グエン・ゴク・ロアン
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グエン・ゴク・ロアン(ベトナム語:Nguyễn Ngọc Loan, 漢字:阮玉湾, 1931年 - 1998年7月14日)は、ベトナム戦争当時の南ベトナムの警察庁長官。
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[編集] 経歴
グエン・ゴク・ロアンはベトナム共和国軍の士官であった。後にグエン・カオ・キ(阮高祺)副大統領の側近になり、警察庁長官を務めた。
[編集] 捕虜の射殺
1968年2月1日に起きたテト攻勢の最中、サイゴン警察が捕虜として捕らえたベトコン(南ベトナム解放民族戦線)の兵士グエン・バン・レム(阮文歛)を、グエン・ゴク・ロアンが路上で射殺した。
その光景は、AP通信カメラマンのエディ・アダムズ(Eddie Adams)やNBCのカメラマンらによって撮影され、全世界に配信された。配信された写真とフィルムはベトナム戦争における最も有名なイメージの一つとなり、ベトナム戦争への介入に対するアメリカの世論に多大な影響を与えることになった。
捕らえられたグエン・バン・レムは、後ろ手に結ばれ記者の前に引き出された。グエン・ゴク・ロアンはリボルバー銃を引き抜き、グエン・バン・レムのこめかみに一発撃ち、射殺した。グエン・ゴク・ロアンは、グエン・バン・レムが彼の副官のみならず、無抵抗な家族やそのペットまでをも殺害した残虐なベトコン小隊の指揮官だったとして、その処刑は正当なものであると主張した。
[編集] 事件後
アメリカ軍のサイゴン撤退とともに、グエン・ゴク・ロアンは1975年にアメリカへ亡命、バージニア州でピザレストランを開業した。しかし1991年、過去が公に明かされてしまい仕事は廃業してしまった。そして1998年7月14日、ワシントンDC郊外にあるバージニア州バークで、癌のため死去した。