テングワール
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テングワール | ||
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類型: | アブギダ [1] | |
言語: | クウェンヤ、シンダール語を含むいくつものアルダの言語 | |
発明者: | フェアノール | |
時期: | F.A. - | |
親の文字体系: | サラティ テングワール |
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ISO 15924 コード: | Teng | |
テングワール (Tengwar) とはJ・R・R・トールキンの創作した架空文字。テングワールという言葉はクウェンヤで文字の意味。
フェアノール (Fëanor) はルーミルのサラティを改良した。この文字が中つ国で使用されている。初期は子音文字の上に母音の符号(テフタ)(tehta)を記していたが、後に母音も文字として表記されるようにもなった(完書体)(full mode)、また文字にはその音で始まる単語の名が付けられていたが、後に単純な名で呼ばれるようになったとされる。
目次 |
[編集] 読み方
子音は、「テルコ telco」(軸線)と「ルーヴァ lúva」(弓形線)から構成される「基本文字」(1-24) と「追加文字」(25-36) がある。基本文字は、調音点をあらわす [t, d, ch, k] の系列I-IVと、調音形式を表わす階梯1-6があり、いくつかの法則を覚えれば容易に読むことが出来る。
[編集] 基本文字
- 系列I
- 右についた開いた弓形線は、歯茎に舌をつけて発音する。[t, d, θ(th), ð(dh), n, r]
- 系列II
- 右についた閉じた弓形線は、唇を使って発音する。[p, b, f, v, m, w]
- 系列III
- 左についた開いた弓形線は、後部歯茎に舌をつけて発音する。[s(c)あるいはk, ʤ(j)あるいはg, ʃ(sh)あるいはhk, ʒ(zh)あるいはgh, ŋ(ng), j(y)]
- 系列IV
- 左についた閉じた弓形線は、軟口蓋に舌をつけて発音する。[kあるいはkw, gあるいはgw, tʃ(ch)あるいはkhw/hw, ghあるいはghw/w, ŋ(ng), ?]
- 階梯1
- 無声破裂音。下に伸びたテルコと1つのルーヴァをもつ。[t, p, s(c)あるいはk, kあるいはkw]
- 階梯2
- 有声音破裂音。下に伸びたテルコと2つのルーヴァをもつ。[d, b, ʤ(j)あるいはg, gあるいはgw]
- 階梯3
- 無声摩擦音。上に伸びたテルコと1つのルーヴァをもつ。[θ(th), f, ʃ(sh)あるいはhk, tʃ(ch)あるいはkhw/hw]
- 階梯4
- 有声摩擦音。上に伸びたテルコと2つのルーヴァをもつ。[ð(dh), v, ʒ(zh)あるいはgh, ghあるいはghw/w]
- 階梯5
- 鼻音。短いテルコと2つのルーヴァをもつ。[n, m, ŋ(ng), nw]
- 階梯6
- 弱い音。短いテルコと1つのルーヴァをもつ。[r, w, j(y), ?]
※指輪の銘にあるよう上下に軸線が延びたものは、通常上に伸びたもの、すなわち階層3と4のものとして読む。古くは、[t+h, p+h, k+h]のような気息音として読むことがあった。
各文字には名前と番号が振られている。階梯を縦、系列を横にして配置すると以下の通りになる。
階梯/系列 | 系列I | 系列II | 系列III | 系列IV |
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階梯1 | 1 tinco [t] | 2 palma [p] | 3 calma [s(c)あるいはk] | 4 quesse [kあるいはkw] |
階梯2 | 5 ando [d] | 6 unbar [b] | 7 anga [ʤ(j)あるいはg] | 8 ungwe [gあるいはgw] |
階梯3 | 9 thule [θ(th)] | 10 formen [f] | 11 harma/aha [ʃ(sh)あるいはhk] | 12 hwesta [tʃ(ch)あるいはkhw/hw] |
階梯4 | 13 anto [ð(dh)] | 14 ampa [v] | 15 anca [ʒ(zh)あるいはgh] | 16 unque [ghあるいはghw/w] |
階梯5 | 17 numen [n] | 18 malta [m] | 19 noldo [ng(ハンガーという時の"ン"の音)] | 20 nwalme [nw] |
階梯6 | 21 ore [r(震えない)] | 22 vala [w] | 23 anna [j(y)(ヤ行)] | 24 vilya [] |
[編集] 追加文字
25 romen [震えるr] | 26 arda [無音r] | 27 lambe [l] | 28 alda [無音l] |
29 silme [s] | 30 silme nuquerna [s] | 31 are [z] | 32 are nuquerna [z] |
33 hyarmen [h] | 34 hwesta sindarinwa [hw] | 35 yanta [y] | 36 ure [w] |
[編集] 母音
文字の上に「テフタ」という小さな記号を置くことで母音を表わす場合と、子音記号を用いて母音を表わす方法(ベレリアンドモード、上に「二つの点」を置くことで、二重母音として読む)がある。テフタを使う場合は、クウェンヤ・ラテン語のように母音で終わることが多い言語では、その母音と結びつく子音の上におく「クウェンヤ式」の読み方をし、子音で終わることが多いシンダール語・英語のような言語では次の文字の上に母音をおく「シンダール式」の読み方をする。乗せるべき子音が存在しない場合は、短い軸線を書いて乗せる。長音は長い軸線または、テフタを二重に書いて表現する。
[編集] その他
そのほかにも、子音の上に横線をおいた場合[n]、下においた場合は二重子音を表わし、語末のsには特別な形を使うということがある。
また、英語を表記するための略記法もある。これは「指輪物語」中表紙の下部に見られるもので、of、the、of theがある。これは上下にテルコを伸ばしたもので表され、それぞれ[v]、有声の[th]、そしてofの下に波線をおいたものである。
[編集] 註
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
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