ザ・タワー
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『ザ・タワー』(THE TOWER)は、ビバリウム(当初はOPeNBooK)が制作する、リアルタイムの高層ビル経営シミュレーションゲームである。
1994年にマッキントッシュで発売。その後、Windowsや家庭用ゲーム機に移植された。
プレイヤーはビルの経営者となって、オフィスやテナント、ホテルなどを設置、人口を増やしビルを拡大させていく。 スタート時に一つ星であるグレード(星の数)は人口を増やしていくと上がっていき、最終的に五つ星の上である称号「ザ・タワー」を目指す。 「全米ソフトウェア出版協会ベストシミュレーション・オブ・ザ・イヤー」など受賞。
現在は『The Tower』『The Tower II』は著作権上の理由で廃盤、店舗にある商品は回収されたためTowerのディスクは入手困難となっている。 2005年に発売された『The Tower SP』は現在でも比較的入手しやすい。
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[編集] The Tower
1994年7月、Macintosh用に発売される。11月にはMaxisより英語版(『SIM TOWER』)が発売。
1995年、1.2JがMacintoshやWindows用に発売される。
1996年、1.3JがMacintoshやWindows用に発売される。 また1.2Jからのアップデーター(ユーザー登録をしていれば無償で入手できた)も存在し、 その中でも季節限定で販売されたアップデータCDはプレミアがつくものもあった。 1.2Jとの相違点は、
- グラフィックの向上
- アイテム「タワービジョン」が追加され、実在のCMを放送することができる
である。 同年、改良・移植された家庭用ゲーム機版(PS、SS、3DO)が発売された。
[編集] オプショナルCD-ROM
1996年に1.2J用に『Tower/CD LIMITED EDITION』が冬季限定発売。 内容は
- オリジナルテーマソング『Brand New Season』を収録。(作曲は小山田圭吾) ほかにも多数アーティストが楽曲を提供
- テナントの様子を伝えるアニメーションムービーを収録
- 新イベントとして、夜中に泥棒が侵入
- 『タワービジョン』の追加
- クリスマス(1年の最終日)にサンタがプレゼントをくれる
などである。
他にも幕張殺人事件というオプションがあった。内容はホテルで次々殺される事件の犯人を捜すというもの。
1.3J用には『The Tower/CD WINTER EDITION』を発売。内容は1.2J用のものとほぼ同じである。
[編集] The Tower II
1998年にオープンブック9003より発売。 プラグインを導入してマップやテナントの数が増えたり、拡張キットが発売されるなど、様々な展開がはかられた。 2000年、著作権の関係(ザ・タワーのスタッフによる新会社オープンブックに権利が移ったため)で生産終了。
本作では自由の女神など、ビルではないマップも登場しているため『巨大建造物シミュレーション』と銘打たれている。
マニュアルはバインダーとなっており、後に発売されたマップのマニュアルも追加できるようになっている。
[編集] 新宿西口副都心
初期資金10億円。 地上100階、地下10階まで建築可能。 自由度の高いマップ。 ファイナルアイテムは「スタジアム」
[編集] ハワイダイヤモンドヘッド
観光客が多く、ホテルやショップが建設の中心となる。 1階ロビーのほかに船着場からも住人がやってくる。
[編集] 華厳の滝
初回特典。 攻略よりも景色、風情を楽しむことを目的としたマップ。 その為、建設可能な範囲よりも滝のほうが表示面積が大きい。 また、宿泊施設以外のテナントではほとんど利益が出ない。
[編集] 自由の女神 ニューヨーク恋物語
プラグイン第1弾。 建物で働く警備員の男性ハリー・キャラハンと案内係の女性マリー・クワントの恋をテーマとしている。
[編集] 京都駅ビル GIII
