二酸化硫黄
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二酸化硫黄(にさんかいおう 【英】Sulfur Dioxide)は硫黄の燃焼により生ずる刺激臭を有する気体。化学式 SO2。亜硫酸ガス(ありゅうさん—)ともいう。
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[編集] 性質
[編集] 化学的性質
水と反応して亜硫酸(化学式 H2SO3)を生じる反応の速度は遅いので、工業的には五酸化バナジウムを触媒として亜硫酸を製造する。二酸化窒素と反応して一酸化窒素と三酸化硫黄になることで硫酸を生じ、酸性雨の原因となっている。
[編集] 反応式
- 水との反応
[編集] 用途
[編集] 発生方法
[編集] 毒性
二酸化硫黄は呼吸器を刺激し、せき、気管支喘息、気管支炎などの障害を引き起こす。
0.5 ppm 以上でにおいを感じ、30-40 ppm 以上で呼吸困難を引き起こし、100 ppm の雰囲気下に50~70分以上留まると危険。400 ppm 以上の場合、数分で生命に危険が及ぶ。ただ、高濃度の地域に短時間いるよりも、低濃度地域に長時間いる場合の被害のほうが多い。
代表的な例として、日本における第二次世界大戦後の四大公害事件とされ、1961年頃より発生した四日市ぜんそくがあげられる。1960~70年代に高濃度の汚染を日本各地に引き起こしたが、工場等の固定発生源や石油の使用による発生も脱硫装置により対策が進められた結果、現在は汚染が改善されている。
また、足尾銅山鉱毒事件も有名。
19世紀半ばのクリミア戦争ではセバストーポリの戦いでイギリス軍が化学兵器として使用したのではないかとも言われている。
二酸化硫黄の環境基準は1時間値の1日平均が 0.04 ppm 以下であり、かつ1時間値が 0.1 ppm 以下であることとされている。