マスカット・オブ・アレキサンドリア
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マスカット・オブ・アレキサンドリア(Muscat of Alexandria)は、ブドウの品種の一つで、マスカット[1]の一種である。
エジプト原産の非常に古い品種で、淡黄緑色(エメラルド色)の長円形の大粒の実をつけ、甘みが強く、強いマスカット香が特徴である。「ブドウの女王」の異名を持つ。生食が主であるが、時折ワインが作られる他、果汁などはアイスクリームや清涼飲料水、ゼリー、吉備団子などに使われる。
- ^ マスカットにはこの他ミュスカ・ブラン(Muscat Blanc)など数種あるが、日本では一般に「マスカット」といえば当品種を指す。「マスカット」を名乗る品種としてはこの他に交雑種のマスカット・ベーリーAなどが知られる。
品種としては紀元前より現在に至るまで連綿と続く非常に古いものであるが高級品種であり続けている。品種改良においては、甘味の基となるため、マスカット・オブ・アレキサンドリアから多くの品種が生み出されている。なお、ジベレリン処理による無種子化ができないため、マスカット・オブ・アレキサンドリアには必ず種子が存在する。
日本では1880年頃に兵庫県稲美町に開設された官営の「播州葡萄園」に植えられたのが最初とされる。その後1886年に岡山県栢谷村(現在の岡山市)の山内善男と大森熊太郎が士族授産の一環として播州葡萄園から苗木と栽培技術を持ち帰り、ガラス温室による栽培を成功させた。当時マスカット一箱が米一俵と同じ値段で売れたという。
岡山は栽培に適していた地であったことから、その後は露地栽培にも成功し、今日では日本産マスカット・オブ・アレキサンドリアの殆どをこの地が産出する。この他の地域では気候や地質が合わずマスカット・オブ・アレキサンドリアは根付かなかった。これは、日本におけるブドウの一大生産地である山梨県でも同様であった。
[編集] 別名
マスカット・オブ・アレキサンドリアの別名には、主として「ゴルド」(Gordo)あるいは「ゴルド・ブランコ」(Gordo Blanco)や、「レクシア」(Lexia)が知られている。