ラングリッサーIII
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『ラングリッサーIII』は、1996年10月18日に日本コンピュータシステム(メサイヤ)から発売されたセガサターン用コンピュータゲームソフトである。ラングリッサーシリーズの第3作。
2005年10月27日にはプレイステーション2に移植されている。
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[編集] 概要
[編集] シリーズ内での位置付け
聖剣ラングリッサーの誕生や、他のラングリッサーシリーズにおける敵の総大将ボーゼルの誕生などが描かれており、ラングリッサーシリーズにおける時系列では原初に位置する作品。
[編集] ゲームシステム
[編集] 戦闘システム
第5作まであるラングリッサーシリーズにおいて、本作だけが特異な戦闘システムを採用している。他のラングリッサーシリーズにおける「判断力」のパラメーターが失われ、すべてのユニットが同時に行動する。そのため、敵の進軍を妨害するには、敵の進路を先読みしなければならないなど、「判断力」システムを排した代わりと言い得る戦略性十分な作品になっている。ただし、全ユニットを同時に動かすため、マシンに強い負担がかかり、待たされることが多い。
[編集] ヒロインセレクト
前作までとは違い、ヒロインを選べるようになった。ゲーム終盤に告白イベントがあり、告白に成功すればキャラクターに応じたエンディングを見ることができる。以後のラングリッサーシリーズでもこのシステムは受け継がれていった。なお、本作に関して言えば、これと言って「メインヒロイン」は決まっていないようである。
[編集] ストーリー
肥沃な大地と交易の重要拠点を持つため、小国ながら豊かであったラーカス王国。しかしある時、強大なるリグリア帝国の奇襲を受け、それまでラーカスを守ってきた古代遺産「浮遊城」とそこに備えられた超兵器「魔導砲」が破壊されてしまう。すると帝国だけでなく、元々ラーカスの豊かな土地を狙っていた周囲の国々も次々にラーカスへの侵略を開始。魔導砲に頼りきりだったラーカス軍はそれらの軍勢に太刀打ちできず、王都ラーカシアまでもが陥落した。
浮遊城が帝国軍の襲撃を受けた時、見習い騎士のディハルトはウィリアム公爵の下での長い修練を終え、騎士叙任の式典に臨んでいた。動力源のクリスタルを破壊され落下する浮遊城からからくも脱出し、ラーカスの辺境の地に住む叔父、レイモンド子爵の下に逃れる。
数ヶ月後、ラーカス王国はその国土のほとんどを侵攻してきた諸国によって分断され、滅亡寸前まで追い込まれていた。ラーカスの復興を目指して兵を挙げたレイモンド子爵の下、ディハルトは別働隊の隊長として兵を率い、仲間たちとともに戦いに臨む。
[編集] 勢力と登場キャラクター
[編集] ラーカス王国
肥沃な農地と豊富な地下資源を持ち、交易の要所に位置するラーカス王国は、大陸でもっとも豊かな国として栄えていた。それゆえ周辺諸国からの侵攻をたびたび受けていたが、古代遺産「浮遊城」とそこに備えられた「魔導砲」により退け続けてきた。
- ディハルト(声:神谷明)(ゲーム開始時に名前変更可)
- 本タイトルの主人公で、ラーカス王国の騎士。野性的な性格の17才。外交官クラウスの息子。バーラル王国のフレア姫とは幼馴染であるが、11才で見習い騎士として修行に入ってからは会っていない。浮遊城のウィリアム公爵の下で修行を積み、騎士となるが、叙任式後の宴の最中に浮遊城が帝国軍の襲撃を受けて陥落。レイモンド子爵の下に逃れた。ラーカス再興に向けて別働隊を率いて戦う。
- クラウス(声:神谷明)
- ディハルトの父親。ラーカス王国の外交官で、バーラル王国との同盟を取り付けた。両国の関係が良好であるように尽力している。バーラル王家とは家族ぐるみの付き合い。
- ウィリアム公爵(声:稲葉実)
