ルドラの秘宝
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ジャンル | RPG |
対応機種 | スーパーファミコン |
発売元 | スクウェア |
人数 | 1人 |
メディア | 32Mbカセット |
発売日 | 1996年4月5日 |
価格 | 8400円(税込) |
ルドラの秘宝(ルドラのひほう)は1996年4月5日にスクウェア(現スクウェア・エニックス)から発売されたSFC用RPG。言霊システムという新要素を採用。
四人の主人公が交錯する複雑なストーリー、キャラクターが極めて滑らかに、敵キャラも常に動く戦闘シーン、笹井隆司氏による音楽などどれも印象的で、スクウェアのSFC時代末期の作品として評価が高い。
目次 |
[編集] ストーリー
4000年周期でそれまでの種族を消し去り、新たなる種族が栄える世界が舞台。今までダナン神族、水棲族、爬虫類族、巨人族がその姿を消してきた。そして今、人類の滅亡まで後16日となった。残された人類には何が出来るのか。シオンは師の行方と仇敵スルトを追うべく天空に向かい、サーレントは生と死の間を行き来し、リザは世界の汚染を浄化するべく各地を駆け巡る。また、デューンもやがて訪れる自身の使命も知らず、トレジャーハンティングに精を出して世界を駆け巡る。
[編集] 概要
主人公キャラクターは3人の中から選択してゲームを始める。それぞれの話の時間軸は同時進行しており、別の主人公が起こしたイベントを他の主人公の視点で見たり、時にパーティ同士で助け合ったりなど各章は密接にリンクしている。各主人公のシナリオを同時に進行させる事も可能であり、プレイヤーにある程度の進行の自由を与えている。3人の章をそれぞれクリアすると、最終章に移行する。
[編集] システム
基本的には2DのRPGである。戦闘はターン式で行われ、画面はサイドビューで固定されている。だが、本ゲームの中には他のゲームにはない奇抜なシステムもあるので本項で解説する。
[編集] 言霊システム
この作品の最も特徴的なシステムがこの言霊システムである。「プレイヤーが魔法を作り出す」という画期的かつ斬新なアイディアが盛り込まれている。プレイヤーはメニュー画面の「ことだま」の項目を選ぶと日本語50音からカタカナを最大6文字まで使って好きに言葉を並べ、どんな単語を作り出しても何かしらの効果のある言霊を作成できる。入力は6文字まで、32種類までストックできる。
1文字でも言霊として成立するが、火属性はイグ、風属性はテオなどの基本言霊が存在し、単語の前や後ろに文字を加えてより便利な言霊を模索する事もプレイヤーの任意で行える。言霊の効果には一定の法則がある為、強力な言霊を作るために創意工夫するのも醍醐味の一つである。
なお、基本言霊とは関係なく、ファイナルファンタジーシリーズやドラゴンクエストシリーズで使われた魔法を言霊としてそのまま打ち込むと、その通りの効果になる事がかなり多い。
[編集] 属性
この作品では属性が戦闘の難易度を決定付けるといっても過言でない重要な要素を持っており、火⇔水、雷⇔風、陽⇔陰の対となる3組6種、そして地属性と無属性が存在する。宿している属性と同じ属性の攻撃には強く、対となっている属性の攻撃には弱点となる。これらの属性は武器・防具・言霊と、ありとあらゆる要素に含まれており、これらを上手く組み合わせて戦略を図る事が攻略の近道となる。また、ステータス異常も属性に則して設定されており、以下のようなものがある。尚、ステータス異常の治療は相反する言霊や治療用の言霊をぶつけるか、「万能薬」(※汚染のみ「浄化薬」)を使用する事で可能。
- 火:火傷…ターン毎にダメージ。
- 水:凍結…行動不能。戦闘不能扱いで危険。
- 雷:感電…制御不能。敵味方問わず、武器攻撃のみ、コマンドは受け付けない。
- 風:浮遊…地属性攻撃を回避。
- 陽:自動回復…ターン毎にHP回復。
- 陰:汚染…言霊使用不能、能力値半減。唯一、戦闘後も残り、治療も厄介、ただし、浄化が進めば、ソアでも治るそうである。
- 無:狂戦士…攻撃力は上がるがひたすら敵を攻撃し続ける。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
[編集] 登場人物
[編集] 主人公
- シオン(ライフジェイド所持者)
- クリューヌ王国の兵士で魔物ハンターでもある剣士。師ターレスに剣の稽古をつけてもらっていたが、ターレスはとある任務を帯びて旅に出て、そのまま失踪してしまう。1年後、「武人の塔」なる武術大会を制しターレスの後継者となるべく、シオンは修行を続けていた。
- サーレント(リバイブジェイド所持者)
