エメラルド
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エメラルド(英: emerald)は、ベリルの一種で、強い緑を帯びた宝石である。5月の誕生石である。柱状の結晶から、緑柱石とも呼ばれる。特にエメラルドカットと呼ばれるカットがされることが多い。和名、翠玉(すいぎょく)、緑玉(りょくぎょく)。組成はBe3Al2SiO6。クロムやバナジウムを含むことがある。硬度は7.5~8。比重は2.6~2.8。アクアマリンは同じ成分の鉱物。
内部に特有の傷が無数にあり、これが天然ものの標識ともなっている。大きく傷が少ないほうが価値が高い。明るく濃い緑色のものが最上級とされるが、近年では科学的処理をし人的手段を用いて綺麗な物に見せている物も数多く出回っている。また、中には黄緑色をした物もある。
結晶の性質上、一定方向からの衝撃に極端に弱いため、ぶつけたりしない等のケアも必要である。また、高熱にも弱いため調理をするときは外すのが賢明である。
コロンビア、ブラジル、ザンビア、ジンバブエ、マダガスカル、パキスタンなど各地で産出するが、現在は、コロンビアが最大の産出国である。
稀にキャッツアイ効果(シャトヤンシー効果)の表れる「エメラルド・キャッツアイ」やスター効果の表れる「スターエメラルド」が産出される事があるが、非常に稀少でほぼコレクターズアイテムとなり良質の物になれば大変高価である。
同じベリルに属する「レッドベリル」をアメリカの宝石業界が「レッドエメラルド」と呼ぶように他国と激しい議論を重ねているが、本来エメラルドには「緑色の」と言う意味があるのでこの名称は正しくない。
石言葉は幸運・新たな始まり。
[編集] 生産
2000年の生産シェアはコロンビア (60%)、ザンビア (15%)、ブラジル (12%)、ロシア (4%)、ジンバブエ (3%)、マダガスカル (3%)である。
世界の4大宝石にも数えられ、古代エジプトの時代ではクレオパトラも愛用していたと伝えられている。このことから富と権力の象徴でもあったとされている。
[編集] 色との関連
エメラルドはエメラルドグリーンのように色の名前として、また美しい鮮やかな緑色を表現する上で「エメラルドのような・・」といったように慣用句として使われる。
アメリカ合衆国ワシントン州のシアトル市はゆたかな自然に囲まれ、その美しさからエメラルド・シティーと呼ばれる。シアトルを本拠地とするプロ野球チームシアトル・マリナーズのチームカラーはエメラルドグリーンである。