コーエー
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種類 | 株式会社 |
市場情報 | 東証1部9654 |
略称 | コーエー |
本社所在地 | 223-8503 横浜市港北区箕輪町1-18-12 |
電話番号 | 045-561-6888 |
設立 | 1978年7月25日 |
業種 | 情報・通信業 |
事業内容 | パーソナルコンピュータ・家庭用ビデオゲーム機用ソフトウェアの企画・開発・販売 書籍及びCDの企画・制作・販売 |
代表者 | 松原健二 |
資本金 | 90億9,081万円(2006年3月31日現在) |
売上高 | 262億2,400万円(2006年3月期、連結) |
総資産 | 647億5,800万円(2006年3月期、連結) |
従業員数 | 873人(2006年3月31日現在、連結) |
決算期 | 3月末日 |
関係する人物 | 襟川陽一(ファウンダー取締役最高顧問) |
外部リンク | www.gamecity.ne.jp |
株式会社コーエーは、パソコンのゲームソフト・開発ツール及び家庭用ゲーム機用のゲームソフト・関連書籍(タイトルは自社・他社を問わず出版)制作会社である。旧社名及び現在の登記上の社名は光栄。昭和53年(1978年)7月25日、栃木県足利市に設立。現在の本社は横浜市港北区箕輪町にある。
目次 |
[編集] 概要
[編集] 活動・作品・その他情報
当初はちりめん問屋として創業。その後、当時の学生ベンチャーで流行していたレコードレンタルなど異業種に進出し(この当時のアルバイト店員に後のスクウェア社長・鈴木尚がいる)、パソコン黎明期の1980年、コンピュータゲームソフト制作に参入。そのまま業種を転換した。
1981年発売のパソコン用シミュレーションゲーム『川中島の合戦』以来、そのジャンルを中心に制作してきたが、1997年のプレイステーション用対戦格闘ゲーム『三國無双』を皮切りに、現在はアクションゲームの製作にも力をいれている。
『信長の野望シリーズ』と『三國志シリーズ』を主力に、「歴史シミュレーションゲーム」というジャンルを定着させ、『真・三國無双』以降には、それまでシミュレーションが苦手なユーザーをも取り込み、もはや歴史ゲーム業界の老舗中の老舗である。両歴史作品から、日本の戦国時代や中国の三国時代の歴史に興味を持った者が多い事は良く知られている。
全般的に、特に長らく主力製品であった『信長の野望』『三國志』シリーズは他社製品よりも高価であったが(情報収集料のためと説明されている)、Windows95移行後は、作品の販売価格の低価格化・旧作の廉価販売を行っている。
また、1994年に発表された恋愛シミュレーションゲーム、『アンジェリーク』は業界初の女性による女性ユーザーのための恋愛育成シミュレーションゲームである。『アンジェリーク』以降、他社でも同様の作品を作成するようになり、現在では女性向け恋愛シミュレーションゲームはジャンルとして確立している。
一時期、(『ウイニングポスト7』から『真・三國無双3ハイパー』までの間)海賊版対策として、ネットワーク認証システムをパソコンゲームソフトに導入したが、常に接続していなければゲームをプレイすることが出来ないという仕様が、ユーザーに反発された事により『信長の野望・革新』以降、このシステムはほとんどの作品で廃止されたが『ウイニングポスト7 パワーアップキット』には搭載されたままであった。
その後、新たにネット接続により別ユーザーの行動などを統計・公開するNetJoyシステムが導入された。
その他、コーエーの特徴の一つとして、90年代後半から『~パワーアップキット』『~猛将伝』『~Empires』というシリーズのゲームにデータ編集・拡張を行えるキットや、それと本体がセットされた『~with パワーアップキット』などを追加で開発・販売している事が挙げられてる。この販売方法に関しては、一部のユーザーからは「コーエー商法」(後述)と揶揄され、批判の的となっている。
以前、社内関係者が社内LANからMMOゲーム評価サイトに接続して投票するという不正行為をしたことが発覚し問題となり、後に公式ホームページでの謝罪文が掲載された。また、声優の塩沢兼人が急逝した直後、通夜の前にもかかわらず「追悼セール」と称して塩沢が声を担当したゲームやドラマCDのセット販売を行い、不謹慎であるという批判を受けた。
[編集] GAMECITY
コーエーのゲーム情報サイトであるGAMECITYで提供されるサービスを利用するためにはGAMECITY市民登録が必要となることがある。具体的には後述するオンラインユーザー登録時やコーエーファンクラブへの入会時、オンラインショッピング(コーエー作品以外も一部扱っている)の利用、オンラインゲームのアカウント作成時などに必要となる。
なおコーエーの「公式」サイトはkoei.co.jpで、以前はゲーム情報もこちらに掲載されていたが、現在はサポート情報など一部を除きGAMECITYに掲載されている。
