バーチャルオフィス
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バーチャルオフィス(Virtual office)という表現には、現在2つの用法が存在している。
この2つの言葉はそれぞれオフィスに必要な機能を、「実際のオフィスを必要とすることなく実現する」という意味をもった言葉である。 ここで簡単にオフィスの機能を振り返ってから、2つのアプローチがどのように代替しているのかみていく。
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[編集] オフィスの機能
オフィスの機能を考えてみると
- 執務スペース機能「オフィスは机とイスである。」
- 内部コミュニケーション機能「オフィスは打合せ・会議の場である」
- 社会的連絡先機能「オフィスは社会的な看板である」
- 顧客応対機能「オフィスは受付・商談・応対の場である」
- 倉庫・物流機能「オフィスは金庫であり物置であり郵便ポストである」
というように分けることができるだろう。
この機能を一応の前提として置いた上で、以下2つのアプローチのバーチャルオフィスについて考察する。
[編集] ITインフラによるオフィスの再現
対向島型の日本の伝統的なオフィスで課長のもと男性総合職が女性事務職にお茶をついでもらう、というオフィスの形はインターネットに代表されるコミュニケーションネットワークの発達や会社内部での情報共有の電子化等によってその姿を大きく変えつつある。携帯電話の急速な普及を皮切りに、ロータスノーツやサイボウズに代表されるグループウェアやテレビ電話・電話会議システムはもとよりSkypeなどのインターネット電話の普及がこの流れを一層後押ししており、もはやなんら特別な事ではなくなりつつある感もある。
ここでいうところのバーチャルオフィスはオフィスの機能でいうところの2.内部コミュニケーション機能と4.顧客対応機能をITインフラを通じて実現することで、場所を共有しなくても仕事を一緒に薦めていけるというスタイルであるといえる。
[編集] レンタルオフィスのサービス提供形態
実際に入居することなく住所・電話番号をサービスベンダーから借り受け、届いた郵便物は転送し、かかってきた電話にはオペレーターが応対するようなサービスをバーチャルオフィスという。「あたかも入居しているように」オフィスの機能が用意できることで、実際にオフィスを開設する際に発生するイニシャルコストを大幅に削減し、スペースや対応する事務社員の人件費を月額1万から5万円程度までに圧縮できる事もあって、スタートアップ時のベンチャー企業や都心部にクライアントをもつSOHOを中心に利用が広がっているサービス。最近では営業所を縮小してバーチャルオフィスに切り替える企業も増えている。ここでは先にあげたオフィスの機能の全てが一定の制限の元実現されている。(金庫・倉庫の機能も外部倉庫を組み合わせる事で解消している事業者もいる。)採算性のないサービスを徒にふやして運営コストをかさませることの愚を意識している企業も多いことから、コスト削減の一つのアプローチとして検討する企業への対応とも考えられる。
[編集] 提供事業者と特徴
主な運営者はインキュベーションオフィス、レンタルオフィス、電話代行業者、私設私書箱業者でそれぞれ得手不得手があるので、利用を検討する際は注意が必要となる。
電話応対に関しては一般的な電話代行業者のサービスレベルが一つの基準となるだろう。実現方法としてはコールセンターを用意している所もあれば、施設の受付が兼任する場合もあり、それぞれ一長一短がある。たとえばバーチャルオフィスでは、実際の連絡先住所を表記する事が多いので、クライアントやパートナーが実際に訪問してきたり、郵便物が届く事もある。施設の受付が電話応対を兼ねる場合、訪問者とのコミュニケーションの面では兼任の方が対応がよい場合もあるだろう。しかし一方でセキュリティの面で言えば、共用受付で取引先の名前や要件を復唱されたり、入退室が簡易であるためフィジカルセキュリティへの配慮が浅い可能性もある。その代わりローコストオペレーションを実現してるのでトレードオフであることは致し方ない。コスト、顧客へのイメージ、セキュリティや来訪時のイメージまでも含めた自社のブランド管理を意識した判断が求められる。
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