クロスカントリースキー
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クロスカントリースキー(英語:Cross-country Skiing)は雪の積もった野山をスキーで駆けるウィンタースポーツで、 個人でゆっくり散歩のように楽しんだり、 時間を競う競技スポーツとしての楽しみもある。 とくにヨーロッパやカナダで盛んである。「XCスキー」と略されることもある。
クロスカントリー・スキーは、 ノルディックスキーの一種で、 斜面を滑り降りるだけのアルペンスキーとは異なり、平らな所を進んだり斜面を登るための工夫が施されたスキー板を使用する。 一般的なものは 幅が5〜6cmと細く、非常に軽く作られている。 アルペンスキー用のような金属エッジも付かない。 弓のように反っていて、 体重をかけない状態では前端と後端は接地して中ほどの足を乗せる辺りが浮くようになっている。
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[編集] 走法
クラシカル走法では、 後ろには滑らずに前にだけ滑るようにしたスキー板を使って、両足につけたスキー板を左右のスキーを平行に保ちながら交互に前後させて進む。スケーティング走法が禁止され、ワックス選定が勝負を左右する。一方フリースタイル走法(スケーティング走法)ではスケートのように、 前にも後ろにも滑るスキー板を逆ハの字形に開いてけり進む。従ってスピード感が出る。
クラシカル走法のためにはスキー板に次のいずれかの工夫を施す。
- 前端と後端には摩擦が小さくなるようなワックスを塗り、中ほどには摩擦が大きくなるようなワックスを塗る
- スキー板の中ほどをうろこ状に加工する
- 細長く切った毛皮(シールと呼ばれる)を毛並みが後ろ向きになるようにスキー板に被せる
いずれも踏みしめたほうのスキー板が後ろにずれないので足がかりになる。
[編集] 競技種目
ノルディックスキーとしてのクロスカントリー競技は、距離の短いスプリントから男子50km・女子30kmと、距離の種類が多く、スキー競技の中で種類も最も多い男女計12種目となる。走法も上記のクラシカルとフリーの2種類があり、いずれも優れた持久力と滑走テクニックが要求される。また、ワックスの選定も勝敗に関わる重要な要素である。
2007年2月22日から北海道札幌市で開催されたFISノルディックスキー世界選手権札幌大会において、世界初の札幌ドームを用いた、室内⇔室外を使っての競技が行われ、その中で日本選手が活躍し、関心が高まりつつある。
[編集] クラシカルテクニック(Classical Technique)
クラシカル走法の個人種目。スタートラインは斜め(「く」の字型))に引かれており、予選ランキングのよい選手から有利なスタート位置を確保できる。実施種目は女子10kmクラシカル、男子15kmクラシカル。
[編集] フリーテクニック(Free Technique)
グライディングする時にスケーティングで滑ることのできる種目。選手は30秒間隔でスタートし、選手ごとに計時する。スタート順はいくつかのグループに分け、グループごとにドローを行ってスタート順を決める。実施種目は女子30kmフリー、男子50kmフリー。
[編集] スプリント(Sprint Event)
距離は女子が1.2km、男子は1.4km。クラシカル走法で行い、最初に個別スタートでタイムトライアルを行って、上位30名(コースによっては16名)が決勝トーナメントに進出できる。準々決勝は4人1組で選手が同時一斉にスタート(マススタート)し、各組の上位2名、計8名が準決勝進出できる。準決勝も同様に各組2名が勝ち上がり、計4名で決勝を行う。決勝も同じように4人が一斉にスタート。30人の決勝トーナメントではタイムは計測せずポートフィニッシュ(写真判定)で順位を決定する。先のノルディックスキー世界選手権札幌大会の開会式後にこの競技が行われ、夏見 円選手が、過去日本最高記録の5位入賞と健闘し脚光を浴びた。
[編集] チームスプリント(Team Sprint)
競技方法は、1チーム2名でリレーをしながら交互に、各々3回交代して走る。マススタートでスタートしフリーテクニックで走行する。距離は女子1.2km、男子1.4km。先の札幌大会では男子は山岸・恩田ペアが12位、女子は福田・夏見ペアは13位という成績を残した。
[編集] ダブルパシュート(Double Pursuit)
男子は前半に15kmクラシカル・後半に15kmフリー、女子は前半に7.5kmクラシカル・後半に7.5kmフリーで同じ距離を異なった走法で走る。マススタートでスタートする。クラシカルを走り終えたらフリー用のスキーに履き替えて後半を走り、合計タイムで競う。先の札幌大会では男子は山岸36位、駒村41位、神津43位、蛯沢46位。女子は横山23位、石田26位、曾根田38位。
[編集] リレー競技(Team Competition)
1チーム4名でチームを編成する。女子は1人5km、男子は10kmを走る。スタートはマススタートで、1人目と2人目がクラシカル走法、3人目と4人目がフリー走法で走り、4人の合計タイムで競う。先の札幌大会では夏見・石田・横山・福田で臨み、8位となり、過去日本最高記録を残した。男子は蛯沢・駒村・山岸・神津が15位であった。