亀仙人
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亀仙人(かめせんにん)は、漫画「ドラゴンボール」及びそれを原作とするアニメに登場する主要キャラクターの1人。アニメ版のオリジナルキャストは宮内幸平。
初登場は原作では其之三「悟空・海へ走る」、アニメでは第3話「亀仙人のキント雲」。
注意 : 以降に、作品の結末など核心部分が記述されています。
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[編集] 人物像
- キャラクター・性格
別名:武天老師(むてんろうし)。はげ頭にサングラス、背中に背負った大きな甲羅がトレードマーク。私服としてアロハシャツを着ることも。年齢は319歳(初登場時)~354歳(原作、ドラゴンボールZ終了時)。誕生日はいつもいつも誕生日(アニメ版より)。普段は南海の孤島のカメハウスで人語を解するウミガメ・クリリン一家とともに暮らしている(一時はランチも一緒に住んでいた)。姉には守銭奴で天国へ自由に出入り出来る占い師、占いババがいる。当初は「不死鳥の生き血を飲んでおり、不老不死」とされてきたが、後にそれは嘘と判明(実際その不死鳥自身食中毒で死亡している)。
凄まじいほどのスケベで、特に若い娘には目が無い。エアロビクスの番組を食い入るように見ており、女性キャラ(特にブルマ)には「ぱいぱいをつつかせてくれんか」、「パフパフ(顔を相手の乳房で挟む)をしてくれんか」などセクハラ発言を連発、その結果としてビンタやげんこつ(ハンマーで殴られたことも)を食らうのがお決まりであった。悟空とクリリンに亀仙流の修行をつける際には、条件を「ピチピチギャルを連れてくること」にしたほど。人間だけでなく人魚(声:島本須美)や人造人間18号(アニメのみ)にセクハラを働こうとしたこともある。また天下一武道会の会場に飛行機で移動する際はスチュワーデスにもセクハラを働き、アニメでは悟空が入院していた病院の看護婦にもセクハラを働いた際、医師に「お触りじいちゃん」とあだ名されていた。
以上のようにスケベな老人というイメージの一方、格闘技に関しては真面目であり、弟子達が驕らぬよう、2度に渡って自ら変装して天下一武道会に出場(下記参照)。また、ピッコロ大魔王を生み出した事などから、「神をやめるべきだった」と悔やむ神様を諭した事もある。相手の心を読む能力もあり、それでナムを助けた事もある。ただし、カリンは悟空の内面を褒める際に、「亀仙人とは一味違う」と考えていたこともある。
また孫悟空に「筋斗雲」を与えた人物でもある(後に、カリンから貰ったものであることが判明)が、作中の時点では既に乗れなくなっていた。というより、むしろもともと乗れなかったと考えたほうが自然であろう。なぜなら、武泰斗に師事していた頃の若き日の亀仙人たちと悟空が出会うという、アニメ版オリジナルストーリー「時をかける悟空」を見ると彼は当時あこがれていた女性・ファンファンの風呂をのぞこうとしており、青春時代から既にそのスケベぶりが顕著である。また、悟空の持つ如意棒は、元々は亀仙人がカリンから授かり、それを悟空の育ての親である孫悟飯に与えたもの。他に芭蕉扇を持っていたため、フライパン山の火を消そうと悟空とチチが借りに来たが、鍋敷きに利用して燃やしてしまっておりウミガメに「罰当たりな!」と突っ込まれている。
- 武術家・武天老師
前述の通り、武道家としては武術の神・「武天老師」と称されるほどの人物。体内の潜在エネルギーを一気に放出するという大技「かめはめ波」を、50年かけて編み出した。
弟子の指導方針は身体の鍛錬のみならず、精神の鍛錬や初歩的とは言え学習の時間も取る(ただし、国語の教材にしていたのは明らかにポルノ小説)など、立派な人間の育成ということに主眼を置いたものである。また、弟子を一定の武術の型にはめないのか、弟子は自己流の武術の型や独自の技を持つ者が多い。彼の弟子は「亀仙流」と呼ばれ、胸と背中に「亀」と書かれた山吹色の道着を着ている(アニメでは赤もしくは橙色、微妙の色使いが再現不可な為とされている)。
弟子には孫悟空、クリリン、ヤムチャがいる。彼らは、後に亀仙人の元を放れ独自に技を磨くことになるが、自分を鍛えてくれた師匠への尊敬の念を込め、あえて亀仙流の道着を着用し続けていた。古くは孫悟飯(悟空の育ての親)、牛魔王も弟子入りしていた。また牛魔王の娘・チチは、亀仙人本人に「(戦いぶりが)亀仙流に似ている」との印象を与えている。