- ラーカスの騎士で、「浮遊城」の責任者を務める。ディハルトを見習い騎士として預かり、育ててきた。娘のティアリスには甘い。帝国軍の奇襲の際に戦死する。
- ティアリス(声:かないみか)
- ウィリアム公爵の娘。11才で、天真爛漫な元気っ子。ディハルトを兄のように慕う。表にはあまり出さないが父を殺された悲しみと憎しみを抱えており、別働隊に参加。魔法の才があり、戦いの中でその才能を開花させていく。
- ジェリオール(声:松本保典)
- ウィリアム公爵に仕える近衛騎士で、名の知れた剣の達人。浮遊城の警護を勤める。レイラの婚約者。ディハルトに剣術を教えると同時に、先輩として親身に世話をした。浮遊城が奇襲を受けた際に重傷を負う。ディハルトたちと共にかろうじて脱出するが…。
- レイラ(声:小粥よう子)
- ジェリオールの婚約者。ディハルトの騎士叙任式の後のパーティでジェリオールとの婚約を発表する。このタイトルに登場する女性には剣や魔法に優れた者が多いが、レイラは珍しく普通の女性。
- レイモンド子爵(声:檜山修之)
- ラーカスの辺境を治める騎士。ディハルトの叔父で、ルインの父。ラーカス復興のために奔走し、浮遊城陥落から数ヵ月後ついに兵を挙げる。以後、ラーカス軍の総指揮を執る。
- ルイン(声:小粥よう子)
- レイモンド子爵の一人息子で、ディハルトのいとこ。14才。控えめな印象だが、好奇心旺盛で明るく正義感が強い。やや頼りない面もあったが、別働隊の一員として経験を積む中で成長していく。
- ギルバート(声:松本保典)
- かつて大陸じゅうに名を馳せた剣豪であったが、愛娘を亡くしてからは剣を捨て、寂れた村で娘の墓を守りながらひっそりと暮らしている。それゆえ、ディハルトら別働隊に助力を請われても拒んだのだが、ある事件により再び剣を取ることを決意する。
- シルバーウルフ(声:茶風林)
- 王都ラーカシアに次ぐ大都市「ラフェルの都」を根城とする義賊。21才と言われているが、出自や本名などすべてが謎。周辺諸国のラーカス侵略をよく思っておらず、敵に襲われた主人公たちに助太刀する。
- ピエール(声:岡野浩介)
- 騎士見習い。子供っぽくお調子者な16才。占領下の王都から市民を連れて脱出するが、帝国軍の追撃を受ける。そこを別働隊に助けられ、行動を共にするようになる。
- リファニー(声:椎名へきる)
- 貴族の娘で、魔法に精通している少女。16才。ピエールに従って王都を脱出してきた。おっとりとした性格でかなりの天然ボケだが、それが戦いに張りつめる仲間たちの心を癒してもいる。
- ルナ(声:笠原弘子)
- 大陸全土に名を知られる知将トーランド男爵の娘。父譲りの知謀を持ち、武勇にも優れる。ディハルトの副官として活躍する。一見すると冷静沈着なスーパーウーマンだが、実は年齢が15才と一行の中ではティアリス、ルインに次ぐ若さであり、また感情表現が苦手なことに悩んでいる一面もある。
- ソフィア(声:水谷優子)
- ファーベルの娘で巫女。16才という若さながら対魔族結界の要であるルシリス・ゲートの四方門の一つ、南門を守護する。人に優しく、魔族に厳しい。ラーカスの混乱に乗じて土地を取り戻そうとする原住民シカシカ族に捕らえられ、儀式の生贄にされかかる。
- ファーベル(声:笹岡繁蔵)
- 光の大神殿の大司教であり、ルシリス・ゲートの東門を守護する。温厚だが意志が強く、侵攻してきた帝国軍に対し、門を守るべくたった一人で戦う。
[編集] リグリア帝国
ラーカス王国の北に位置し、多くの小国をたばねる強大な国である。人口は増加傾向にあるが、国土のほとんどは凍土であるため十分な量の農作物が育たず、民衆の生活は困窮している。豊かなラーカスの地を奪うべくたびたび侵攻するものの、魔導砲により阻まれ続けていた。
- クライスト四世(声:稲葉実)