- トール火山に住む預言者ソロンを師匠に持つ言霊師。理知的な見た目通りに性格は冷静だが、優しさも持っている。ソロンの予言にて自身がルドラやラゴウ石に関わる事を知り、調査に乗り出す。爬虫類族ルドラ『ラズム』に襲われ一度死亡している。
- リザ(ホーリージェイド所持者)
- 辺境の町カーンで育った僧侶ゼクウの孫娘、生まれながらに額にジェイドが宿っていた。まだ赤ん坊の頃に世界を浄化する旅に出てしまった母親を追うために、そして未だなされていない世界の浄化を進めるために旅に出る。ホーリージェイドの力で動物等の言葉が理解できる。
- デューン(デスジェイド所持者)
- 相棒のキッドを従えるトレジャーハンターを名乗る男。各地の遺跡に現れては素早い身のこなしでお宝を奪い取ってしまう。シオン編パーティから「遺跡荒し」と呼ばれる。その行動には何かの理由があるらしいが…。余談だが、「デューン」の名は本作の開発を行った旧・スクウェア大阪開発部がかつて製作した時空の覇者 Sa・Ga3の主人公と同じである。
[編集] 各パーティー
- シオン編パーティー
- フォクシー - 西の大陸の大富豪エレミア家の令嬢。スナッチャー。戦闘においての実力も有名。
- テュール - 天空から来た巨人族の魔術師。体格に似合わず律儀な性格。18歳。
- ラミレス - 天空に住むダナン神族の王。知識豊富な老人。
- サーレント編パーティー
- レギン - ミュンヒ博士の助手を務める遺跡探索ナビゲーター。実家はカスタギア研究所。
- ソーク - サーレントと共にソロンに教えを学ぶ元クリューヌ王国兵の用心棒。ターレスの友人。
- ロロ - ルドラを崇める教団に連れ去られた記憶喪失の子供。ダナン神族の末裔。
- リザ編パーティー
- ガーライル - バベルの街で悪徳市長に対抗している少年レジスタンスのリーダー。リザに一目惚れする。
- ピピン - ラズムを復活させるため、復活薬を持って前世の隠れ里からロロと共に抜け出した爬虫類族の子供。自称『爬虫類のプリンス』
- マリーナ - 海の守り神を孵化させる使命を担う水棲族の神官。
- デューンの仲間
- キッド - デューンの相棒。自らの職業である「トレジャーハンター」が言えないなどどこかヌケている。(キッドはパーティメンバーにはならない)
[編集] サブキャラクター
- ターレス - シオンの師匠で、クリューヌ兵士団の隊長。使命を帯びてルドラ教団を追っていたまま、行方不明になる・・・が、実際はルドラ教団の教祖を倒した後、ルドラについての真実を知ってしまい、そのまま新しい教祖になってしまった。
- ロスタム - シオンの友人の戦士。スルトに殺されるが、ゴモラによってガフの間に体を保存されサーレントが後に彼の体を使用ことになる。
- ヒューイ - シオンの友人の言霊師。ロスタムと共にスルトに殺され、同様にゴモラに体を保存されサーレントが後に使用する。
- 導師ゾラ - 言霊山に住む占い師で、言霊四天王の一人。冥界へのワープゾーンを守っていたが、ルドラ教団のラーヴァナ達に襲撃されピンチに陥る。
- スルト - 生き残りの巨人族で、ジェイドを入手して巨人族の復活を企んでいる。シオンにとっては仲間の仇敵。その後シオンに倒されるが…。
- エレミア - フォクシーの父で、西の大陸に大きな洋館をかまえて住む。デューンに聖杯を盗まれる。
- ミュンヒ - ラゴウ石研究所の博士で、サーレントはミュンヒの下で研究を手伝っている。ラズム復活の折に殺害される。
- ミーミル - ミュンヒ博士の娘でレギンのいとこ。父の助手をしていたり、伯父のカスタギア博士が経営しているオリアブの『カスタギア雑貨店』で働いている。
- 預言者ソロン - 言霊四天王の一人。サーレントとソークの師匠でトール火山でワープゾーンを管理しているが、クルガンに殺される。
- 僧侶ゼクウ - 言霊四天王の一人。リザの祖父でカーンの町の創設者。冥界へ通じる通路、ヌカイを管理している。
- アクア - 聖域の森でリザを待つ言霊師。実はリザの母であることが最期に判明する。
- ソーマ
- 聖域の門の長、地の言霊に精通している。
- クルガン - 人工島バベルで綺麗な空気の代わりに高い税金を取っている悪徳市長。リザに倒されるが、死後もハウゼンの元で悪事を働く。
- メイファ - 四勇者の一人で、北の大陸の女神像内におり、リザを月へと導く。
- サイゾウ - 四勇者の一人。シオンに似て、戦いを好む気質を持つ。戦士でないサーレントに油断して倒される。
- ディヤウス - ダナン四神の一人。魔を打ち滅ぼし者(シオン)を待つ。聖剣の解放と共に現れる。世紀末の魔物『ヨーギ』をジグムンド氷山に封印した。
