パワーアップキット
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パワーアップキット(ぱわーあっぷきっと、英語:PowerUpKit)は、主にシミュレーションゲームにおいて機能の拡張を目的としたソフト、いわゆる拡張パックの一種である。「パワーアップキッド」は誤り。略称・通称については略称・通称の項参照。
「パワーアップキット」という名の拡張パックはいくつものメーカーから出ており、更にゲーム以外の実用ソフトにも存在する。また「パワーアップキット」が有償ではなく、無償でダウンロードできる場合もある。しかし頻繁に話題に上るのはコーエー作品に関するものがほとんどであることより、以降コーエー作品のものを前提とする。ただし他社の作品においても共通する部分が多いように記述する。また実際のソフト名は「パワーアップキット」でない、例えば「パワーアップパック」や「パワーアップツール」なども「パワーアップキット」と便宜上呼ばれることもある。
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[編集] 発売の背景
三國志シリーズではIVよりパワーアップキットが発売されたが、この背景にはIIIにおいて改造データが他社により販売されたことが影響していると言われている。詳しくは三國志III#裁判、三國志事件を参照。
なお信長の野望シリーズでは覇王伝より発売されたが、PC98版のみの発売だった。次の作品である天翔記よりWindows版その他コンシューマ版が発売になった。
もう一つの発売理由として、ユーザーからの苦情が挙げられる。コーエーには数多く登場人物(歴史シミュレーションに限れば登場武将)に関する意見が寄せられており、熱心なユーザーの中には自分が考えた能力数値表や登場させてほしい武将の資料を送る者もいる。そのため、そういった声に対応するためのツールとしての側面もある。また月刊「LOGiN」誌上で戦国武将と三国志の武将の史実における実績を紹介した上でコーエーゲームの能力数値設定と比較検証するコーナーが人気を呼んだ事も影響している。
[編集] 略称・通称
しばしば「PK(ピーケー)」「PUK(ピーユーケー)」「パワキ」などと略される。PKと略される言葉にはさまざまなものがあり、混乱を防止したい場合は比較的混乱のおそれの少ない「PUK」を使うが、以降の文章では混乱のおそれなしとして「PK」と略す。
またPKを適用前のソフトは「無印」「通常版」「本体」「非PK」などと呼ばれる。こちらも同様に、あるいはそれ以上に混乱を避けるために(例えば限定版も出ている作品など)どの言葉が用いられるかは変わってくる。本稿では「無印」と呼ぶ。
[編集] パソコン版とコンシューマ版の違いと混乱
パソコン版の場合、無印と別売りで発売されるほか、「withパワーアップキット」(あるいは「withPK」「withPUK」)として無印とPKのセットでも発売される。無印とPKを別々に買った場合もwithPKを買った場合も、無印をインストール後にPKをインストールすることになる。(PKのインストール後はPKのディスクを入れてプレイする。)ただし古い作品で比較的ソフトの容量が小さいものは1つのソフトになっているものも一部ある。この場合は無印とPKが同時にインストールされる。
一方コンシューマ版の場合、無印とwithPKが発売される。withPKはそれのみで起動可能で、無印は必要ない。逆に言えば無印を持っていてもwithPKを買わなければならないが、無印のセーブデータがあると何らかの特典がある作品も存在する。過去にPKのみでのいわゆるアペンドディスク、PKディスクからの起動はできずに無印で起動後にPKとディスクを入れ替えるなどして使用する形でリリースのケースが他社も含めてあるかどうかは未確認である。
ここまでの説明で分かる通り、パソコン版の場合は(無印をインストールすることなく)PK単体ではゲームのインストール及びプレイはできない。しかしパソコン版・コンシューマ版問わず文脈上「PK」が「PK単体」のみならず「withPK」「PKインストール後のゲーム」などを表すこともあるので購入の際は注意が必要である。
[編集] 類似の概念
「真・三國無双」「戦国無双」シリーズのプレイステーション2で発売されている、「猛将伝」「Empires」もゲームの機能を拡張する点ではパワーアップキットと共通するが、無印なしでもプレイはできる。ただし無印と両方がなければ全てのモードはプレイできない。
パソコン版でも鋼鉄の咆哮2のエクストラキットは無印がなくてもインストールでき、「猛将伝」などと共通している。
拡張パックの項も参照。いずれにしろ無印が必要かどうかは購入前に確認する必要がある。
[編集] 内容
作品により「パワーアップ」される要素は異なるが、代表的なものを挙げる。
- 各種エディタ(主に人物、拠点、アイテムなど):なおPK登場初期の作品は新武将作成もパワーアップキットがないとできなかったが、近年の作品については新武将作成は無印でも可となり、既存武将の能力エディットには要PKとなった。
- 新シナリオ・新イベント・新キャラクターの追加
- 新ルール・新要素の追加
- 思考ルーチンの強化
- 短時間プレイ向けモード:あらかじめ決められた(もしくはプレイヤー自身の設定した)目標をクリアすることを目指す。達成の可否により次の目標が決められるものもある。1プレイが長くなりがちなシミュレーションを短時間でも楽しめるようになっている。
- 関連知識の事典機能
- 年表作成機能
[編集] 現状
コーエー作品についてはパワーアップキット発売が常態化しており、コーエー側もユーザー側も発売を前提としている面がある。そのため「コーエー商法」「パワーアップキット商法」として次のような批判がある。(前述の無双シリーズの「猛将伝」「Empires」も含めて批判される場合も多い。)
- PKのエディタ機能はユーザー側で難易度調整をするための手段として極めて重要である。このため無印にもはじめからせめてエディタを付けて欲しいとの声が聞かれる。PKの発売前に(あるいは発売後もPK搭載のエディタを補うために)パソコン版では私家版エディタを作成・利用するユーザーもいる。
- 無印の調整不足をPKで修正することを前提としているのではないかと開発姿勢を疑う者もいる。
- 無印の購入を手控えるユーザーや、更に廉価版の発売まで待って購入するユーザーも増加している。
こうした声を意識してか、2005年にWin版が発売された信長の野望・革新については2007年3月現在もPKが発表されておらず、同PS2版にはエディタが無印に搭載されたことにより、以降PK発売はされないのではないかとも噂された。しかし三國志11のPKは発売・発表されており、今後もPKは発売されるようである。
一方で一度発売された作品のシステムを再活用することで作品寿命を伸ばすことができるため、シミュレーションゲームにおいてパワーアップキットあるいはより一般的に拡張パックが発売されることはコーエー作品以外でも常態化している。にも関わらずコーエーに批判が集中していることは良くも悪くもコーエーの影響力を物語っているとも言える。
[編集] 関連項目
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