ワシントンD.C.
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愛称: "DC", "The District" | ||||
標語: "Justitia Omnibus (Justice for All)" | ||||
位置 | ||||
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座標: 38° 53′42.4″N 77° 02′12.0″W | ||||
行政 | ||||
市長 | Adrian M. Fenty (民主党) | |||
地理 | ||||
面積 | ||||
市域 | 177.0 km² (68.3 mi²) | |||
陸上 | 159.0 km² (61.4 mi²) | |||
水面 | 18.0 km² (6.9 mi²) | |||
標高 | 0-125 m (0-410 ft) | |||
人口動勢 | ||||
人口 | ||||
市域 (2005年) | 582,049人 | |||
人口密度 | 3,481人/km² (9,015人/mi²) | |||
市街地人口 | 5,800,000人 | |||
都市圏 | 8,026,807人 | |||
都市圏人口密度 | 人/km² (人/mi²) | |||
等時帯 夏時間 |
東部標準時 (UTC-5) 東部夏時間 (UTC-4) |
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公式ウェブサイト: http://www.dc.gov/ |

市街東部から西南西方向を望む。写真中央が連邦議会議事堂、右下が連邦最高裁判所、左下は連邦議会図書館。右上の細長い白い塔は、ワシントン記念塔。ホワイトハウスはその右手に位置するが写っていない。議事堂から右斜め上方へ延びる舗装道路(Pennsylvania Avenue)の先にある。また、議事堂から記念塔を経てポトマック川に至る細長い緑地はナショナル・モールと呼ばれる。ペンタゴンは写真左上の川向こうに写っている。
ワシントンD.C.(英語:Washington, D.C.)はアメリカ合衆国の首都。東海岸、ポトマック川河畔に位置する。 D.C. は The District of Columbia(コロンビア特別区)の略で、南アメリカのコロンビア共和国と同様にアメリカ大陸の「発見」者クリストファー・コロンブスにちなんだ名。1874年に設置された。マスコミなどではワシントンD.C.を「ワシントン」と呼び、ワシントン州はワシントンD.C.との混同を避けるため「ワシントン州」と呼ぶのが一般的である。
目次 |
[編集] 概要
首都としての機能を果たすべく設計された人工都市であるため、同じアメリカ合衆国の大都市であるニューヨークなどと比べると無機的な印象の街である。
同様な都市としてはオーストラリアのキャンベラ、ブラジルのブラジリア(共に首都)が主な例である。また、首都ではないが、つくば市の学園地区(筑波研究学園都市)は大学や研究機能に特化して作られた人工都市、千葉市幕張新都心がビジネス特化都市の例である。
大統領官邸である「ホワイトハウス」、連邦議会議事堂、連邦最高裁判所と三権の最高機関や、中央官庁などの行政機関が集まる他、アーリントン国立墓地、スミソニアン博物館などが位置する。同市のナショナル・モールにおける博物館群は質・量ともに世界でもトップクラスであり、観光資源にもなっている。ポトマック川の河畔にある桜の木々は、アメリカ合衆国内で有数の桜の花見の名所である。
[編集] 歴史
トマス・ジェファーソンとアレクサンダー・ハミルトンの会談により、首都を南部よりにすることが了承されたことが、ワシントンD.C.の今日の場所を決定した。当初計画された面積は100平方マイル(260km2)であった。
1790年に法案が可決され、連邦政府所在地としてコロンビア特別区をポトマック川河畔に置くことが決定された。場所はメリーランド州とバージニア州の境とされ、市の名前はジョージ・ワシントンから取ることとされた。1801年、特別区は連邦議会の管轄下に置かれた。特別区設置以前から、この場所には二つの町、ジョージタウンとアレクサンドリアがあった。これを除く地域に、メリーランド州側にはワシントン市およびワシントン郡、バージニア州側にアレクサンドリア郡が設置された。1871年、ワシントン市、ワシントン郡、ジョージタウンはワシントンD.C.として統合された。