特撮映画『ガメラ3 邪神覚醒』とタイアップ。 終盤ではガメラによってビルが破壊される。 駅ビルなのだが、ゲームスタート時には改札口がないため建設する必要がある。
[編集] 東京タワー 東京電波ジャック
中盤では怪電波による電波障害が起こる。
[編集] なにわビル王伝説
通天閣を中心に建造していく。 グレードを上げるだけでは使えるようにならない隠しアイテムが存在し、テナントの充実度によって使用可能となる。
[編集] Christmas Story サンタクロースになれる聖夜
サンタクロースにまつわるアイテムを集めていくイベントとともに進行する。
[編集] 幻のマップ
The Tower IIで計画されていたが企画倒れになってしまったマップ
- 月面基地
- 豪華客船
- 北海道
[編集] The Tower SP
2005年にゲームボーイアドバンス版が任天堂より発売された。 The Tower 1.2Jを元にアイテムの追加や、難易度を下げるなどの改良をしている。
[編集] 基本ルール
- ゲーム内の時間の進み方は1年=4Q(クオータ)、1Q=3日、1日=24時間である。1日には平日と休日の2種類があり、休日はオフィスに人が来ず、ショップ等の集客が良くなる。
- 建造物内にテナントを建造すると、利用客(住人と呼ばれる)がやってきて目的のテナントを目指し移動する。移動時にかかるストレスなどにより住人は利用テナントへ評価を下し、評価が良ければ住人数が増えるが、悪かった場合そのテナントの利用をやめてしまう。
- 建物内の移動手段には階段、エスカレータ、エレベータがあり、それぞれ利用する住人に与えるストレスが異なる。(同一階のフロア移動はどれだけ歩いてもストレスはたまらない。)移動設備の効果的な配置がゲームを進めるためのポイントとなる。
- 特にエレベータによる移動の場合、待ち時間が増えるにつれストレスも増加する。表示上は住人のシルエットが黒からピンク、赤へと変化し、現在のストレス度合いを示す。
- 住宅やオフィスの場合、その前を通過する通行量が多いと評価が下がる。
- 建設の資金はゲーム開始時にある程度与えられているが、その後はテナントの売り上げや賃料で賄う。
- あらかじめ設定された人口を超えると(他に条件があることもある)、グレードが上がりより多くのテナントを使うことが出来る。特に5つ星になると「ファイナルアイテム」が登場し、これを建設しないと最高グレード「ザ・タワー」を得ることは出来ない。
- 時として火事やテロリストによる脅迫等のイベントが起こり、対処する必要が出てくる。
[編集] アイテム
- オフィス:6人のオフィスワーカーが昼間やってきて、夜には帰宅する。1Qごとに賃貸料が入る。新宿西口副都心マップでは安定した収入源となるが、大量に建設すると朝や夕方に大きな人の流れが発生してしまうため、それを如何に捌くかがポイントの一つとなる。
- ホテル:シングルルーム、ツインルーム、スイートルームなどの種類がある。利用客がチェックイン/アウトをするフロント、利用された部屋の掃除をするメンテナンスルームを建てなければ正常に稼動しない。メンテナンスルームにはルームキーパーが6人おり、部屋数に対してルームキーパーが少ないと、十分にメンテナンスできなくなり、未メンテのまま3日放置された部屋にはゴキブリが発生してテナントを撤去するしかなくなる。基本的に毎日稼動するため利益率は高い。一部の利用客はレストランを利用する。
- 住宅:一人用の賃貸住宅、3人家族用の分譲住宅などがある。分譲住宅は建設費よりも分譲価格のほうが高いため、ゲーム初期の資金難には有効だが、建て過ぎると後で苦労する。ハワイダイアモンドヘッドのマップでは、これらの代わりに賃貸であるコンドミニアムが建設できる。
- ショップ、レストラン:外部からの一般客を呼び込む効果が高く、人口を増やすのに大きく貢献するが、1日ごとに売り上げが計上され、赤字の場合は資金が減るリスクもある。レストランは毎日閉店後にゴミを出し、その量に見合った廃棄物回収場がないと営業を続けることが出来ない。
- その他:警備室、医療室、変電室、駐車場、トイレなど、直接利益は生まないがビルの維持に必要な施設。