空飛ぶモンティ・パイソン
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空飛ぶモンティ・パイソン (Monty Python's Flying Circus) はイギリスのテレビ局 BBC が製作したコメディ番組で、1969年から1974年まで放送された。同時代事件や哲学に敏感に反応するとともに、同性愛や民族・宗教上の差異を扱ったきわどいネタも多く、そのナンセンスさと毒の強さは以後コメディにとどまらず多くの欧米文化に影響を与えた。エリザベス女王の映像をコントに使うこともあった。BBCが公共放送であるにもかかわらずである。
モンティ・パイソンの6人が出演しているが、第4シリーズ(最終)ではジョン・クリーズが参加しなかった。その理由として夫婦で関わっていたフォルティ・タワーズが影響していたと考えられる。その穴を埋めるためか、アニメーション担当のテリー・ギリアム本人自身の出演が増えた。
なお英語版のほか、ドイツ語版オリジナルのスキットもある(Flying Circus からドイツ語表記になりFLIEGENDER ZIRKUS)。ドイツ語版の一部はのちに英訳された(通称「哲学サッカー」など)。メンバーは全編通してドイツ語でセリフをこなしている。
日本でも76年~77年にテレビ放映されている。
目次 |
[編集] 本放送と主なスケッチ
[編集] 第1シリーズ(全13話)
1969年10月5日~1970年1月11日 BBC1
[編集] 第2シリーズ(全13話)
1970年9月15日~1970年12月21日 BBC1
- シリー・ウォーク(第1話)
- スペイン異端宗教裁判(第2話)
- ザ・ビショップ(第4話)
- 恐怖のブラックメイル(第5話)
- アッチラ・ザ・フン・ショー(第7話)
- スパムの多い料理店(第12話)
[編集] 第3シリーズ(全13話)
1972年10月19日~1972年1月18日 BBC1
- ジョールの武勇伝(第1話)
- 沈みゆくマザーグース号(第2話)
- 議論教室(第3話)
- チーズ・ショップ(第7話)
- 華麗なる自転車旅行(第8話)
- デニス・ムーア(第11話)
[編集] 第4シリーズ(全6話)
1974年10月31日~1974年12月5日 BBC2
[編集] 演じられた主なコントや登場人物
空飛ぶモンティ・パイソンはいくつかの短いスケッチ(コント)で構成されることが多い。
- 殺人ジョーク (Killer joke)
- 第1シーズンの第1話に登場する、初の大当たりスケッチ。第二次世界大戦中に「世界一面白いジョーク」が作成された。これを聞いた者はみな笑い死にしてしまう。このジョークをイギリス陸軍は軍事利用し、ついにはイギリスを戦勝国へと導く。
- 死んだオウム (Dead Parrot)
- 死んだオウムをペット屋で交換してもらう話。オウムが死んでいることをなかなか認めない店員(マイケル・ペイリン)に客(ジョン・クリーズ)が長々と説明する場面が有名。
- ジョン・クリーズがはこのスケッチを創作したグレアム・チャップマンの葬儀の際に、この場面を引用。
- スペイン宗教裁判 (Spanish Inquisition)
- 真っ赤な服に身を包み理不尽な尋問をくりかえす宗教裁判官の男たち。数も数えられない。最後のスタッフロールまでもがネタの一部として使われている。
- バカ歩き (Silly Walk)
- 余りにも奇怪で大げさで無茶な歩き方「バカ歩き」をすることを推進する(?) 「バカ歩き省 (Ministry of Silly Walk)」という架空の省庁のネタ。ジョン・クリーズが中心となって演じられた。
- このときのイメージが強烈で、ジョン・クリーズは各地でバカ歩きをするよう頼まれたため、すっかりこれに嫌気が差してしまい以後封印したという。
- 恐怖のブラックメイル (Blackmail)
- ペイリン扮する曰くありげな笑顔の司会者が視聴者の秘密を勝手に調べ上げ、口止め料を要求する番組コント。もちろん、期限までに振込みが無ければ実名をばらしてしまうのだ。
- 合間になぜか裸の男(テリー・ギリアム)が登場しオルガンを弾くが、映画『モンティ・パイソン・アンド・ナウ』ではこのスケッチを再演した際テリー・ジョーンズが裸の男役を買って出て、やがて始まった第3シーズンのオープニングにはジョーンズ演じる"裸のオルガン弾き"が登場するようになった。
- イッツマン (It's Man)
- 当初番組開始時に「It's Month Python's Flying Circus!」というナレーションが行われていたが、このうち「It's!」を言うためだけに遥か彼方から海を渡ってきたり、地雷原や交通量の多い道路を死にそうになりながら横断してくる、みすぼらしい外見の老人 (マイケル・ペイリン)。
- なお、この「It's!」は直前のアナウンサーのセリフ「And now for something completely different(では今からガラッと趣向の変わったものをお見せします)」を受け、「それは・・・」という意味を表している。(モンティ・パイソン研究で名高い須田泰成氏は著書「モンティ・パイソン大全」の中で「はじまるよ!」と意訳している。)
- スパムの多い大衆食堂
- 北欧にヴァカンス旅行中の(ということは全然説明されないが)老夫婦が大衆食堂に朝食の注文をしようとするが、全てのメニュー項目に大量のスパム(ソーセージ)が含まれている (「スクランブルエッグとスパム」「スパムとスパム」…)、といった内容。メニュー項目の中で最低一度、多いもので4度ほど反復される。なぜか客はヴァイキングだらけで、意味もなくスパムをたたえる歌を歌いだす始末。
