スメタナ
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スメタナ(smetana)とは、スラブ語でクリームを意味する言葉。
スメタナ(スメターナ)はロシアなどの原産の発酵乳で、ヨーグルトの一種。一般にサワークリームのことをスメタナと呼んでいる。ボルシチ、ペリメニ、ヴァレニキなどの他、好みによって多くの料理に添えて食べられている。
一方、日本でカスピ海ヨーグルト、グルジアヨーグルトと呼ばれている発酵乳もスメタナであるとみられている。
特徴は、好気性細菌と嫌気性細菌が共存して発酵している点にある。 嫌気性細菌は乳酸菌の一種であるクレモリス菌、好気性細菌は酢酸菌であるアセトバクター・オリエンタリス Acetobacter orientalis とされる。
スメタナは比較的低温でも発酵が進むため、一般の乳酸菌ヨーグルトのように加温しなくても殖やすことができる。 また、低温に保てるため雑菌が繁殖しにくい。 反面、流通過程で発酵が進み、発生したガスが密封容器を爆発させてしまう恐れがあるため、容器は空気穴を開けたものが用いられる。 日本では、法制上この空気穴を開けることが認められていないため、生菌を含む製品は事実上流通させることができない。
風味は、独特のとろろのような粘り気が特徴である。この粘性物質を産生しているのはクレモリス菌である。 また、酸味が弱い。
栄養価については、他のヨーグルトと特記すべき違いは見いだされていない。
[編集] 「カスピ海ヨーグルト」
日本に「カスピ海ヨーグルト」が紹介されたのは1986年のことである。 京都大学の教授であった家森幸男がWHOとの共同研究で世界の長寿地域を照査していた際、グルジアから種菌を日本に持ち帰った。 そこから、「グルジアヨーグルト」「カスピ海ヨーグルト」と呼ばれるようになる。 ただし、これはグルジアの伝統食品ではなく、ロシアから持ち込まれたものであった(グルジアには、マツオーニという伝統的な発酵乳が別にある)。
日本では流通できないヨーグルトだが、栽培のしやすさから口コミで徐々に評判が広がり、種菌を個人レベルで分け合うという形で広まっていった。その後、家森教授とフジッコ株式会社との共同商品化により今ではデパートやインターネット中心で製造キットや完成品が販売されるようになる。