryptocrystalline)であり、非常に上質の水晶からなるため、通常の倍率では、はっきりした微分子として観察し得ない。 この点においてクリソプレーズは、ロック・クリスタルやアメジスト、シトリンなど、その他の水晶類と性格を異にする。これらの水晶類は基本的に透明であるが、六角の水晶の結晶からなることが容易に観察できるのである。 他に隠微晶質を持つ玉髄には、メノウ、カーネリアン、オニキスがある。 多くの不透明な水晶類とは異なり、クリソプレーズを価値あるものとするのは、模様の出かたよりむしろその色である。 クリソプレーズという言葉は、ギリシア語の「chrysos(金)」と「prason(西洋ねぎ)」という単語からきている。
流通量の不足とその美しい緑色から、クリソプレーズは最も高価な水晶類の1つに数えられる。 より品質の高いものは、しばしば硬玉と間違われる。 カボション・カット(ジュエリーに使用するため、滑らかな丸いドーム状に磨く宝石のカットの一種)にすると、良質のアメジストと同じくらいの価値を持つ。
エメラルドの美しいグリーンはクロムを含有するためであるが、クリソプレーズの色はエメラルドとは異なり、その構造に含まれる微量のニッケルによるものである。 クリソプレーズは、ニッケルを含んだ蛇紋岩や他の超塩基性の蛇紋岩の岩が、激しく風化したりラテライト化したりするところから生じる。 オーストラリアの鉱床ではクリソプレーズは、マグネサイトの豊富な腐食岩石が鉄と二酸化ケイ素の下になったところで、茶色の針鉄鉱や他の酸化鉄と共に、鉱脈や小塊となって生じる。
他の石英類と同様、クリソプレーズのモース硬度は6ないし7であり、劈開性を持つ。 クリソプレーズのよく知られた産地としては、オーストラリアのクイーンランド州、西オーストラリア州、ドイツ、ポーランド、ロシア、アメリカのアリゾナ州、カリフォルニア州、他にブラジルが挙げられる。