ライフ・オブ・ブライアン
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『ライフ・オブ・ブライアン』(Monty Python's Life of Brian)はモンティ・パイソンによる1979年公開の映画である。内容はグレアム・チャップマンが演じるブライアンの人生についてであり、彼は偶然にもイエス・キリストと同じ時代を生きたという設定になっている。
2004年3月24日に、CNNは映画の配給元のRainbow Film Companyがアメリカの他の都市でも配給される前にロサンゼルスとニューヨークで2004年4月下旬までに「ライフ・オブ・ブライアン」を再び公開する、と報じた。これはメル・ギブソンの映画「パッション」が公開されたことの直接的な反応である、と報じられた。
「ライフ・オブ・ブライアン」は基本的に笑劇の古典的なものであり、テリー・ジョーンズ演じるブライアンの母親の次の台詞でそれはうまく表されている、「私の息子はメシアなんかじゃないって言ってるだろう。あんな言うこと聴かない愚かもんなんだから」。ブライアンの母親はそうは言ったが、この映画の評価は様々に受け取られ、偽善的行為と宗教的狂信を含んだ喧騒としての組織された宗教への痛烈な批判とも、また「検閲されるに値する」宗教への冒涜だとも、または単にとても面白い映画だとも言われた。
それはまた、1970年代の左翼グループたちをこき下ろした、とも言われる。なぜなら映画では幾つもの派閥が、名目上はユダヤのローマ帝国による占領に対して抗議しているが、実際にはお互いにプロテスタントとしての覇権を争っているからだ。(例としては、「ユダヤ人人民戦線(Judean People's Front)」、「ユダヤの人民戦線(People's Front of Judea)」、「(メンバーが一人の)ユダヤの民衆戦線(Popular Front of Judea)」がある。)
またこの映画は、マイケル・ペイリンとグレアム・チャップマンが演じる言語障害のある人物の描写について批評された。しかしペイリンは、これはただ単に面白おかしさのためだけである、と主張した。実際にも、彼の父親は軽い言語障害があり、また彼自身「どもり障害に対する専門家の診察とセラピー」を提供するThe Michael Palin Centreへ彼の名前を冠した。しかし、多くの論議を呼んだのは映画の冒涜的と考えられた内容-それはそれ自体、映画の中での冒涜の罪による「石投げの罰」のスケッチのようなもの-であった。
この映画にたいする抗議は、抗議者らが主張するこの映画の冒涜性に基づいていた。とくに映画が、はりつけの刑に処せられる群衆が口ずさむコミカルな歌「Always Look On The Bright Side Of Life」(意:人生の輝かしい面を見ようよ)で締めくくられる事についてである。皮肉な事に、この歌は後にサッカーファンによって口ずさまれ、そして再びリリースされて大いなる成功を収めた。この映画を冒涜と見る人々もいたが、大多数の人々は、もっとこの映画を楽天的に、またブライアンの人生がこの世での人生をうまくまとめあげている、と見た。
初めはイギリスで公開されたが、いくつかの町では町議会によって公開が禁止された。しかしこれは有効な手段とはいえなかった。なぜならこの映画を見たい人たちは禁止されてない町に見に行ったのだから。IMDb(外部リンク参照)によると、この映画はアイルランドでも八年、ノルウェーでは一年ほど禁止された(隣国スウェーデンでは次のような言葉とともに売り込まれた:「この映画は面白すぎるがためにノルウェーで公開禁止されたのだ!」)。またイタリアでは1990年まで公開されなかった、実に映画が作られてから十一年後である。
この映画が冒涜だとする抗議はまた、エリック・アイドルによる即席のコメントに対しても行われた。彼は次のパイソンズの作品のタイトルは何かと聞かれこう答えたのだ、「イエス・キリスト:栄光への欲望」。しかし、このアイデアはただ単に、これからについて思い巡らせた時の昔のものであり、イエスの人生のパロディはうまく作れないだろうと結論付けられ却下された、とその後報じられた。その後、焦点はほぼ同時期に生まれた別個の個人に向けられ(多くの抗議者たちは事実を誤認している。彼らはイエスがブライアンとは別に映画内で現れた事を理解しないのだ)、そして伝説は生まれたのだ。イエスが映画内で現れた時(馬小屋の場面とその後「幸福についての説教(Beatitudes)(マタイによる福音書 5: 1-48)」を話している時)、イエスは本当に真摯に演じられている。つまりコメディは群衆の一部がイエスの言っている言葉「祝福されるは平和を創る者であり...」を聞き間違えた所から始まるのだ。イエス・キリストがブライアンとは別に現れたこと、そしてはりつけの刑がローマ時代に比較的よく使われていたことを考慮すれば、ブライアンがキリストに例えられているという非難は取り除くことができるだろう。
メアリー・ホワイトハウス(Mary Whitehouse)とほかの運動家はリーフレット配りで反対を表明し、またこの映画を上映している映画館を柵で囲み、皮肉にも観客を増やす結果となった。リーフレットは、東方の三賢者は馬小屋を間違えなかった(映画ではかれらは間違えてブライアンが生まれた馬小屋に入ってしまう)などを主張していた。その他のこのような意見は書籍「Monty Python: The Case Against」に納められている。モンティパイソンのメンバーのうち二人はこの映画についての議論の場にも現れたが、おちついた議論にはならず、それどころか抗議が激しくなったと噂された(これは後にBBCのテレビ番組「Not the Nine O'Clock News」で「ライフ・オブ・パイソン」スケッチとして面白おかしく真似された。)
ブライアニズムは基本的に個人的人間主義の教義である:
- ブライアン(彼を賛美する群衆に向かって):君たちはみんな個人個人なんだ。君たちはそれぞれ自分達のためにやりなよ!君たちはみんなそれぞれ違う人間なんだ!
- 群衆(みんなで一斉に):そうです!私たちはそれぞれ違う人間、個人個人です!
- 群衆の中の一人:いや、わしは...。
- 群集:シーーーッ!
映画ではモンティパイソンのメンバーはそれぞれ何度も違う役で出てきて、またカメオ出演にはスパイク・ミリガン(この映画がチュニジアで撮られた時たまたま休暇で来ていた)とジョージ・ハリソン(映画は彼なしでは完成できなかったーもともとの資金提供者が映画の内容のため恐ろしくなってスポンサーをやめた後、ハリソンはハンドメイド・フィルムズを設立し、資金提供を手助けた。)がいる。
2006年10月現在、「ライフ・オブ・ブライアン」の日本語版のDVDは出ていない。(VHS版はかつてビームエンターテインメント社から発売されていた)
[編集] クレジット
- 脚本と主演:グレアム・チャップマン、ジョン・クリーズ、テリー・ギリアム、エリック・アイドル、テリー・ジョーンズ、マイケル・ペイリン。
- 執行プロデューサー:ジョージ・ハリソン、デニス・オブライアン。
- デザイン:テリー・ギリアム。
- 監督:テリー・ジョーンズ。
[編集] 外部リンク
グレアム・チャップマン | ジョン・クリーズ | テリー・ギリアム | エリック・アイドル | テリー・ジョーンズ | マイケル・ペイリン
関連人物
ダグラス・アダムス | コニー・ブース | キャロル・クリーヴランド | ニール・イネス
テレビシリーズ
映画
モンティ・パイソン・アンド・ナウ | モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル | ライフ・オブ・ブライアン | ライブ・アット・ザ・ハリウッド・ボウル | 人生狂騒曲
舞台