ユニバーサル・メディア・ディスク
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ユニバーサル・メディア・ディスク(Universal Media Disc、UMD) は、ソニー・コンピュータエンタテインメントの携帯型ゲーム機「プレイステーション・ポータブル(PSP)」用に採用された光ディスクの規格。
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[編集] 概要
直径6cm(2.4インチ)のポリカーボネイト製のディスクをカートリッジに収めたもので、1.8GBの容量を持つ。読み取りにはCDやDVDなどと同様の赤色半導体レーザーが用いられる。CLV方式の光ディスク。
名称や形状が似ているためMDとの比較がよく行われるが、そのため、略称の誤解が生まれる。MDの上位メディアと間違えられやすいが、実際のところMDとの互換性はなく、まったく違うメディアである。また、ディスク自体の形状も僅かに違い、UMDは直径64mm(2.5インチ)・厚さ1.2mmのMDよりも小さい。MD等に存在していた保護シャッターが備えられておらず、生産コストを抑える目的があるとみられる。
新しい記憶メディアとして規格化に向けての動きもあり、ゲームだけでなく、オーディオ・ビデオにも対応し、ディスクに固有IDを持たせる128ビットAES暗号によるコンテンツ著作権保護など、最新の強力なセキリュティ技術が導入されている。実際にPSP専用ゲームソフトだけでなく、映画やアニメやアダルトビデオなども販売されている。しかし、再生機器では今のところPSPのみ。また、2006年ごろからは、PSP本体の停滞ムードやフラッシュメモリーや動画再生ポータブル機器の低価格化やそれら機器の普及率の高さなどの影響を受け、また映像ソフトも過去の作品の廉価版ばかりが売れてしまうことなどもあって、映画会社などが次々とリリース予定を削減し始め、UMDメディアによる映像ソフト市場は既に縮小傾向にある。
ハリウッドなどの強い要請もあり著作権保護の観点などから、記録型UMDの解放はしないとしている。また、リーダ・ライタもソフト開発側を含め現在提供はされていない。但し技術的には可能であり、PSPの自作ソフトを利用してUMDデータの吸い出しは出来る。
DVD-ROMとほぼ同等の短期間でリピート生産でき、初回1,000枚から、リピートは100枚からの少ロットでの生産が可能である。生産コストはDVD並みで、1枚あたりおよそ250円とされている。
[編集] 記録方式
ディスク自体の厚さは0.6mmでCD・DVD等の半分。記録層はその真ん中の0.3mmの部分に位置する。 ディスクは片面2層を使って波長660nmの赤色レーザーで読み取る。記録方式には、PSPのゲームを記録する「PSP Game」、ATRAC3plus形式の音声を記録する「UMD Audio」、MPEG-4 AVC形式の動画を記録する「UMD Video」などが存在する。UMD Videoのうち、音楽作品を収録するものはUMD MUSIC、その他の映像作品を収録するものをUMD VIDEOと呼ぶ。(つまりUMD Videoという規格の中にUMD MUSICとUMD VIDEOのサブジャンルが存在する)
UMD Videoには、DVD-Videoと類似したリージョンコードが設けられており、本体と異なるリージョンのタイトルは再生できない。なお、ゲームソフトにもリージョンコードが設定されてはいるが、プロテクトされていないため、コードに関係なくゲームの起動及びプレイが可能である。
再生波長や、2層記録であるということ、ディスクサイズと容量の関係から2層式DVDを元に開発されたと思われる。
転送レートは10Mbps。
[編集] 規格
2005年6月21日 スイスのジュネーブを本拠地として設置されている国際標準化機関Ecma InternationalでUMDの物理フォーマットがECMA-365として承認された。また今後は、国際的な公的標準化機関ISO/IECの合同技術委員会(JTC1)が認める迅速手続き(fast-track procedure)に基づいてJTC1に提出され、ISO/IEC会員各国により国際標準化に向けた審議が行なわれる予定という。