ベトナムの国家主席
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ベトナムの国家主席(ベトナムのこっかしゅせき)は、ベトナム社会主義共和国の国家元首。原語を直訳するとベトナム社会主義共和国主席(vi: chủ tịch nước Cộng hòa Xã hội chủ nghĩa Việt Nam)となる。ベトナム民主共和国の1946年憲法以来規定されていたが、1980年憲法ではソビエト型制度を採用、国家主席職を廃止して国会の常設機関である国家評議会を設置し、これを「集団的な国家主席」と規定した(第98条、つまり厳密には国家評議会議長が単独で元首となるわけではない)。現行の1992年憲法制定時には紆余曲折の末に国家主席職を復活した。なお、同国は漢字を廃止しており、また日本の主要マスコミが最近までベトナム語メディアを直接のニュースソースとしなかったことから、日本では相当する漢字をあてた「主席」よりもヨーロッパ諸語の報道から翻訳した「大統領」と呼ばれることが多かった。
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[編集] 選出規定・職責
国会議員の中から国会が選出する間接選挙制を採用。任期は5年。
国会が選出する国家副主席、首相、最高人民裁判所長官、最高人民検察院長の指名権及び国会への罷免請求権をもつ。国会を通過した法令等の公布を行う(提案権や拒否権は持たない)。対内、対外的に国家を代表するが、共産党書記長が兼任しないことが慣例となっているため、政治的実権に乏しく、名誉職的な色彩が強い。
[編集] ベトナム社会主義共和国歴代元首
- 初代 トン・ドゥック・タン (孫德勝、名称: 国家主席、任期: 1976年7月2日 - 1980年3月30日)
- (代理) グエン・フー・ト (阮友壽、任期: 1980年3月30日 - 1981年7月4日)
- 二代 チュオン・チン (長征、名称: 国家評議会議長、任期: 1981年7月4日 - 1987年6月18日)
- 三代 ボー・チ・コン (武志公、名称: 国家評議会議長、任期: 1987年6月18日 - 1992年9月22日)
- 四代 レー・ドゥック・アイン (黎德英、名称: 国家主席、任期: 1992年9月22日 - 1997年9月24日)
- 五代 チャン・ドゥック・ルオン (陳德良、名称: 国家主席、任期: 1997年9月24日 - 2006年6月26日)
- 六代 グエン・ミン・チェット (阮明哲、名称: 国家主席、任期: 2006年6月27日 - )
[編集] 参考文献
- 鮎京正訓『ベトナム憲法史』(日本評論社、1993年) ISBN 4535580707