五百円硬貨
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五百円硬貨 | |||||||||||||||
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五百円硬貨(ごひゃくえんこうか)は、日本政府発行の補助硬貨。五百円玉(ごひゃくえんだま)とも呼ばれる。1982年4月に五百円紙幣の製造が中止された代わりに登場した。2000年にデザインと成分を一部改めたものが出されている。
登場当時はスイスの5フラン、ドイツの5マルク、スペインの500ペセタ硬貨と並び、高額硬貨として話題になった。その後ドイツやスペインでは通貨がユーロにかわり、スイスフランの相場が1フランあたり90円前後の現在では、記念硬貨などを除き、一般に流通している硬貨では世界で最も価値の高い硬貨である。
目次 |
[編集] 新旧の硬貨の違い
1982年に発行された五百円硬貨(以下 旧硬貨)と2000年に発行された五百円硬貨(以下 新硬貨)ではどちらとも表面には桐が、裏面には笹と橘がデザインされており、外観上はあまり大きな差はないが、新硬貨では裏面の500の文字が角度によって「500円」の文字が浮かび上がるようになっているほか、「N」「I」「P」「P」「O」「N」と小さく刻印されている。また硬貨の外周は旧硬貨は「* NIPPON * 500 *」と繰り返しデザインされていたが、新硬貨では世界で初となる斜めのギザギザが入れられた。このように五百円硬貨が他の額面硬貨と比べ外周に変化を持たせているのも、五百円硬貨が日本における最高級硬貨であることを強調するためであったとされている。
材料も、旧五百円硬貨が銅75%、ニッケル25%だったのに対し、新五百円硬貨では銅72%、亜鉛20%、ニッケル8%となった。これにより電気伝導率などが変わるため、偽造硬貨の検出が容易になった。
新旧硬貨は設計上は厚さが同一ということになっているが、実際には僅かに新硬貨の方が薄く、旧硬貨50枚用のコインキーパーに新硬貨が51枚収納できてしまう場合があるため、枚数の計算には注意が必要である。
[編集] 硬貨偽造
五百円硬貨よりも後に発行された韓国の500ウォン硬貨(価値は日本円で約50円)が旧硬貨とほぼ同じ大きさであったがやや重かったため、ドリルなどを使用して穴を開けたり削ったりして質量を減らし、自動販売機で使用される例が後を絶たなかった。主に自動販売機の設計上の不具合(「返却レバー」によって返却される硬貨は投入した硬貨とは異なっていた)をターゲットとされていた。
また、主に平成九年製造の五百円硬貨を他の材質を使用し、酷似させた偽造硬貨も数種類作られ、自動販売機以外の商店や高速道路の料金所で使用された。 五百円硬貨の外周の「◇NIPPON ◇ 500 ◇」の刻印が不鮮明であること、削ると本来の地金が現れること(現れない種類も存在する)、本物より音が少し軽いなどの特徴があった。 これらの五百円硬貨を鉄パイプの中に隠して、中国から大量に密輸しようとした男を水際で逮捕した事件もあった。
五百円硬貨を取り巻く状況が非常に悪くなったこともあり、2000年に現在の硬貨に改められた(また、自動販売機側も投入した硬貨を返却に備えプールしておくように構造が改められた)。
しかし、新硬貨になっても偽造は無くならず、ついには新硬貨さえもが偽造されてしまっている。
[編集] その他
旧硬貨の側面の刻印は上下が統一されていない。そのため流通してからまもなく裏面を天として刻印が読める硬貨はエラーであり価値が高いというデマが流れた。実際には製造過程で裏表のチェックをせずにランダムに刻印されていたので価値の違いは無い。
[編集] 関連項目
日本の硬貨 |
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