ドップラー・レーダー
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ドップラー・レーダー(Doppler radar)とはドップラー効果による周波数の変移を観測することで、位置だけではなく観測対象の移動速度を観測する事の出来るレーダーである。
観測対象がレーダーから遠ざかっている場合にはドップラー効果により反射波の波長が長くなる。逆に近づいている場合には反射波の波長が短くなる。この波長の変化を測定することで、観測対象がレーダーサイトに対してどの程度の速度で遠ざかっているのか、近づいているのかを知ることが出来る。ただしレーダーサイトに対して水平に移動している場合、ドップラー効果による周波数の変移が起こらないため、静止している場合と区別する事が出来ない。
1台のドップラー・レーダーでは一次元的な動きしか捉える事が出来ないため、実際には複数台のドップラー・レーダーを用いて同時に観測を行う事が多い。2台以上のドップラー・レーダーの観測結果を解析する事で二次元的な動きを捉える事が出来る。
雲内部の降水粒子の移動速度を観測することで、雲内部の風の挙動を知ることが出来るため、気象観測に多く用いられる。特に空港においては、離着陸する航空機に対するダウンバースト(下降噴流)などの発生を把握するため、順次更新設置されている。アメリカでは竜巻対策としてドップラー・レーダーによる監視・警告システムが発達しており、日本でも近年の竜巻の多発を受けて各自治体が導入を検討している。
航空機搭載用のドップラー・レーダーは、気象レーダーとしての他、対地速度を測定して航法に応用するためのものも多い。また特に戦闘機などではドップラー現象を応用して、地面と航空機を区別するためのパルスドップラーレーダーも搭載されている。