ポトマック川南の約100km2は、1845年連邦議会が可決した条例により、バージニア州の帰属に戻った。この土地は現在はアーリントン郡に属し、アレクサンドリア市の一部をなす。この結果、ワシントンD.C.は、頂点を北に向けた正方形のうち、南西部の川に区切られた区画を除いた形をなすことになる。
1961年、アメリカ合衆国憲法修正第23条により、ワシントンD.C.市民に初めて大統領選挙の選挙権が与えらえた。コロンビア特別区全体に対して、人口の最も少ない州に与えられる、選挙人3人の定数が確保された。
1974年、初めて市長の公選が行われ、行政委員会委員長であった民主党のウォルター・ワシントンが市長に就任した。1991年、2代目の市長マリオン・バリーが3期目の任期中、麻薬の使用によりFBIのおとり捜査で逮捕され、コカイン所持により6ヶ月の懲役刑を受けた。次に市長に就任したシャロン・プラット・ケリーは、アメリカの大都市ではじめて市長になった黒人女性である。1994年、ケリーの任期が満了すると、マリオン・バリーは再び市長に返り咲いた。1998年、エール大学卒の弁護士、アンソニー・ウィリアムスが市長に選ばれ、現在は2期目を務めている。
2001年9月11日のアメリカ同時多発テロ事件でワシントンにある国防総省(ペンタゴン)に飛行機1機が突入するテロを受けた。(なお、国防総省本庁舎は実際にはポトマック川対岸のバージニア州アーリントンに所在)
[編集] 政治
政治的な中立性を保つため、合衆国の北部と南部の中間に首都が設けられた。連邦政府直轄の特別区であり、他のいかなる州にも属していない。1974年まで市長を持たず、大統領の任命する行政委員会が行政を行い、行政委員会委員長が事実上の市長の役割を担った。現在は公選による市長と、行政委員会により行政が行われる。ワシントン市民は大統領選の投票権をもつが、米国議会への議員選出権をもたない。ワシントン市民を下院で代表するのは、議会本会議での投票権をもたない準議員のみである。このため何度か法律の改正が試みられ、ワシントン市民の国政に関する発言権を他の州同様にする提案がなされてきたが、実現には到っていない。
[編集] 犯罪
清潔な計画都市のイメージとは裏腹に、ワシントンD.C.は全米有数の犯罪都市のひとつである。モーガン・クイットノー社の「全米の危険な都市」ランキング(2005年版)ではワースト13位であった。特に殺人の発生率が高い。1990年代にはmurder capital(殺人の都)と呼ばれ、悪名が高かった。1991年には同市の殺人発生件数は482件(人口10万人あたり80.6件)でピークに達した。市の中心部ではジェントリフィケーションが進み、犯罪も減少傾向にあるものの、2004年の殺人発生件数は198件、人口10万人あたり35.7件(いずれも連邦捜査局のデータによる)で、依然として高い数値である(ちなみに、ニューヨークでの殺人発生率は人口10万人あたり約7件である)。
特に危険なのは市南東部のアナコスティア地区(Anacostia)である。ワシントンD.C.で起こる殺人の約1/3はこのアナコスティア地区内で発生している。1950年代までは白人の中流階級の住宅地であったが、州間高速道路の発達により人口が郊外へ流出、住民の層が大きく変わり、治安が著しく悪化した。現在、この地区の黒人人口率は92%に達する。市境を越え、メリーランド州側にも治安の良くないエリアが広がっている。また、市の北東部、グレイハウンド・バスターミナル周辺も治安の悪い地域である。
一方、ジョージタウンなどの高級住宅街が広がる市北西部や、中心部のナショナル・モール周辺の治安は概ね良好である。
[編集] 教育
[編集] 大学・短期大学
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[編集] 芸術・文化
[編集] 劇場・ホール
[編集] 美術館・博物館
- スミソニアン博物館群
- ナショナル・ギャラリー
- ホロコースト記念博物館
[編集] スポーツ
- ワシントン・レッドスキンズ (NFL)
