チリ
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- チリ共和国
- República de Chile
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(国旗) 拡大 - 国の標語 : Por la razón o la fuerza
- 国歌 : チリの国歌
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公用語 スペイン語 首都 サンティアゴ 最大の都市 サンティアゴ 大統領 ミシェル・バチェレ 首相 なし 面積
- 総計
- 水面積率世界第37位
756,950km²
1.1%人口
- 総計(2005年)
- 人口密度世界第60位
16,136,137人
21人/km²GDP(自国通貨表示)
- 合計(2005年)
62兆2,679億ペソGDP(MER)
- 合計(2005年)世界第46位
1,015億ドルGDP(PPP)
- 合計(2004年)
- 1人当り世界第44位
1,738億ドル
10,869ドル独立 スペインより
1818年2月12日通貨 ペソ(CLP) 時間帯 UTC -4(DST: -3) ccTLD cl 国際電話番号 56 - 註1: チリは、南極の1,250,000 km²の領土を主張している。
チリ共和国(チリきょうわこく)、通称チリは、南アメリカの国。1818年にスペインより独立した。アルゼンチン、ボリビア、ペルーと隣接しており、太平洋に面している。イースター島やファン・フェルナンデス諸島、サン・フェリクス島、サン・アンブロシオ島、サラ・イ・ゴメス島なども領有する。
目次 |
[編集] 国名
正式名称は、República de Chile(レプブリカ・デ・チレ)。通称、Chile。
公式の英語表記は、Republic of Chile(リパブリック・オブ・チリ)。通称、Chile。
日本語の表記は、チリ共和国。通称、チリ。漢字による当て字で、智利と表記されることもあった。
[編集] 歴史
この地域は、北部はインカ帝国が、南部は先住民族アラウカノが支配していた。1539年、ペドロ・デ・バルディビアがピサロの命により侵攻した。1541年サンティアゴを建設し植民地化を進めた。南部の植民地化には、先住民族アラウカノが激しく抵抗した。 16世紀以来スペインの植民地であったが、19世紀にはいると世界的に反植民地化の気運が高まった。チリでも独立運動の気運が高まり、自治政府が誕生、国民議会を招集して奴隷の輸入禁止、奴隷の子の自由を保障する決議などを行った。独立運動家ベルナルド・オイギンスの率いる解放軍とスペイン軍が戦い、1818年にスペインから独立。
1879年-1884年に起こった太平洋戦争によりボリビアからアカタマ州を、ペルーからタラパカ州を獲得。
早くから議会主義が確立されており、1970年にはアジェンデ大統領を首班とする社会主義政権が誕生、これは世界初の民主的選挙によって成立した社会主義政権であった。しかし、1973年にアメリカの後援を受けたアウグスト・ピノチェト将軍がクーデターを起して、アジェンデは自殺へと追い込まれた。自らをトップとする軍事独裁体制を敷いた。このピノチェト軍政下で経済は発展したが、多くの反体制派の市民が投獄・処刑されたと言われている。1990年には民政へ移行し、現在では民主的な文民政権となっている。
2004年のアテネオリンピックではチリのオリンピック史上初となる金メダルをテニスの男子シングルスと男子ダブルスで獲得し、首都のサンティアゴをはじめチリ国内では喜びのあまり異様なほどの盛り上がりを見せた(ニコラス・マスー、フェルナンド・ゴンザレスの項目を参照)。
チリ最高裁判所は、2006年8月18日、公金横領容疑でピノチェト元大統領の免責特権剥奪を決定した。同氏が家族や側近名義で米リッグス銀行など複数の銀行に合計125以上の口座を保有し、約2700万ドルの不正資金を隠匿していたとされる疑惑による。
[編集] 政治
