ハンドボール
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ハンドボール (handball) は、7人ずつの2組がボ-ルを相手のゴールに投げ入れて勝負を競うスポーツである。走・跳・投という運動における基本三要素を全て求められ、ダイナミックなシュートシーン、スピーディーな試合展開が魅力。日本ではマイナースポーツな感は否めないが、本場ヨーロッパではサッカーに次ぐ人気スポーツである。
日本語では送球(そうきゅう)とも呼ばれ、中国語では手球という。
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[編集] 歴史
1890年代にホルガー・ニールセンが考案し北欧を中心に行われていた7人制と、1910年代に現在のドイツ・ベルリンで女子を中心に行われていた11人制の2つの形式で始まった。
その後、日本には1922年7月24日、大谷武一が大日本体育学会において11人制を紹介、1952年には7人制が初めて行われ、以降、7人制が普及した。
男子競技が夏季オリンピックに正式種目に採用されたのは1936年のベルリンオリンピックからで、アドルフ・ヒトラーの特別要求によって実現した。一時期正式種目から外されるが、1972年のミュンヘンオリンピックから復活した。
一方、女子競技については、1976年のモントリオールオリンピックから正式種目になった。
日本がオリンピックに出場したのは、男子が1972年、女子が1976年が最初である。以降前者が1976年、1984年、1988年の合計4回、後者は一度も出場していない。
[編集] ルール
- 選手の交代は無制限。レフェリーに申告することなく、インプレー中に何度でも交代することができる。
- 明らかな得点機会を反則によって防いだ場合やライン内DF(明らかに得点不可な場合でも)をした場合、7メートルスローが与えられる。
[編集] プレーヤーの数について
- 1チーム、フィールドプレーヤー6人と、ゴールキーパー1人の合計7人で行う。
- ゴールキーパーの代わりに通常のフィールドプレーヤーと区別することのできるベストを着ることによって、7人目のフィールドプレーヤーを出すことができる。この場合には、ゴールキーパーは当然、いてはいけない。
- 選手の交代は自由で、いつでも何回でも変わることが出来る。
- 退場したゴールキーパーの代わりにフィールドプレーヤーがゴールを守ってもよいが、その場合ゴールキーパーとなるプレーヤーはフィールドプレーヤーのユニフォームと異なる色の服を着ていなければならない。
[編集] ボールの移動
ボールはパスとドリブルでつなぐ。ボールを持って歩くことができるのは3歩以内で、ボールを持ったときを0歩として数える。また、空中でボールをつかんだ場合、地面についたときを0として数える。
[編集] 得点
ボールがゴールラインを完全に通過したら1点で、最終的に得点の多かったチームを勝ちとする。
[編集] 違反
反則名 | 概要 |
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ラインクロス |
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ダブルドリブル |
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オーバーステップ |
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オーバータイム |
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ホールディング |
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プッシング |
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チャージング |
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ハッキング |
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キックボール |
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ジャックル |
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[編集] 罰則
罰則名 | 概要 |
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警告(イエローカード) |
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退場 |
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失格(レッドカード) |
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追放 |
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[編集] 用語