自身の師匠は、その昔自らの命と引き換えに、ピッコロ大魔王を魔封波で封じ込めた武術家、「武泰斗」。武術のライバルには、後の孫悟空の仲間・天津飯と餃子(チャオズ)の師匠である「鶴仙人」がいる。2人は若い頃、ともに武泰斗のもとで修行していた兄弟弟子だったが、武泰斗の死後、鶴仙人が悪の道に走ったために袂を分かっている。
- 補足
- 筋斗雲には心が清くないため乗れない。また、舞空術も使用できない。(ゲーム『ドラゴンボールZ Sparking!』では飛べる)
- 移動手段にはウミガメの他、子ガメラ(声:古谷徹)というガメラ似の動物もおり、フライパン山にいく際にはそちらを使用した。かつては不死鳥もいたが、亀仙人が初登場した時点では既に食中毒で死んでいた。
- 車の免許証が「武天老師」名義になっていることから、武天老師は尊称ではなく単に本名ではという意見もある。
- 最末期はサングラスが角張った物に変わっている。
- スカウターで計測した戦闘力は、ラディッツ襲来の直後で139。殆ど隠居状態となった時点での数値であり、気を込めた状態でもないため、全盛期に気を込めれば更に高い数値が出ただろう、とも考えられている。
- 空は飛べないが気を感じる能力を身につけているような描写が見受けられる。
- デザインは『Dr.スランプ』に登場した神様を原型に、額の星マークを取ってサングラスを掛けさせたものである。また、アニメ『Dr.スランプ アラレちゃん』で神様を演じたのは、亀仙人の初代声優と同じ宮内幸平である。
[編集] ストーリーへの関わり
- ジャッキー・チュン
弟子となった悟空とクリリンを第21回天下一武道会に出場させるが、強くなった弟子達が優勝し、慢心して天狗にならぬようにという師匠としての想いから、変装をし老武術家・「ジャッキー・チュン」の名で自分も大会に出場。準決勝でクリリンを、決勝で悟空を破り見事優勝している(このときの優勝賞金は、ほぼ全額悟空の食事代に消えた)。
3年後の第22回大会でも準決勝まで進出し、天津飯と闘うことになる。だがその試合やそれまでの弟子達の試合を見る中で、次の世代にも強い人間が育っていることを確認し、同時に弟子達が自分に驕るような器ではないと気づいた亀仙人に、闘う理由は残っていなかった。結果、自ら場外に降りるという形で棄権、ジャッキー・チュンとしての最後の試合を終えた。
ジャッキー・チュンの正体が亀仙人だと知っているのは、天下一武道会の受付係とナムと天津飯、鶴仙人だけである(ヤムチャに正体を見抜かれかけたことはあった。またアニメのセル篇では、クリリン、ウーロンなど仲間全員が結局知ってしまったような描写が会話の中であった)。
名前からもわかるようにジャッキー・チェンのもじりであり(ジャッキー・チュンという香港のスター俳優も実在する)作者の鳥山はあまりにもそのままな名前であったために後年「もう少し名前をひねっとけばよかった」とも語っている。
- ピッコロ大魔王編
ピッコロ大魔王が再び地球上に蘇った際、かつて師匠:武泰斗がしたように、自らの命と引き換えに電子ジャーで大魔王を封じ込めるべく魔封波を使用。だが、目測を誤って外し(アニメでは、風圧で蓋が閉まり)失敗。封印することが出来ぬまま、体力を使い果たし死亡した(そのため、厳密に言えばピッコロ大魔王に殺されたわけではないのだが、カリン様は「殺されおった」と表現した)。このシーンは作中における亀仙人最大の見せ場となっている。
その後悟空によって大魔王は倒され、神龍も復活。ドラゴンボールで無事生き返ることとなった。
- 悟空青年期以降
サイヤ人編やセル編では、インフレの進む戦闘力についていけず悟空らとの実力の差が拡大、自分の無力さを悔いる姿が見られる。魔人ブウ編では2度目の死を迎えているが、ピッコロ大魔王編時同様、後にドラゴンボールにより生き返っている。
[編集] 必殺技
ジャッキー・チュン変装時にのみ繰り出した技を含む。
- かめはめ波
- 亀仙人自ら、50年の月日を経て生み出した大技。体内の潜在エネルギーを両掌に集め、一気に放出させる。フライパン山の火を消す際に使用したのが最初の登場。マックスパワーで使用した場合、使用する直前に一気に筋肉モリモリのマッシブな体つきになり(放った後は風船がしぼんでいくように元通りの老人体型に戻る)、地上から放っても月を破壊するだけの威力を持つ。
