メイク・ア・ウィッシュ
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メイク・ア・ウィッシュ(Make-A-Wish Foundation)は、1980年にアメリカ合衆国のアリゾナ州で始まった、世界最大の「願いをかなえる(wish granting)」ボランティア団体で、その目的は「難病と闘うこどもが持つ夢の実現の手伝いをすること」である。
日本ではメイク・ア・ウィッシュ オブ ジャパンが正式な支部として活動している。
[編集] 概略
1980年、アリゾナのクリスという7歳の少年は白血病と闘っていたが、彼には「白バイ警官になりたい」という願いがあった。そのことを聞いた警察官たちは彼のために新品の制服装備一式を用意した。名誉警察官に任命された彼は、ミニバイクをプレゼントされ、実際に取り締まりやパトロールをすることができた。その夢がかなった日から5日後にクリスは亡くなったが、警察は殉職警官と同様の栄誉礼で彼を送った。この模様が全米のテレビで放映されことで反響を呼び、この直後、クリスの親と警察官により「メイク・ア・ウィッシュ基金」が設立された。アリゾナ州から始まり、全米の殆どの州に支部を持ち、世界では他の27か国(カナダ、イギリス、オーストラリア、ニュージーランド、オランダ、ベルギー、アイルランド、チリ、台湾、日本)に拠点を置き活動している。インターナショナルの本部はアリゾナ州のフェニックス市。
いかなる政治的宗教的団体にも属さない非営利団体である。
「メイク・ア・ウィッシュ」は、「願い事をする」という意味で、この団体は、有名な歌手に会いたいとか、メジャーリーグの試合を見たい、スター俳優に会いたい、ディズニーワールドに行きたいといった願いを数多くの子どもたちにかなえてきた。現在までに10万人以上のこどもの夢にかかわってきたと言われる。
他に実現の手伝いをしてきた夢は、海にいる本物のイルカと一緒に泳いで遊びたい、自分の絵本を出版したい、江ノ電の運転手になりたい、白砂の上で遠山の金さんにお裁きを受けたい、ガン細胞をやっつけることをテーマにしたテレビゲームを制作したい(世界的ゲームクリエータが協力 ゲームは無料でダウンロード可能 外部リンクBen's Game参照)、などがある。
夢の実現にあたっては、あくまでも本人が主役であり、同団体はそのサポートをする。
この団体の活動には、本人が夢の実現に向かっていこうとすることで病気と闘う勇気や生きようとする力を得てほしい、という願いがこめられている。
hide(X JAPAN)のファンである難病の少女が実際にhideと会って手紙のやり取りやhideが見舞いに訪れるという交流を持つようになって励まされた、という話は世間にもある程度知られているが、このきっかけがメイク・ア・ウィッシュから少女への団体の存在を知らせる手紙であり、この団体が関わっていたという事はあまり知られていない。
発祥地であるアメリカに対して日本での世間一般の認知度は低いと見られる。
[編集] 参考文献
- 阿部敦『メイクアウィッシュ 病気と闘う君の夢かなえます 』(大修館書店1996年) ISBN 4469263567
- 清水久美子/ウィッシュチャイルド『夢はいのち 病気の子どもたちとメイク・ア・ウイッシュ』(騒人社2001年) ISBN 4882900394
- 大野寿子/『メイク・ア・ウィッシュの大野さん』(メディアファクトリー2006年) ISBN 4840115087