亜寒帯湿潤気候
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
亜寒帯湿潤気候(あかんたいしつじゅんきこう)はケッペンの気候区分における気候区のひとつで冷帯(亜寒帯)に属する。冷帯湿潤気候(れいたいしつじゅんきこう)または冷帯多雨気候(れいたいたうきこう)ともいい、記号はDfa,Dfb,Dfc,Dfd。
目次 |
[編集] 本気候の概説
- この気候は北半球の北緯40度以北の大部分に分布。東ヨーロッパ~西シベリア及び中央シベリア、北アメリカ大陸に分布(その他、サハリン、日本では北海道もこの気候に属する)。地球上に最も広く分布する気候区である。
- 気温の年較差は大きく、夏は平均気温が10度を超すが、冬は-3℃を下回り積雪は根雪となる。
- 年中平均した降水。高緯度低圧帯の影響で冬は積雪が多い。
- 北部の土壌はポドゾルで農業に不適でタイガ(亜寒帯林)が広がる。
- 夏に温暖もしくは高温な(10℃以上が4ヶ月以上持続する)南部では農業が行え、春小麦やジャガイモ・ライ麦などが収穫できる。
- シベリア南西部にかけては、肥沃な土壌(黒土地帯)があり、世界一の春小麦地帯がある
[編集] この気候の成立条件
- 最寒月平均気温が-3℃未満。
- 最暖月平均気温が10℃以上。
- 年平均降水量が乾燥限界以上 かつ 下記の条件を満たす。
- 最多雨月が夏にある場合は、最多雨月降水量≦10×最少雨月降水量。
- 最多雨月が冬にある場合は、最多雨月降水量≦3×最少雨月降水量 または 最少雨月降水量が30mm以上。
- 更に、最寒月・最暖月平均気温によって次の4つに分けられる。
- Dfa : 最暖月が22℃以上。
- Dfb : 最暖月が10℃以上22℃未満 かつ 月平均気温10℃以上の月が4ヶ月以上。
- Dfc : 最暖月が10℃以上22℃未満 かつ 月平均気温10℃以上の月が3ヶ月以下 かつ 最寒月が-38℃以上-3℃未満。
- Dfd : 最暖月が10℃以上22℃未満 かつ 月平均気温10℃以上の月が3ヶ月以下 かつ 最寒月が-38℃未満。
[編集] 気候の特色
夏はやや高温だが、冬は寒さがきびしく積雪も多い大陸性の気候。雨量はそれほど多くなく、1年通して平均的な降水量。
[編集] 土壌
南部が褐色森林土、北部は酸性土壌のポトゾルが分布している。
[編集] 主な作物
- 夏に比較的高温となる南部では、春小麦が栽培されている。その他、ジャガイモ・カブ・ライ麦・蕎麦などもある。
- 農作物の栽培に向かないやせ地や月平均気温10℃以上の月が3ヶ月以下 (Dfc,Dfd) の北部地域などでは酪農・放牧などがおこなわれている。地域によっては、冷涼な気候に強いジャガイモ・カブ・ライ麦・蕎麦などが栽培されているところがある。
- 大消費地に近い地域では酪農・そうでない地域では放牧が行われている。
[編集] 分布地域
[編集] 主な分布都市
ケッペンの気候区分 |
---|
熱帯 A: 熱帯雨林 (Af) - 熱帯モンスーン (Am) - サバナ (Aw, As) |
乾燥帯 B: 砂漠 (BWh, BWk) - ステップ (BSh, BSk) |
温帯 C: 温暖湿潤 (Cfa) - 西岸海洋性 (Cfb, Cfc) - 温暖冬季少雨 (Cwa, Cwb, Cwc) - 地中海性 (Csa, Csb, Csc) |
冷帯 D: 冷帯湿潤 (Dfa, Dfb, Dfc, Dfd) - 冷帯冬季少雨 (Dwa, Dwb, Dwc, Dwd) - 高地地中海性 (Dsa, Dsb, Dsc, Dsd) トレワーサの区分: 湿潤大陸性 (Dfa, Dwa, Dsa, Dfb, Dwb, Dsb) - 亜寒帯 (Dfc, Dwc, Dsc, Dfd, Dwd, Dsd) |
寒帯 E: ツンドラ (ET) - 氷雪 (EF) |
高山 H |
カテゴリ: 気候 | 世界地理関連のスタブ項目