ミラクリン
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ミラクリン (miraculin) は味覚修飾物質のひとつで、191アミノ酸残基からなる分子量約24,000の糖タンパク質である。通常はジスルフィド結合を介してつながった二量体の形で存在している。糖含量は約14%、等電点は9.1とアルカリ側に偏っている。
日本では、食品添加物として1996年(平成8年)に厚生省の認可を受けたが、該当製品がないという理由で2004年(平成16年)に削除された。
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[編集] 作用機構
ミラクリンは酸味受容体と強く結合する性質を持つ。酸味を持つものを食べると水素イオンがミラクリンと結合して構造が変化し、甘味受容体と結合しやすくなるとされている。つまり、酸味をなくすわけではないので酸味も若干感じる。
同じように酸味を甘味に変えるタンパク質にはクルクリンやストロジンなどがある。
[編集] 製法
西アフリカ原産のアカテツ科の植物ミラクルフルーツ (Richardella dulcifica) の実から精製する。ミラクルフルーツ1粒あたりからは0.3mg程度しか得られないが、2004年、筑波大学の研究グループがミラクリン遺伝子をレタスに組み込んで大量発現させる実験に成功した。
[編集] 研究者
横浜国立大学の栗林良枝は日本におけるミラクリンを研究している。栗林は初めてミラクルフルーツの種を日本に持ち込み、ミラクリンの作用機構を解明した。また遺伝子工学を用いたミラクリン製造にも成功し、特許を取得した。