- オプシス - ダナン四神の一人で預言者。真実を解き明かす者(サーレント)を待つ。ギリシャ語で「顔」という意味を持つ。
- モンジュ - ダナン四神の一人で念者。清める者(リザ)を待つ。重要なイベント毎に鳴る「破滅の鐘」の管理をしている。世紀末の魔物『バドラ』をギャラルトンネルに封印した。
- マユラ - ダナン四神の一人で星魔導師。秘宝を手に入れし者(デューン)を待つ。女性の姿をしていて、空間的な要素に長ける。
[編集] 種族
- ダナン神族
- 最初に生まれた種族。非常に長命で、類なき知恵を持ち、言霊はダナン神族によって生まれた。ダナン神族は生涯に一度、他の物や生物と同化できる力を持ち、一部のはぐれ者は「世紀末の魔物」と呼ばれる怪物に身を落として大空を暴れまわっている。また、ある一人のダナン神族はメイファに心を惹かれ、救世主の生誕を早めるべく4000年前にバイオタンクを製造している。ルドラの名は不明。
- 水棲族
- ダナン神族を滅ぼして栄えた種族。大海原を自由に行き来し、言霊をさらに発展させた。「ダシ」を語尾につけてしゃべる。ルドラの名はカダル。
- ハ虫類族
- 水棲族を滅ぼして栄えた種族。好戦的だが武士道を尊ぶ志高き種族。言霊技術は衰えた。「ゴザル」口調でしゃべる。ルドラの名はラズム。
- 巨人族
- ハ虫類族を滅ぼして栄えた種族。あらゆる環境に耐えうる強靭な肉体を持ち、物質文明をさらに発展させ、多くの武器・防具が開発された。仲間同士の争いを始めた種族である。ルドラの名はアビリジャ。
- 人間族
- 巨人族を滅ぼして現代に栄華を極めている種族。最初の2000年で物質文明を頂点まで発展させたが、バイオタンクを悪用し甚大な環境汚染を引き起こす。その後の2000年で言霊技術を発展させてきている。ルドラは四勇者でもあるハウゼン。
[編集] 専門用語
- ルドラ
- 4000年ごとに現れ、それまで繁栄していた種族を消し去り新たなる種族を作り出すとされている生物。巨人族を作ったのは巨人族のルドラ、などの認識が一般的。新たなる種族に適合した姿をしている。
- ジェイド
- 本来は人の手にあってはいけない秘宝。ルドラがその身に宿しているとされ、ルドラ以外の生物が触れた途端に暴走又は石化してしまう。ルドラの秘宝の主人公四人は何かしらの事故でこのジェイドが体内に埋まってしまうことになる。
- ラゴウ石
- ルドラが現れ、また戻っていく謎の巨大石版。構成している石自体が不可思議な鉱石でもあり、研究が進められている。ミュンヒ博士が命名。
[編集] 乗り物
- ボート - テント付のボート。海や狭い川も通れ、島や水辺のある山などにたどり着ける。自動。
- 定期船 - 違う大陸へ向かうのに使用。
- ファクシ - 反重力列車ファクシ。天空の大陸を結ぶ唯一の移動手段。ダナン神族が融合している。
- ヘグ - 水棲族の海の守り神とも称される巨大生物。海中を自由に動ける。
- 方舟 - ダナン神族が作ったとされる天駆ける船。この時代ではラミレスの物で、彼以外の者は操縦出来ないのだが、デスジェイドを入手したデューンとその相棒キッドも操縦可能になり、盗まれてしまう。ファクシと同様に、ブラズニルと言うダナンが融合している。潜水パーツを取り付けることで潜水も可能になる。後、ジェイドの力でエンジンの出力を上げると、大気圏の離脱も可能。ヒーリング装置もある。
[編集] ルドラ十神宝
次種族の始祖となるルドラは以下の10の神宝を身に付けて初めて完全体となる。
- アポカリプス
- キングズアーマー
- クイーンズコート
- パワーシールド
- サイコシールド
- フールシューズ
以上6つに、主人公達が身に宿す事になるライフジェイド、リバイブジェイド、ホーリージェイド、デスジェイドの4つをルドラ十神宝と呼ぶ。
[編集] ラスボス
- ゴモラ - シオン編のラスボス。冥界のガフの間で進化と滅亡を進めている。破壊と再生をもたらすルドラの生みの親。ハウゼンと戦うことを決めたサーレントにロスタムとヒューイの体を与えた。
- ハウゼン - サーレント編のラスボス。人間種族の滅亡を企てる人間族のルドラ。もとは4勇者の一人。
- ソドム - リザ編のラスボス。種族を浄化させる破壊の光を放つ機械。
- ミトラ - デューン編のラスボスで、今作品のラスボス。かつてハウゼン、サイゾウ、メイファと共に戦士ビルシャナに導かれ、虚空より来たりて全てを無に帰す者と戦った4勇者の一人。ソドムやダナン神族などを創造し、故郷の星を守る為に種族の進化を操作してきた。ジェイドを持たぬ者は相対する事すら出来ず、出会った瞬間に魂ごと消滅する。強大な力を持ち主で同じ四勇者からも畏怖される異質の存在である。