[編集] ユーザー層
ほぼシミュレーションゲームの専門メーカーだった頃はそのジャンルの特色のため、いわゆるヘビーユーザーがメインの購入者層と言えたが、『真・三國無双』シリーズ等で新たなファン層(ライトユーザー)を獲得した。それまでのユーザーとの住み分けが比較的はっきりしており、メーカー自体も開発方針、製品がライトユーザー向け・ヘビーユーザー向けという風に区別されているのも特徴である。
一方、『真・三國無双』シリーズの大ヒットに起因するライトユーザーの大量流入の影響か、それまでの『信長の野望』や『三國志』といった古参のタイトルさえもキャラクターゲーム化(戦闘シーンの完全3D化や、槍衾・斉射・突撃・鉄壁などの特技の導入とそれら特技の発動時の映像効果など)の傾向が見られるようになったことを敬遠する、あるいはライトユーザーの流入自体に否定的な態度を取る、一部のヘビーユーザーもいる。
[編集] 社名
[編集] 変遷
光栄マイコンシステム(KOEY)(設立当初~?)→光栄(KOEI)(?~1999年のCI導入まで)→コーエー(koei)(CI導入後~)。なお会社登記上は現在も「光栄」であり、書籍の奥付などでは「光栄」の表記が現在でも使われている。
[編集] 由来
「光り栄える会社に」という願いをこめて名づけられた。また偶然か意図的かわからないが、「KOEI」を並び替えると創業者である襟川陽一の出身校である「KEIO」(慶應義塾大学)となる。ちなみに本社ビルは母校から徒歩5分の位置にある。
なお、アルファベット表記については当初は「KOEY」であったが、外国人には「コーイー」としか読めないという指摘を受けたために「KOEI」に改めた。現在は小文字表記で「koei」となっている。
[編集] ロゴ
ゲーム開始画面などで現れるコーエーのロゴの特徴を示す。
- 初代
- 黒い画面にKOEI等と赤い文字で記されたもの。
- 2代目
- 次に登場したロゴ画面は同様の黒い画面で重厚なあるいは誇らしい音楽とともに現れ一瞬光る。
- 3代目
- CI導入後は2代目までとは打って変わって白い背景に黒い文字で、小さな丸がひょこひょこ移動するようなものであり、音楽も軽い親しみやすい印象を与える。
初代及び2代目と3代目では与える印象がかなり異なる。3代目ロゴには当初歴史シミュレーションなど男性向きで硬派なイメージがコーエーにはあったが、今までそういったジャンルにあまり興味を示さなかった小さい子供や女性ファン等をユーザーに取り込もうという企業戦略が読み取れる。あるいは、ロゴ画面がコントローラでスキップできないことから、その時間をユーザが不快に感じないようにとの見方もある。
[編集] 関連企業
なお、旧コーエークレジット(現:GEコンシューマー・ファイナンス(レイク))とは、何の関係もない。
[編集] 現在発売中のゲーム作品
発売中の作品は、コーエー定番シリーズとして復刻された作品を含む。
[編集] 歴史シミュレーション
- 上記3シリーズを総称して「歴史三部作」という呼称が用いられ、いずれのシリーズも続編が製作され続けたが、そのうち「蒼き狼と白き牝鹿シリーズ」は1998年の4作目以降続編が製作されておらず、以後「歴史三部作」の呼称も用いられなくなっている。
[編集] REKOEITION(リコエイション)
このシリーズの初作は「維新の嵐」であるが、シミュレーションゲームとロールプレイングゲームの中間のような、それまでのゲームとは違ったシステムであったために企業名を冠したこの造語が用いられた。正確には「リ・コエイション」である。
[編集] WW2
- 提督の決断シリーズ
- ヨーロッパ戦線
[編集] イマジネーションゲーム
- ロイヤルブラッドシリーズ
[編集] RPG
[編集] シミュレーションRPG
[編集] 英傑伝シリーズ
もともとはリコエイションゲームとして発売されたが、後に独立シリーズとなった。
- 三國志英傑伝
- 三国志英傑伝外伝
- 毛利元就 誓いの三矢
- 織田信長伝
[編集] 戦略シミュレーション
- 決戦シリーズ
- 三國志戦記シリーズ
- 凱歌の号砲
[編集] アクションゲーム
[編集] ビジネスシミュレーション
[編集] テーブルゲーム
- 麻雀大会シリーズ
- 雀・三國無双
[編集] 競馬
[編集] 恋愛シミュレーション
[編集] 女性向け
[編集] オンラインゲーム
- アプサラス (コーエー)
- 信長の野望Online
- 大航海時代Online
- 三国志Battlefield
- 信長の野望Internet
- 三国志Internet
[編集] 過去発売していたゲーム作品
[編集] 歴史シミュレーション
[編集] REKOEITION(リコエイション)
- 神々の大地 古事記外伝
- プロジェネター
[編集] イマジネーションゲーム
- ケルトの聖戦
[編集] アダルト
- ナイトライフ
- ストロベリーポルノシリーズ
- 団地妻の誘惑
- オランダ妻は電気ウナギの夢を見るか?