- 「スパムメール」の語源の一つとされる。
- 木こりの歌 (Lumberjack Song)
- 死んだオウムをはじめ様々なスケッチの後に、「本当は木こりになりたかった」というセリフから衣服を脱いですでに下着としてスタンバイしていた木こりの衣装に着替え、赤松などの樹木の名前の羅列、木こりの仕事の素晴らしさを歌詞にして歌い出す。背景と共にコーラス隊が現れ(ジョンクリーズ等のメンバー達)短いフレーズに区切られた歌にコーラスを付ける。最後には木こりから「女装が趣味で他の男を漁る」等という歌詞にコーラス隊が呆れ、木こりに抱かれる恋人が泣きながら去り、卵などをぶつけられる。
- 舞台でもTVでも違うが、コーラス隊にトムハンクスが加わっている事がある。木こりを演じるのはマイケル・ペイリンが主でエリック・アイドルが演じることもある。Lumberjack SongはアルバムMonty Python Singsにもセリフ付で収録されている。
[編集] 日本での展開
[編集] 民放局での放送
- チャンネル泥棒! 快感ギャグ番組! 空飛ぶモンティ・パイソン
- 1976年4月9日~9月24日 東京12チャンネル(現:テレビ東京)(全25回)、毎週金曜日 22時~22時54分
- 吹き替えはモンティ・パイソンの項にある声優陣が担当し、この吹き替え版は伝説として語り継がれている。イッツマンも吹き替えられており、息絶えるようなかすれ声でペイリンを演じる青野武が「見せて……!」とセリフを発している。BBCとの契約上の問題で、すでに東京12チャンネル時代の吹き替え版のマスターテープは廃棄されている。BBCでのオリジナル版の合間に、スーツやドレスで正装した日本独自の出演者(今野雄二、前田美波里、二瓶正也、立木リサ = 現: 秋川リサ、天地総子)がグラスを傾けながらトークをする「モンティパイソン・パーティ」というスタジオ収録部分が組み込まれたり、まだサングラスではなく片目にアイパッチをつけていた若き頃のタモリが「四カ国マージャン」などの芸を披露するミニコーナーも挿入されたりと、まさに伝説の番組であり「SOAP」、「世界の料理ショー」、「ゴング・ショー」、「ハリウッドスターこきおろし大会」などと並んで当時の東京12チャンネルの裏看板番組でもあった。
- オリジナルの空飛ぶモンティ・パイソンは30分番組であったため、実質上約半分弱の時間が日本での水増し分である。
- 爆笑!チャンネル泥棒 モンティ・パイソン2
- 1977年1月9日~3月27日 東京12チャンネル(全11回)、毎週日曜日 22時~22時30分
- 前年の放送と異なり時間枠が30分になったために「モンティパイソン・パーティ」を含む日本独自の企画コーナーはすべてカット。BBCオリジナルのスケッチ放映の最後に今野雄二ひとりがカメラに向かって解説をするスタジオ録画の部分が足されていた。
[編集] NHKでの放送
- 空飛ぶモンティ・パイソン & MR.ビーンの大混乱
- 1996年5月29日 NHK衛星第2放送 23時~24時
- 「BSプライムタイム・コメディーの王様」 という時間枠の中で、空飛ぶモンティ・パイソンはBBCの第29話を字幕スーパーにて丸々放送。
- コメディー決定版 空飛ぶモンティ・パイソン
- 1998年9月4日~9月25日 NHK総合(全4回)、毎週金曜日 深夜0時30分~0時55分
- BBCの空飛ぶモンティ・パイソンから第21話、28話、35話、37話を字幕スーパーにて放送。オリジナル版を若干カットしていた。
- モンティ・パイソンズ・フライング・サーカス
- 1999年~2000年 NHK衛星第2放送、不定期 24時前後
- BBCの空飛ぶモンティ・パイソンから第2~3シリーズを毎回3話ずつ字幕スーパーにて放送。前回総合で放送された4話は今回も同じ部分がカットされたままだった。
[編集] ビデオリリース
- 1986年にポニーキャニオンは「空飛ぶモンティ・パイソン」のタイトルで、BBC放送での第2シリーズ、第3シリーズが収録されたVol.1~Vol.8をリリースし、1992年にはBBC放送での第1シリーズ、第4シリーズが収録されたVol.9~Vol.14をリリースした。Vol.8だけは当時の吹き替え陣が新録した日本語吹き替え版だったが、それ以外の巻はすべて字幕スーパー版だった。これらのビデオは途中ですべて廃盤になってしまう。1999年にはユニバーサルインターナショナルが「空飛ぶモンティ・パイソン」のタイトルで、第1シリーズが収録されたVol.1~Vol.4、第2シリーズが収録されたVol.1~Vol.4、第3シリーズが収録されたVol.1~Vol.4、第4シリーズが収録されたVol.1~Vol.2を再びリリースしたが、これらはすべて字幕スーパー版だった。
[編集] DVDリリース
- 2000年にユニバーサルインターナショナルが「空飛ぶモンティ・パイソン」のDVD版をVol.1~Vol.7までの全7巻で発売、さらに、2000年にコレクターズBOXを発売したが、これらも字幕スーパー版のみだった。
グレアム・チャップマン | ジョン・クリーズ | テリー・ギリアム | エリック・アイドル | テリー・ジョーンズ | マイケル・ペイリン
関連人物
ダグラス・アダムス | コニー・ブース | キャロル・クリーヴランド | ニール・イネス
テレビシリーズ
空飛ぶモンティ・パイソン
映画
モンティ・パイソン・アンド・ナウ | モンティ・パイソン・アンド・ホーリー・グレイル | ライフ・オブ・ブライアン | ライブ・アット・ザ・ハリウッド・ボウル | 人生狂騒曲
舞台