2004年現在のチリ憲法は、アウグスト・ピノチェトを最高権力者とする軍政下の1980年に制定された。特徴としては、大統領の権力が強められ、また国政への軍の最高司令官の参加が制度化された。しかし、1988年のピノチェト大統領の信任を問う国民投票に敗北した後、憲法に対して大統領の権力を弱め、軍部の発言力を抑えるような修正がなされた。憲法の民主的な改正に関する議論は現在も継続されている。
政治制度は、三権分立を旨とする議会制民主主義である。行政は大統領を長とする。大統領は6年任期で選挙により選ばれる。2期連続で就任することはできない。内閣の閣僚は大統領が任命する。2007年現在の大統領は、2006年1月15日に就任した社会党のミシェル・バチェレ。バチェレはチリ史上初の女性大統領である。
司法の最高機関は最高裁判所である。憲法に関する判断は、憲法裁判所が行い、憲法に反すると考えられた法律を差し止めることができる。
立法は、二院制である。上院は38名が一般投票により選出され、任期は8年、その他に国家安全保障委員会や司法機関、共和国大統領、前大統領などが11名を任命する。下院は120議席で、任期は4年。法案が採択されるには、両院および拒否権を持つ共和国大統領の承認を得なければならない。また両者ともに法案を提議することができるが、これを施行する権限は大統領にしかない点が問題とされている。
チリにも公権力の腐敗・汚職がないわけではないが、それは恒常的なものではなく、世界の「透明度」の高い国の上位30ヶ国以内に過去10年間連続してランク付けされているように、むしろラテン・アメリカでは最も腐敗しておらず、比較的しっかりした法治国家だと認識されている。
[編集] 地方行政区分
詳細はチリの地方行政区分を参照
チリは、州監督官(Intendente)を長とする13の州に分けられる。州はさらに幾つかの県に分割され、それぞれに県知事(Gobernador provincial)が置かれる。県はさらに市町村(Comunas)に分けられ、市(町、村)長がいる。監督官と知事は大統領により任命され、市(町、村)長は一般投票により選ばれる。
各州は名前とローマ数字により識別される。ローマ数字は北から南の順に割り当てられている。一般的には州名よりローマ数字の方が用いられている。唯一の例外は首都サンティアゴが位置している州で、首都州(Región Metropolitana)を意味するRM二文字で表されている。
[編集] 地理
気候は幅広く、ラパ・ヌイ島(イースター島)の亜熱帯から、国土の北三分の一を占め、世界で最も乾燥した砂漠とされるアタカマ砂漠、中央部の肥沃な渓谷地域、そして元々は森林に覆われていた、湿度は高いが寒い南部、ツンドラ気候が広がる最南部に大きく分けられる。渓谷地域は地中海性気候に似ており、チリの主要輸出品目の一つである果物の栽培や、最近輸出量が増えてきたワインの生産に適している。
南緯40度以南はパタゴニアと呼ばれ、沿海部は典型的なフィヨルド地形が形成されている。
チリは南北に大変長細い国であるため、北の方から順に砂漠気候、ステップ気候、地中海性気候、西岸海洋性気候と気候が違っている。
[編集] 経済
経済はほとんど輸出により成り立っている。輸出品目の第二位は農業関連製品で、第一位は以前より世界一の生産量を誇る銅である。1970年代初頭は輸出品の70%を銅が占めていたが、現在は40%とその重要度は低下している。最近では、各地で産出される良質なワイン、サーモン、木材パルプの輸出が始められた。また先進国ほどではないが、ラテン・アメリカで最も工業化された国の一つである。
チリ北部の主要産業は鉱業であるが、南部には大規模な農業、酪農がある。バルパライソといった主要港のある中央部にはサービス業と工業が集中している。チリのサービス業部門は大きく、世界で最も自由化され先端を行く通信インフラが整っている。観光業も成長を続けている。南部の森林地帯の荒々しい美しさ、北部のアタカマ砂漠の広漠とした風景、5月から9月にかけてのアンデス山脈のスキーシーズンが観光客を惹きつけている。1990年代のにわか景気では、毎年7~12%の経済成長を記録したが、1997年のアジア通貨危機以降は、年3%にまで落ち着いた。近年、EU・アメリカ・カナダ・メキシコ・韓国などと自由貿易協定を結び、さらにニュージーランドとシンガポールとも同様な協定を結ぶ交渉が進められている。