- マイ・ロリータ
[編集] RPG
- ダンジョン
- タイムエンパイア
[編集] WW2
- コンバット
- Das Boot
[編集] アドベンチャー
[編集] アクションゲーム
[編集] ビジネスシミュレーション
- トップマネジメント
- リーディングカンパニー
[編集] テーブルゲーム
- たのしい麻雀
[編集] スポーツ
- ゴルフ大会
- セ・パ2001
[編集] アーティスト人生シミュレーション
- ライフ・イズ・ミュージック
[編集] 恋愛シミュレーション
[編集] 男性向け
- 約束の絆
[編集] 特殊もの
- スーパードッグワールド
- エミット 英語学習ソフト。書き下ろし原案赤川次郎、作画いのまたむつみ 、音楽小室哲哉、主題歌篠原涼子、ヒロイン役声優林原めぐみ(日本語音声部分)と豪華であった。1995年に日本ソフトウェア大賞の読売新聞社賞受賞を受賞している。FM TOWNSを最初にPC、プレイステーション、セガサターン、スーパーファミコン、3DOでリリースされた。CD-ROMを持たないスーパーファミコン版は別にオーディオCDプレイヤーを用意し、スーパーファミコンから制御させて音声の出力を行う必要があった。タイトルのエミット (EMIT) は「TIME」の綴りをひっくり返したもの。
- vol.1「時の迷子」
- vol.2「命がけの旅」
- vol.3「私にさよならを」
- ダークハンター
- HOIHOI(ゲームボーイ版はパズルゲーム)
[編集] サウンドウェア
「信長の野望・戦国群雄伝」からしばらくの間、「with サウンドウェア」と称して、ゲーム中の音楽をアレンジしたオーディオCDを付属させた限定版も通常版と並んで販売された。PC版「with サウンドウェア」バージョンは、通常版よりも2週間程度先行して発売され、早く手に入れたい人は通常版よりも価格がやや高いのを承知でこちらを選んでいた。ゲーム機版は先行発売などはなく、サウンドウェア付きはレアな存在である。
サウンドウェアのCDは、レコード店で単体発売もされていたが、PCのサウンド機能向上とともに媒体がCD-ROMへ移行して、CD-DAでBGMを入れてしまうようになってくると、サウンドウェアという展開はフェードアウトしてしまった。それでもCD-ROM初期はサウンドウェアのBGMをCD-DAで収録し、そのCD-ROMディスクそのものをサウンドウェアとして扱い、サウンドウェア版のみの展開をしていた機種もあったが、そういった機種もゲームの大容量化に伴い次第にWMA形式や独自形式などに移行した。
[編集] コーエー歴史シミュレーションゲームへの賛否
決してコーエー制作の歴史シミュレーションのみの特徴と言えるものばかりではないが、代表的不満として次のようなことが言われている。
- ある程度プレイヤー担当勢力が大きくなると、以降のプレイが単調になりがち。具体的には、
- 戦争や外交で敵対勢力を屈服させることがあまりに容易になり過ぎて、手応えがなくなる。単調作業になる。
- 「強大勢力をまとめ上げる苦楽」が「弱小勢力からのし上がる苦楽」ほど表現されていない。そもそも弱小時と強大時を同じゲームシステムで表現することに無理がある面もある。
- クリア条件を満たした後もプレイを継続したいという要望。
- いずれの不満の解消策も過去何回か提示されたことがある。信長の野望・天下創世における決戦システム、三國志IXパワーアップキットにおける勢力統合システム、蒼き狼と白き牝鹿―ジンギスカンにおけるモンゴル編・世界編、大航海時代IIIにおけるライバルの引退までゲーム続行可能なシステムその他がそれに当たる。
- シリーズ化されている作品であっても、ほぼ毎回システムが作り直される。これにより、
- 前の作品で好評だった要素が必ずしも新作に受け継がれない。
- コンピュータの思考ルーチンがシリーズを追っても進歩せず、明らかに不合理な行動を取ることがある。
- 同様にシステム面やユーザーインターフェイスの不備、練り込み不足やバグが目立つ。
- 時代考証上おかしい部分が出てくる。(当時では考えられない兵動員数同士で戦闘可能など)
