ディフェンダー (サッカー)
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ディフェンダー (defender) は、サッカーにおけるポジションの一つであり、主に守備を担当する。略号はDF。かつてはバックスとも呼ばれた。
一般に必要とされる能力は相手のドリブルなどに対応できるスピード、他の選手への的確なコーチング、確実性。能力の高い選手は展開を読んでDFラインを統率したり、フィジカルの強さで相手FWを止めたりすることができる。近年のサッカーではさらに高さ(ヘディング)への対応も重要になってきたことから、DFには長身の選手を据えることが多くなっている。そういった選手は味方のコーナーキックなどのチャンスには攻撃参加するなどの攻撃に対する意識も問われる。
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[編集] サイドバック
(英) fullback
4バックのディフェンスラインの外側、左右両サイドに位置するディフェンダーのこと。基本的にはピッチ両サイドの守備を担当するが、ディフェンスラインのラインコントロールにも参加し、CBのカバーに回ったりもする。またチャンスの時には、積極的にサイドをオーバーラップして攻撃に参加、クロスを上げるなどして、前線で攻撃的選手の手助けをする。攻め上がる回数はセンターバックよりは多いが、ウイングバックと比べると少ない。
相手チームのサイドアタッカーを1対1の勝負で抑えこめる体格や守備技術、試合中ずっとサイドラインを駆け上がっては戻るということを繰り返すための持久力や運動量が求められる。 攻撃面では特性上1対1の突破よりも、主にサイドアタッカーのサポートやスペースへの動き出しが重要視される。体力・技術ともに高レベルでの共存がプレーの前提となる為か「一番上手い選手のポジション」と言われることもある。
(サイドバックは和製英語で、英語では fullback、特に左の fullback を left back、右の fullback を right back と呼ぶ。ただし、最近の日本製サッカーゲームによって、sideback という言葉が海外に逆輸出されている)。
[編集] センターバック
(英) centreback (centerback)、central defender、centre half (center half)
ディフェンス・ライン中央のゴール前方に位置するディフェンダーのこと。 相手選手のマークをし、地上でも空中戦でも相手を抑え込むことを担当する。 また最終ラインの統率、及び攻撃面でのビルドアップを担当することもある。
[編集] ストッパー
(英) stopper
センターバックのうち、相手フォワードをマークして攻撃の機会を奪う役割の選手のこと。
[編集] スイーパー、スウィーパー
(英) sweeper
センターバックのうち、特定の相手選手を1対1でマークせず、他のディフェンダーの後ろに位置し、カバーリングや他のディフェンダーへ指示を出す役割の選手のことを言う。
[編集] リベロ
(伊) libero
スイーパーの中でも、チャンスのときには積極的に攻撃参加する選手のことを言う。元々は、イタリアのカテナチオという戦術におけるスイーパーのこと。相手FWをマンマークをする他のDFとは別に、1人余って特定のマークする相手を持たない=「(マンマークの守備から)自由な人」ということで、イタリア語で「自由」を意味する『リベロ』と呼ばれた。その後、旧西ドイツ代表のフランツ・ベッケンバウアーが、機を見て攻撃参加のために前線に上がるというこのポジションのスタイルを確立したと言われている。(それに対し元オランダ代表ヨハン・クライフが始めたポジショニングこそが正しいリベロと言う意見もあるが、一般的ではない。この場合はイタリア語の「自由」の意味通り、全く固定の位置はなかった)。
[編集] ウイングバック
(英) wing back
3-5-2のフォーメーションで、「5」の両サイドに位置する選手のこと。日本ではMFに分類されることが多い。ウイングのような攻撃的な位置からバックスの守備的な位置まで動き回るポジション。サイドでのディフェンスからフォワードまでの役割を全てこなす。つまりウイングのような動きをするサイドバックのことで前線に上がる回数はサイドバックと比べると多いが、サイドを一人で担当することになる為、より運動量が必要。
この呼称は、もともと90年代初頭にドイツなどで使われるようになったものである(3-5-2のシステム自体は80年代半ばからあった)。3バック自体は、4-4-2のフォーメーションの2トップに対応して生まれた。それまでは4バックが主流だったのが、FWを2人にするのが当たり前になってきたため、「2人のFWに対して4人で守る必要は無い」との考えから、センターバックの人数を1人増やし、2トップにつけた2人のマンマーカーとそのカバーリングをするスイーパー1人の計3人が最終ラインに残った。その代わりに、マークすべき相手がいなくなったサイドバックが、より前方に位置するようになったのである。攻撃もサイドバックより積極的に上がるようになり、「ウイングのような役割もするバック」ということでウイングバックと呼ばれるようになった。
上がったウイングバックのカバーは、守備的MFが務める。