ハンデキャップ競走
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
ハンデキャップ競走( - きょうそう)は、競馬において、出走するものに出来るだけ均等に勝利できる機会を提供する目的で行われる競走(レース)のことをいう。ハンデキャップ戦、ハンデ戦、あるいは単にハンデとも呼ぶ。
目次 |
[編集] 概要
競馬においては、以前は速歩競走で実施された。負担重量こそ定量制だったが、各出走馬の距離適性などを考慮して競走距離を前後させる仕組だった(これはオートレースでも現在一部採用されている)。
その後距離こそ全馬一定となるものの、出走馬の過去の競走実績などを考慮して、馬に背負わせる錘(おもり)の負担重量を、実力上位馬に対してはそれを増やし、逆に成績の芳しくない競走馬に対しては軽減させることが一般的とされている。そのため、実際の競走では負担重量の軽い馬(=実力の足らないと思われている馬)が上位に入線することが少なくなく、また、実力があっても負担重量の重い馬は人気を下げることもあるので、高配当も期待できる場合もある。
ハンデキャップの決定は、出馬投票終了後に各出走登録馬の過去の競走実績などを踏まえて主催者のハンデキャッパーによる合議によって決定される。全馬が「横一線」で入線することがハンデキャッパーの「理想」とされている。
[編集] 中央競馬におけるハンデキャップ競走
一般的に、一番大きい負担重量の馬(トップハンデ馬)を最初に決め、そこから順次出走登録各馬の負担重量を決めていく。
負担重量の重い馬(馬齢重量との差分)上位3頭に対して優先出走権が与えられる。
ハンデは最も軽量で48kg。そこから0.5kg単位で調整される。重い場合には上限が無いが、実際には63kg以上が課されることはまずない(テンポイントの事故等を考慮していると言われている)。GI実績がある馬がハンデキャップ競走に出走すると、大体は58kg~60kg台のハンデを背負わされることになる。最近はどの陣営も重いハンデを背負わされることを嫌っている為、GIで実績のある馬をハンデ戦に出走させることはほとんど無い。ただしGIで勝ち負けしたがその後の成績が芳しくなく、ハンデがさほど重くならないと判断される場合は、相手関係等を見てハンデ戦に出走させることもある。
現在、過去一年以上出走していない馬は出走資格がない(適切なハンデを設定できなくなるため。このことから適鞍のハンデ戦に出走させるため、その手前に明らかに守備範囲外の距離やコースで施行される別定戦に出走させる場合がある)。
通常GIII以下であることが多く、GIIのハンデキャップ競走は、数こそ少ないが長い伝統を誇るものとなっている。現在日本にはハンデ戦のGI競走は無い。
[編集] 地方競馬におけるハンデキャップ競走
2006年12月6日にクイーン賞(船橋競馬場)が交流重賞として初のハンデキャップ競走として行われた。 翌年2007年には、兵庫ゴールドトロフィー、サマーチャンピオンが追加された。
[編集] ハンデキャッパー
ハンデキャッパーは、ハンデキャップ競走における負担重量の決定を行う役職。適切なハンデキャップを設定するために、自身が主催する競走成績はもちろん、他主催者の競走馬が出走する場合はそれらの競走成績もチェックする必要がある。
中央競馬のハンデキャッパーは、ハンデキャップの設定以外にも下記のような仕事がある。
- JPNランキング(レイティング)の設定
- ワールドスーパージョッキーズシリーズにおける、出走馬のランク付け
このうちJPNランキングについては、毎年、国際ハンデキャッパー会議によってワールド・サラブレッド・レースホース・ランキングに反映される。
JRA内での役職は「公正室ハンデキャップ役」である。
[編集] 日本の主なハンデキャップ競走
- 目黒記念(東京競馬場)
- アルゼンチン共和国杯(東京競馬場)
- 日経新春杯(京都競馬場)
- クイーン賞(船橋競馬場・交流重賞として初めてのハンデキャップ競走)
- 兵庫ゴールドトロフィー(園田競馬場)
- サマーチャンピオン(佐賀競馬場)
[編集] 日本以外の主なハンデキャップ競走
- サンタアニタハンデキャップ(サンタアニタパーク競馬場)
- メルボルンカップ(フレミントン競馬場)