- なぜコーエーがゲームエンジンの改良を行わず、傍目には非効率的と受け取れるような開発方法を採用しているかは不明である。「完成度の高い作品を作ってしまうとそれでユーザーが満足してしまい、以降の作品が売れなくなるから」「歴史の予備知識もシミュレーションゲームの経験もない新規ユーザーもいるので、要求レベルを低くせざるを得ないから」などの仮説が考えられているが、いずれも推測の域を出ない。
- 能力値中心主義への不満。
- 歴史上メジャーな人物・勢力への能力値設定が過大評価(あるいは逆に過小)であり、それにより誤解を流布させている部分がある。
- それに対して、マイナーな人物に対しては評価がいい加減な側面もある。
- その他現在は誤り、あるいは疑わしいとされている以前の通説・俗説をゲームの演出上その他のためとは言え、あえて採用し誤解を再生産しているとの指摘。また中にはコーエー自身により生み出されたイメージもある。
- そもそも能力値を設定しないと成り立たないようなゲームシステムを批判する声もある。
- いわゆる「コーエー商法」と呼ばれるもの。
- パワーアップキット(PK)発売・購入を前提としているとも揶揄されるような無印での調整不足。そのため最近はPK版発売まで、更には廉価版の発売までソフトを買い控えるユーザーが増加傾向にある。
- マニュアルが貧弱で、攻略本やキャラクターファイルを購入、あるいはインターネット上で情報収集をしないとゲームの細部を把握できないようになっている。
- コーエーファンクラブへの入会が必要なサービスが一部ある。(追加ツールやデータのダウンロード、オフィシャル掲示板への書き込みなど)
- パソコン版へのさまざまな不満。
- 近年の作品はシリアルによるユーザー登録を行っている。一度登録されたシリアルでの再登録は不可能なため、知らずに中古で購入したユーザーはパッチや追加プログラムなどのダウンロードをはじめとしたユーザーズページの利用ができないことがある。パワーアップキットを別途購入しても一部の製品を除けばPKにはシリアルは付属しないため、たとえPKが新品であってもパッチのダウンロードができない。
- ソースネクスト販売やダウンロード販売の作品については新品で買ってもシリアル不付属なので、中古で買った場合と同じことが言える。ただしソースネクスト販売の2006年10月以降に発売されたタイトルについてはシリアルが付いているのでユーザー登録可能である。
- またユーザー登録制度のできる前の作品についてパッチが欲しい場合はコーエーに問い合わせて送付してもらわなければならず、Webサイトからのダウンロードはできない。
- PCゲームの長所の1つとして高カスタマイズ性が挙げられるが、コーエー作品はMOD制作のための仕様公開などには消極的である。
- 主なコンシューマ移植先がプレイステーション2に移行後は、PC無印→PS2無印→PCPK→PS2PKの順番で発売され、またこの順番で改良・新要素の追加がされるのがほとんどである。(前述のコーエーファンクラブ特典の要素がPS2版にははじめから付いている場合もある。)そのため「PC版ユーザーをPS2版のβテスター扱いしている」「PS2版要素をPC版に追加するパッチを出すべき」との意見もある。
- 近年の作品はシリアルによるユーザー登録を行っている。一度登録されたシリアルでの再登録は不可能なため、知らずに中古で購入したユーザーはパッチや追加プログラムなどのダウンロードをはじめとしたユーザーズページの利用ができないことがある。パワーアップキットを別途購入しても一部の製品を除けばPKにはシリアルは付属しないため、たとえPKが新品であってもパッチのダウンロードができない。
現在歴史シミュレーションを日本国内で商業ベースで新作発表を続けているのは事実上コーエー一社のみであり、批判が同社へ過剰に集中している面はある。しかし独占状態であるがゆえに作品の質・量両面において向上を怠っているのではないかと見る向きもある。
一方PCゲームの売り上げが芳しいと言えず、撤退するメーカーが多い中、数少ない国産PCゲームメーカーとして20年以上もPC向けに歴史シミュレーションを出し続けていることは賞賛に値することなのは事実である。またコーエー作品が(誤謬も多く含まれるとは言っても)歴史、特に戦国時代や三国志へ興味を抱くきっかけを与えていることは確かである。
しかし近年は戦国時代・三国志以外を取り上げた作品の発表が皆無であり(大航海時代OnlineはMMORPGのため除外)、他の時代を取り上げた過去作の続編を望む声も根強い。