[編集] 鉱業
チリは金属鉱物資源に恵まれている。2003年時点で、銅の採掘量は世界一であり、490万トンに達する。これは世界シェアの36.0%に相当する。銀は1250トンであり、世界第6位、シェア6.7%である。金の世界シェアも1.5%である。このほか、亜鉛、鉄、鉛を産出する。
金属以外の無機鉱物資源では、イオウ、塩、カリ塩、リン鉱石が有望であり、リン鉱石以外は世界シェア1%を上回る。有機鉱物資源も見られるが、規模は小さい。例えば、石炭の産出量は43万トンに留まる。
[編集] 国民
住民は、大部分がヨーロッパ系の白人もしくはメスティーソである。その他、イースター島、南部、北部の山岳地帯にクリストファー・コロンブスの到来以前より居住している先住民が全人口の5%程度いる。 ヨーロッパからの移住は19世紀に加速した。隣国のアルゼンチンやブラジル程の規模ではないが、スペインやクロアチア、イタリア、ドイツ、パレスチナからがほとんどで、東ヨーロッパとアイルランドからも少数が移住した。
言語はスペイン語が公用語で、日常生活でも広く使われている。
宗教は、ローマ・カトリックが89%、プロテスタントが11%である。
教育水準は高い。
[編集] 文化
ガブリエラ・ミストラルとパブロ・ネルーダという二人のノーベル文学賞受賞者を輩出している。
日付 | 日本語表記 | 現地語表記 | 備考 |
---|---|---|---|
1月1日 | 新年 (元旦) | Año Nuevo | |
3月~4月 | 聖金曜日 | Viernes Santo | 移動祝日、復活祭前の金曜日 |
3月~4月 | 聖土曜日 | Sábado Santo | 移動祝日、復活祭前の土曜日 |
3月~4月 | 復活祭 | Pascua de Resurrección | 移動祝日 |
5月1日 | 労働者の日 | Día del Trabajador | |
5月21日 | 海軍記念日 | Combate Naval de Iquique | |
6月 | 聖体の祭日 | Corpus Christi | 移動祝日 |
6月29日 | 教皇ヨハネ・パウロ2世表敬記念日 | San Pedro y San Pablo | |
8月15日 | 聖母被昇天祭 | Asunción de la Virgen | |
9月18日 | 独立記念日 | Fiestas Patrias | |
9月19日 | 陸軍の日 | Día de las Glorias del Ejército | |
10月12日 | コロンブスデー | Descubrimiento de América | |
11月1日 | 諸聖人の日 | Día de todos los Santos | |
12月8日 | 聖母の無原罪の御宿りの祭日 | Inmaculada Concepción | |
12月25日 | クリスマス | Navidad, Pascua |
[編集] 国のシンボル
チリの紋章には、国の動物であるコンドル(Vultur gryphus、山岳地帯に棲む大型の鳥)とアンデスジカ(Hippocamelus bisulcus、絶滅が危惧されている尾部の白い鹿)が描かれている。これらは国の標語である「理性によって、または力によって」とも関連がある。
国の花は、コピウエで、南部の森林に生息している。
[編集] 関連項目
[編集] 外部リンク
[編集] 公式
[編集] その他
- 在チリ日本国大使館 (西語、日本語)
- 日本外務省(チリの情報) (日本語)
- 「CIA WORLD FACT BOOK」 -- チリ
- 日智商工会議所 (日本語、西語)
- 日本貿易振興機構(JETRO)サンチアゴ事務所 (日本語、西語)
- サンチャゴ日本人学校 (日本語)
- 日智文化協会 (西語)
- 日本チリー協会
- アンデスニッポンツーリスト 三谷トラベル(チリ情報全般) (日本語)
- 南米チリごほごほライフ(現地生活情報)
- ちりぢり草(現地生活情報weblog)
- 世界の国々 > アメリカ
-
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