モリンホール
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モリンホール(モーリンホール)は弦の本数が二本の擦弦楽器。楽器の棹の先端部分が馬の頭の形をしているため、日本では馬頭琴(ばとうきん)とも呼ばれる。主にモンゴルや中国の内モンゴル自治区あたりで使われている。
日本では、「スーホの白い馬」の物語の中に出てくる楽器として有名である。
[編集] 概説
モリンホールはヴァイオリンや胡弓等と同じ擦弦楽器で、モンゴルを代表する弦楽器である。特徴として先端が馬の形を模した棹、四角い共鳴箱に二本の弦から構成される。西洋の弦楽器とは異なり、演奏者から見て左側が低音、右側が高音弦となる。また弦を支える駒が上下にあり、音程の微調整にも利用される。本体はエゾマツやシラカバ、弦と弓は馬の尾毛を束ねて作り、低音弦は100-120本、高音弦は80-100本程になる。
また、音程や材質で「内モンゴル式」「外モンゴル式」に分けられ、内モンゴル式は主に弦にナイロンを使用しそれぞれの音程は高音弦がド(C)、低音弦がソ(G)なのに対し、外モンゴル式は馬の尾毛を利用し高音弦がシ♭(B♭)、低音弦がファ(F)となる。その他装飾や構造などにも幾つかの差異が認められる。
音質は柔らかで奥行きのある響きが特徴。バイオリンのような澄んだ音ではないが、弦のノイズ自体がモリンホールの特徴的な音質を形作っている。また三味線のように数種類の調弦があり、演奏者や曲目、地方などにより変更される。ギターのようなハーモニクス奏法も可能である。