- 残像拳(ざんぞうけん)
- 素早い動きで残像を残し、相手に自分の位置を誤認させる技。相手が残像に攻撃を加えるよう誘導し、その際に相手の隙をつき攻撃を加える。複数の残像を作り出した場合は「多重残像拳」とも呼ぶ。
- 酔拳(すいけん)
- 酒に酔ったふりをし、その動きの中で相手を攻撃する技。第21回天下一武道会で悟空に使用。劇中では披露してないが、弟子の孫悟飯もこの技を得意としていたことが悟空のセリフで判明している。
- よいこ眠眠拳(よいこみんみんけん)
- 萬国驚天掌(ばんこくびっくりしょう)
- 両手から放出する光線で、相手を宙に浮かせて動きを封じ感電させる技。非常に危険な技。生涯で2度しか使用していない。作中では、第21回天下一武道会で悟空に使用したのが唯一(それ以前には、弟子の孫悟飯に使用している)。
- 金縛りの術
- 眉間のツボを突き、相手の動きの一切を封じる技。第22回天下一武道会で使用。
- 魔封波(まふうば)
- 相手を殺さず、札を貼った容器に封印する特殊な技。魔族に対して効果的。ピッコロ大魔王戦で使用したが、失敗に終わりこの技がもとで死亡した(後にドラゴンボールで復活している)。消耗の激しい技であり、1度使うと成功・失敗にかかわらず命を落とすケースが多い(ただし天津飯と、人間の体を借りシェンとして第23回天下一武道会に出場した神様は死ななかった)。師匠の武泰斗がこの技を使ってピッコロの封印に成功したが、絶命している。
- 読心術(仮名)
- 相手の心の中を読む超能力。ナムに対して使用。
[編集] 劇場版への登場
劇場版へは第1作「ドラゴンボール 神龍の伝説」から既に登場している。
「ドラゴンボールZ この世で一番強いヤツ」では作中の設定から戦闘場面が描かれており、これは原作、アニメ通じてZになってからは唯一亀仙人が戦闘参加した作品である。ファンからも「まさか亀仙人が戦う場面が見られるとは思っていなかった」と当時は驚きの声があった。 「ドラゴンボールZ 超サイヤ人だ孫悟空」では地球が絶体絶命の状況になっていたにもかかわらず、ストーリーの最初から最後まで寝ていた。これには、クリリンからも「あの境地にはとても達せない」と呆れられた。 「ドラゴンボールZ 燃えつきろ!!熱戦・烈戦・超激戦」では終始酔っ払っており、ブロリーに対して久々のマッスルかめはめ波を放つのかと思いきや、ひょっとこ踊りを見せてウーロンにつまみ出されている。
[編集] アニメ版声優の変化
初代声優の宮内幸平は、初登場からアニメ第2作『ドラゴンボールZ』末期に至るまで、約10年間声をあて続けた。悟空役の野沢雅子やブルマ役の鶴ひろみ同様、鳥山も参加したオーディションによって選ばれたキャストの1人であり、ファンからは「ふざけているようで、シリアスな面も見せる亀仙人のキャラクターを、非常に上手く演じていた」との好評価も多い。
しかし、『ドラゴンボールZ』の終了を待たずして、1995年6月に急逝。これによりZ第288話以降を増岡弘が、映画「ドラゴンボール 最強への道」では愛川欽也が、「ドラゴンボールZ 龍拳爆発!!悟空がやらねば誰がやる」では佐藤正治がそれぞれ亀仙人の声をあてることになった。
この他宮内の生前にも、『ドラゴンボール』第137話では八奈見乗児が代役を務めたことがある。
近年のゲームでは増岡弘が亀仙人の声を当てているが、「ドラゴンボール アドバンスアドベンチャー」では石森達幸がジャッキー・チュンを演じている。
[編集] ドラゴンボールGTへの登場
第一話でパンと共に都に来ていたところで初登場。究極のドラゴンボールで小さくなった悟空と5年ぶりに再会する。
最終回では悟空の異変に気づき、消えた悟空に「神龍に伝えてくれ、ドラゴンボールをありがとう、とな」と呟いた。
[編集] 『CROSS EPOCH』での亀仙人
ONE PIECEのサンジと共に荒野の保安官として登場。DRAGONBALL時代と変わらずギャル好きのようで、同じく美女に甘いサンジとは美女のためなら双方共に仕事をほったらかしてしまうという抜群のコンビネーションを見せていた。なお、本作ではDRAGONBALL最終回ちかくに使っていたシャープデザインのサングラスではなく、ブウ篇まで愛用していたおなじみの四角いサングラスを使っている。