- リグリア帝国皇帝。前皇帝の弟で、兄の変死により皇帝の座についた。アルテミュラーを帝国元帥として信頼している反面、実子のパウルには将来の皇帝としての能力に疑問を持っている。近年、病に冒されている。
- パウル(声:塩沢兼人)
- 現皇帝の皇子で、王位継承権第一位。自己顕示欲と権力欲が強い。アルテミュラーを妬むと同時に恐れてもおり、陰湿な策謀をめぐらせて蹴落とそうとする。
- アルテミュラー(声:塩沢兼人)
- 19歳の若さながらリグリア軍元帥であり、大公の爵位を持つ。前皇帝の子で、王位継承権第二位。指揮官として優れるのみならず、戦士としても軍師としても第一級の能力を持つ。国民が飢えと寒さに苦しんでいることに心を痛めており、豊かなラーカスの地を手に入れるべく、浮遊城に奇襲をかける。
- ファーナ(声:井上喜久子)
- 帝国四将軍の一人で、アルテミュラー元帥の副官を勤める才色兼備な女性。17才だが大人びて見える。さすがにアルテミュラーには及ばないが剣の腕もたしか。
- エマーリンク(声:岡野浩介)
- 帝国四将軍の一人。戦士としてもさることながら、特に戦略・戦術に優れる。騎馬隊を中心とした機動的な戦い方が得意。アルテミュラーに忠誠を誓っている。プライドが高く生真面目。18才。
- ガイエル(声:稲葉実)
- 帝国四将軍の一人で、飛空艇団を率いる。正面から戦うよりも策謀で敵を陥れる戦い方を得意とし、勝つためには手段を選ばない。自分より年下で実戦経験も少ないアルテミュラーの命令に従わなくてはいけないことに不満を持っている。
- ボルツ(声:檜山修之)
- 帝国四将軍の一人。戦災孤児であるが己の腕を頼りに将軍まで上りつめた。豪放な性格で部下思い。「仲間」だけを危険にさらすことをよしとせず、自らも陣頭で戦う。
[編集] バーラル王国
ラーカス王国の南に位置する王国である。それほど豊かではないが、ラーカス王国とは同盟を結び、友好関係にある。
- ウィルダー王(声:茶風林)
- バーラル王国の王。性格は温厚で、国民からは慕われ、ラーカス王国とは同盟を結んで良好な関係を構築していた。ところが突然、暴虐な性格に豹変し、同盟を破棄してラーカス侵攻を始める。
- フレア(声:吉田古奈美)
- バーラル王国の姫。16才。運動神経がよく剣の腕はいい。ディハルトとは幼馴染。父である国王がラーカス侵攻を始めると、悩みながらも軍を率いて戦う。その芯の強さと優しさから国民や部下の信望は厚い。
- ディオス(声:檜山修之)
- バーラル軍将軍。もともと傭兵稼業をしていたが、ウィルダー王に抜擢されて将軍となった。23才。曲がったことが嫌いな熱血漢で部下思い。豹変したウィルダー王に反感を抱いている。
- ルード(声:岡野浩介)
- ディオス将軍の副官。家庭持ちであるため、豹変したウィルダー王に反感を持ちつつも、ただ従うしかないことに葛藤している。
- ダークナイト(声:松本保典)
- 豹変したウィルダー王に招かれてバーラル軍の総指揮を任された男。素性は一切不明で、常に黒い全身鎧と兜を身につけていることからダークナイトと呼ばれている。軍事的な才能はアルテミュラーと肩を並べるほどだが、勝つためには手段を選ばず、冷酷にして残忍である。
[編集] ヴェルゼリア
ラーカス王国の北東、リグリア帝国の東に位置する魔族の支配地域。謎多き地であり、まさに魔境。人間を制圧し魔族の世界を築こうとしているが、ルシリス・ゲートの結界に阻まれて侵攻できずにいた。しかし、ラーカス王国の浮遊城が陥落し情勢が大きく動いたと見るや、暗躍し始める…。
[編集] 天界
地上とは異なる空間にある、神々の住まう地。
- ルシリス(声:井上喜久子)
- 秩序を司る女神。ラーカス王国では光の女神として広く信仰されている。ルシリス・ゲートを通じ、その力でラーカスの地を魔族の侵略から守っている。
- カオス(声:笹岡繁蔵)
- 混沌を司る神。魔族が信仰していることから邪悪な神として考えられがちだが、進化が停滞した時にそれを変化させようとする神であり、本質的には善でも悪でもない。