ソバ
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ソバ | ||||||||||||||
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分類 | ||||||||||||||
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学名 | ||||||||||||||
Fagopyrum esculentum Moench | ||||||||||||||
和名 | ||||||||||||||
ソバ | ||||||||||||||
英名 | ||||||||||||||
buckweat, common buckwheat, sweet buckwheat |
ソバ(そば、蕎麦)は、タデ科の一年草。その実の粉末と、それを用いた麺(蕎麦を参照)、その調理品をも指す。
目次 |
[編集] 概要
- 花は白、淡紅、赤で、茎は、緑、淡紅、濃紅であり、果実の果皮色は、黒、茶褐色、銀色である。
- 原産地は、ド・カンドルが中国北部からシベリアという説を出し、信じられてきたが、京都大学の大西近江教授が1992年に中国南部で野生祖先種F. esculentum ssp ancestraleを発見したことから、中国南部説が有力となっている。
- 主に実を食用に利用する。荒れ地でも容易に生育することから、救荒作物として5世紀頃から栽培されていた。
- 日長反応の違いから、感光性が弱い夏型、強い秋型、両者の中間タイプの中間型があり、中間タイプはさらに夏型に近い中間型、秋型に近い中間型に分れる。
- さらに、栽培形態として、播種期の違いにより春播きの夏蕎麦と夏播きの秋蕎麦がある。しかし、主産地北海道では年一作で、夏蕎麦、秋蕎麦の区別はない。つまり、北海道のソバは夏型であるが夏蕎麦ではない。東北以南では、いわゆる夏蕎麦、秋蕎麦に別れ、地域により年に二~三回収穫できる。例えば、北海道の夏型の牡丹そばを本州で夏播きした場合には秋蕎麦である。
- 休耕田などを利用した栽培が増えているので、日本国内の生産量は増加傾向ではあるが、消費量の80%は輸入品であり、その84%の中華人民共和国、12%のアメリカ合衆国と続き、カナダからの輸入はわずか1.2%に過ぎない。なお、国内主要産地は北海道である。中国、特に山西省、陝西省、四川省は、世界の主要産地であるが、近年は他の作物に転作され、減少傾向にある。
[編集] ソバの語源
古代日本語ではソバのことを「そばむぎ」、「くろむぎ」と呼んだ。
「そばむぎ」は稜角(物のかど)を意味する古語「そば」と「むぎ(麦)」が複合した語で、角のある麦という意味である。後世には「そばむぎ」が略されて「ソバ」と呼ばれるようになった。ちなみに、「ブナ(橅)」の古名を「そばのき」、ブナの実を「そばぐり」というのは、その実の形状が一般のドングリと異なり稜角を持っていることから来ている。
同様に英語名の「buckwheat」、ドイツ語名の「Buchweizen」もまた、ブナと似た形の実を付ける小麦のような作物という意味合いである(英名「buckwheat」=「beech(ブナ、転じて『buck』の形)」+「wheat(小麦)」)。
また、ソバの異称の「くろむぎ(黒麦)」は、使われなくなり、後にライムギの異称として使われた。
[編集] 利用
- 実は殻を除き(丸抜き)、種子の胚乳の部分を粉(蕎麦粉)にして食用にする。
- 殻を剥いたそば米は、カーシャ、蕎麦茶に利用される他、焼酎原料にもなる。
- 幼い茎や葉は、スプラウト(新芽野菜)としてサラダの材料などにして食用とする。