- ゴールエリア:ゴールを中心とする半径6メートルの半円状のエリア。ゴールキーパーのみこの中でプレーすることができる。他の選手はオフェンス・ディフェンスを問わず、この中でプレーすると反則となる(足を着かずに空中のプレーであれば可)。ゴールキーパーはボールを持っていてもこの中であれば制限なく歩くことができる。
- フリースロー:プレーヤーによる違反行為があった場合に、反則が行われた場所(反則が行われた場所がフリースローラインより内側だった場合は、一番近いフリースローライン上)から行われる。直接ゴールを狙うことも出来る。
- スカイプレー:フィールドプレーヤーが通常入れない6mエリア(ゴールエリア)内にボールを出し、別のフィールドプレーヤーが空中でそれをキャッチしてそのままシュートにつなげるプレー。空中でキャッチしたプレーヤーがさらに別のプレーヤーにパスをするなど、2連続、3連続のスカイプレーも存在する。国際的にはドイツの名選手であったベルンハルド・ケンパ(Bernhard Kempa、1920年11月19日 - )に因み「ケンパ・トリック(Kempa-Trick)」という。
[編集] ポジション
- ゴールキーパー・・・自チームのゴールエリア内に位置し、全身を使い相手プレーヤーのシュートから自チームのゴールを守る。ゴールエリアの外に出てフィールドプレーヤーとしてプレーすることも可能であるが、その時はフィールドプレーヤー同様、ボールを持って3歩以内しか歩くことはできない。また、相手のシュートからの速攻では20m以上の距離に正確に投げる技術が必要とされる。GKの技術でチームの能力を判断することもあるが、よい判断とはならない。高レベルの試合になるとGKの出来が勝敗に直接関わってくる。一番運動能力がある選手がGKになるべきとうたう指導者も数多くいる。
- 左45度(ひだりよんじゅうごど)・・・正45とも。相手GKから見て前方45度に位置するプレーヤーであることからこの名で呼ばれる。右利きであることが多い。ロングシュート、ミドルシュート、ブラインドプレイや個人技が必要とされる。フェイントの技術がその選手の技術の鏡となる。またディフェンスでも非常に重要な位置とされ、すべてのポジションと関わりをもつため、広い視野が必要とされる。
- センター・・・攻撃の要。両45ポジションと共に攻撃の起点を作り、隙あれば自らロング、ミドルのシュートをうつ。ダブルポストなど、特殊な戦術の場合は省かれるポジションでもある。ディフェンスではポスト、センターの両方見ながら、速攻の機会をうかがう気配り力が必要とされる。フットワークを最も繰り返すポジションであるため体力、技術ともにバランスよく高いスキルが必要となる。チームのエースはよくここにいる。
- 右45度(みぎよんじゅうごど)・・・逆45度とも。左45とは左右対称の逆ポジション。そのため左利きが理想とされる。基本のプレースタイルはは左45と同様。
- 左サイド、右サイド(ひだりさいど、みぎさいど)・・・右サイドは、逆サイドとも。45度のサポート、サイドシュートなどをする。また、フィールド中心に向かって走りこむことにより攻撃に変化を生み出すことができる。さらに特徴としては、両端に位置するポジションのため、攻撃から守備(もしくは守備から攻撃)への変換点に置いていち早く反応をすることができ、速攻などに活躍することの多いポジションでもある。左サイドは右利き、右サイドには左利きが理想とされる。
- ポスト・・・ゴールに背を向け、相手DFライン上で攻撃のサポートをしたり、時にディフェンスの壁を破って、自らもシュートを打つ。チームの頭脳的存在。攻撃パターンとしてブロック、裏を使うなどがあげられる。多彩な戦術を相手、自分たちの状況によって使い分け、各ポジションとのうちあわせ、サインの確認などが必要とされる。度胸、頭脳、ともに併せ持つ選手が理想とされる。
センター、両45の3つのポジションを総称してフローター、バックプレーヤーまたは上三枚という。以前はセンターはフェイントのキレる司令塔、45度はロングシュートを狙う高身長の大砲という組み合わせが主流であったが、近年では3人が流動的にポジションチェンジを行うことによってディフェンスを揺さぶる戦術が主流のため、3人ともにオールラウンドな能力が求められている。
上記フィールドプレーヤーのポジションにおいて人数の決まりはない。そのため、それぞれのチームの攻撃パターンによって様々なスタイルが存在する。特に、センター、ポストなどは流動的であり、「センターを置かない」、「ポストが二人(ダブルポスト)」、「ポストが一人」など、時にはゲーム中においても変化することもある。また、オフェンスとディフェンスでポジションが違ったり、オフェンスが終わるごとに選手交代したりする場合がある。(ハンドボールでは選手交代の回数が無制限であるため)
[編集] 日本の関連する主な選手権
- 全日本実業団選手権
- 国民体育大会
- 全日本総合選手権
- 日本リーグ
- 東アジアハンドボールクラブ選手権
- 全日本室内総合選手権
- 全日本選手権
[編集] ハンドボールを扱った作品
- 彦市HEART(ささけん)
- THROW OFF(佐久間力)
- 大好王(道元宗紀)
- HAND'S -ハンズ-(板倉雄一)