五百旗頭真
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五百籏頭 真 (いおきべ まこと、男性、1943年12月16日 - )は、日本の政治学者、防衛大学校校長(第8代、2006年8月1日就任)、神戸大学名誉教授。専門は、日本政治外交史、政策過程論、日米関係論。元日本政治学会理事長(1998-2000年)。
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[編集] プロフィール
兵庫県西宮市出身・在住。1962年六甲高等学校、1967年京都大学法学部卒業。1969年同大学院法学研究科修士課程修了。学部・大学院を通じて猪木正道に師事。広島大学政治経済学部助手・講師・助教授を経て、1981年より神戸大学法学研究科・国際協力研究科教授。1987年京都大学より博士(法学)学位を取得。
その間、ハーバード大学(1977-79年、2002-03年)、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(1990-91年)で客員研究員、小渕内閣時には「21世紀日本の構想」懇談会の外交分科会座長をつとめた。
1985年、『米国の日本占領政策』でサントリー学芸賞受賞。他に吉田茂賞(2回)、吉野作造賞を受賞。
地元西宮市に本拠を置いた阪急ブレーブスのファンであった。なお、息子の五百籏頭薫は首都大学東京都市教養学部准教授を務めている。
[編集] 近年の発言
防衛大学校校長就任に際し、「自分は自衛隊を合憲だとは思っているが、昨今の周辺脅威論や武装論にはくみせず、『国民が軍事力を監視し暴走を押さえ付ける』というシビリアンコントロールを最重視していきたい」と新聞のインタビューで答えた。
また、2006年9月7日配信の「小泉内閣メールマガジン」内の特別寄稿では「とりわけ大きな業績は、対米関係の高水準化」「首相自らがあの北朝鮮を訪問し、拉致を認めさせ、問題解決の大筋を共同声明に示す大業は、小泉以外の誰にもできなかったであろう」などと述べ、小泉外交に高い評価を与えた。
その一方で「(小泉首相の)靖国(神社)参拝一つで、どれほどアジア外交を麻痺(まひ)させ、日本が営々と築いてきた建設的な対外関係を悪化させたことか」とも述べ、「後継者たちに残したものと考えて対処せねばなるまい」と締めくくった。
[編集] 著書
[編集] 単著
- 『米国の日本占領政策――戦後日本の設計図(上・下)』(中央公論社, 1985年)サントリー学芸賞受賞
- 『日本政治外交史』(放送大学教育振興会, 1985年)
- 『日米戦争と戦後日本』(大阪書籍, 1989年/講談社[講談社学術文庫], 2005年)吉田茂賞受賞
- 『秩序変革期の日本の選択――「米・欧・日」三極システムのすすめ』(PHP研究所, 1991年)
- 『占領期――首相たちの新日本』(読売新聞社, 1997年)吉野作造賞受賞
- 『戦争・占領・講和――1941-1955』(中央公論新社, 2001年)
[編集] 共著
[編集] 編著
[編集] 共編著
- (北岡伸一)『開戦と終戦――太平洋戦争の国際関係』(情報文化研究所, 1998年)
- (北岡伸一)『占領と講和――戦後日本の出発』(情報文化研究所, 1999年)
- (下斗米伸夫)『20世紀世界の誕生――両大戦間の巨人たち』(情報文化研究所, 2000年)
[編集] 雑誌掲載論説(抜粋)
- 「つくる会の「新しい歴史教科書」を読む――同家の存亡だけで歴史を語る貧しさ」(『論座』2001年7月号)
- 「東アジアの安全保障秩序はどうなる――反中"原理主義"は有害無益である」(『中央公論』2004年5月号)
- 「歴史の咎を「戦後責任」で超えるとき」(『中央公論』2005年10月号)