[編集] 蕎麦粉の製法 (製粉工程)
ソバの刈り取り→乾燥→とおみがけ→石抜き→篩いがけ→丸抜き→石臼などによる製粉→篩いがけ(仕上げ)
[編集] ソバを用いた食品
近年では珍しくなったが、古くは蕎麦掻きなど、麺(蕎麦切り)以外の形態による調理法は日本でも一般的であった。ここではその代表的なものを取り上げる(地域によって多少の差異はある)。
- 蕎麦切り(そばきり)
- 日本でもっとも一般的な形態。蕎麦粉を打って板状に延ばし、幅1~2mmに切断して麺したもの。茹でて食べる。単に蕎麦とも呼ぶ(詳細は蕎麦参照)。つなぎに小麦粉を加える場合も多い。現在、蕎麦屋でこれを「蕎麦切り」と区別して呼ぶ場合は、別途蕎麦掻きを置いている場合が多い。
- 蕎麺(チャオミエン)、ピツォッケリ
- 中国においては、麺に加工する際に、切るのではなく、多数の穴の開いた筒にこねた蕎麦粉を入れて、押し出す方法が普通で、「蕎麺」などと呼ぶ。朝鮮冷麺は、蕎麦粉で作る場合も多い。イタリアにおいても、蕎麦粉を使った「ピツォッケリ」(Pizzoccheri)という押し出しのパスタが食べられている。
- 蕎麦掻き(そばがき)
- 蕎麦粉に湯を少量かけて箸でこねて粘りをだし、蕎麦つゆやダシ汁をかけた食品。蕎麦練り(そばねり)とも呼ぶ。蕎麦つゆや薬味が最低限度で足りるため蕎麦そのものの香りや味を楽しむことができる。ほとんど手間がかからずに作ることができるので栄養価の高いファストフードもしくはインスタント食品と言える。
- 蕎麦飯(そばめし)
- 神戸市の郷土料理のそばめしとは別物。茹でた蕎麦の実から、皮を取り去ったもの。粥のように煮て食べる。また、蕎麦の実を水に1日曝した後に蒸して乾燥させて精製したもの5合とほぼ同量の白米5合を混ぜて1升2合の水によって炊き上げた炊き込みご飯をも指す。
- 剥き蕎麦(むきそば)
- 蕎麦の実の殻を剥いてから、茹でたもの。そばつゆをかけて食べる。
- お焼き(おやき)
- 蕎麦粉や小麦粉を手の平程度に丸く延ばし、具として野菜や肉などを入れた後、丸めて囲炉裏端で周囲を焼いたものを信州周辺では「お焼き」と呼ぶ。
- 蕎麦味噌(そばみそ)
- ソバの実を原料にして作られた味噌。
- 蕎麦茶(そばちゃ)
- ソバの実を炒って、湯で成分を抽出し、飲用にしたもの。茶外茶の一種で、食味は麦茶に近い。
- 蕎麦団子(そばだんご)
- 蕎麦粉に水分を加えてこね、団子状に丸め、蒸すか焼いたもの。
- 蕎麦餅(そばもち)
- 蕎麦粉と乾燥させた牛蒡の若葉などを混ぜ、小麦粉をつなぎとして加えた後に練り上げて蒸したもの。
- 蕎麦饅頭(そばまんじゅう)
- 皮に蕎麦粉を使用した饅頭で、つなぎにすりおろした長芋を用いたものもある。
- 蕎麦クッキー(そばクッキー)
- 小麦粉の代わりに蕎麦粉を用いて作られたクッキー。
- 蕎麦ボーロ(そばぼうろ)
- 蕎麦粉を使った球状、または花状の焼き菓子。京都の菓子屋が発明した。数店が元祖争いを行っている。
- 蕎麦花林糖(そばかりんとう)
- 小麦粉の代わりに蕎麦粉を用いて作られた花林糖。
- 蕎麦パン(そばぱん)
- 蕎麦粉と小麦粉を5:1の割合で混ぜて卵1個と砂糖・塩少々を加えて練り上げて卵焼き風に焼いたもの。
- 蕎麦ソフトクリーム
- ソフトクリームに蕎麦茶を加えた香ばしさのあるソフトクリームで夏季に信州地域で販売されている。
- そば粉入りのクレープ(ガレット)
- フランス・ブルターニュ地方の郷土料理。そば粉、ミルク、鶏卵、ビールを攪拌したものを、熱してバターを入れた平なべで焼く。
[編集] カビ毒
[編集] 関連項目
[編集] ギャラリー
[編集] 外部リンク
- 滋賀県今津 蕎麦畑 珍しい赤蕎麦も栽培。