- ワシントン・ウィザーズ (NBA)
- D.C. ユナイテッド (MLS)
また、MLB・モントリオール・エクスポズのフランチャイズ移転により、2005年にワシントン・ナショナルズが誕生した。
[編集] マスコミ(地方紙)
[編集] 交通
1976年に全長7.4km の地下鉄が開通し、現在ではバスと並ぶ公共交通手段となっている。
- 主要な州間高速道路
- 95号線:カナダ国境のメイン州Houltonからメリーランド州ボルチモア市を経てワシントンD.C.都市圏東部~南部を通過し、バージニア州都のリッチモンド市を経てフロリダ州マイアミ市に至る(ワシントンD.C.付近には支線として下記の二級州間高速道路がある)
- 495号線:半径約10 マイル(16 km)の都市圏を通過する環状道路(都市圏東部~南部は95号線と重複)
- 295号線:市街中心部から南方に向かい495号線に合流
- 395号線:市街中心部から南西に向かい95号線に合流
- 66号線:市街中心部から西方に延びバージニア州 Front Royal に至る(注:ルート66とは別物)
- 270号線:市街北部の495号線から分岐して北北西に延び、メリーランド州 Frederick に至る
- 95号線:カナダ国境のメイン州Houltonからメリーランド州ボルチモア市を経てワシントンD.C.都市圏東部~南部を通過し、バージニア州都のリッチモンド市を経てフロリダ州マイアミ市に至る(ワシントンD.C.付近には支線として下記の二級州間高速道路がある)
- バス及び鉄道
- ワシントンメトロ (Washington Metro)
- 公共バス (Metrobus)
- 地方地下鉄システム (Metrorail)
- 商業空港
- ロナルド・レーガン・ワシントン・ナショナル空港 (DCA)、バージニア州アーリントン郡の南4.3 マイル (6.9 km)
- ワシントン・ダレス国際空港 (IAD)、バージニア州ダレス及び Chantilly の間の西26.3 マイル (42.3 km)
- ボルチモア・ワシントン国際空港 (BWI)、メリーランド州ボルチモア近くの Linthicum 北東31.7 マイル (51.0 km)
[編集] 姉妹都市
ワシントンD.C.は以下11都市と姉妹都市提携を結んでいる。そのいずれもがそれぞれの国の首都である。
[編集] 外部リンク
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- アメリカ合衆国の地方行政区画
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アメリカ合衆国の市域人口上位50都市 |
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1.ニューヨーク - 2.ロサンゼルス - 3.シカゴ - 4.ヒューストン - 5.フィラデルフィア - 6.フェニックス - 7.サンアントニオ - 8.サンディエゴ - 9.ダラス - 10.サンノゼ - 11.デトロイト - 12.インディアナポリス - 13.ジャクソンビル - 14.サンフランシスコ - 15.コロンバス - 16.ルイビル - 17.オースティン - 18.メンフィス - 19.ボルチモア - 20.フォートワース - 21.シャーロット - 22.エルパソ - 23.ミルウォーキー - 24.ナッシュビル - 25.シアトル - 26.ボストン - 27.デンバー - 28.ワシントンD.C. - 29.ラスベガス - 30.ポートランド - 31.オクラホマシティ - 32.ツーソン - 33.アルバカーキ - 34.ロングビーチ - 35.アトランタ - 36.フレズノ - 37.サクラメント - 38.ニューオーリンズ - 39.クリーブランド - 40.カンザスシティ - 41.メサ - 42.バージニアビーチ - 43.サンフアン - 44.オマハ - 45.オークランド - 46.タルサ - 47.マイアミ - 48.ホノルル - 49.ミネアポリス - 50.コロラドスプリングス |
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