伊勢うどん
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伊勢うどん(いせうどん)は、三重県伊勢市を中心に食べられるうどん。
軟らかく煮た極太の緬に、たまり醤油に鰹節やいりこ等の出汁を加えた、黒く濃厚なうどんつゆ(タレ)を絡めて食べる。徹底的に腰をなくした極太麺と濃厚なタレは、腰の強さとさっぱりしたつゆが持ち味の讃岐うどんと対極にある。具をあまり載せないことも特徴。江戸時代以前からこの地の農民が食べていた、地味噌のたまりをつけたうどんを、食べやすく改良したものといわれる。 よく誤解されるのはタレの味である。本来のタレは甘みがあり塩辛さはなく濃い目の味ではあるが後味はまろやかである、しかし、店によって味に違いがあり本来の味とは違う場合も多々あり評価が大きく分かれる。特に関西人には敬遠される傾向にあるが味の良い店での評価は大方が良い。そばつゆと同じものと勘違いされる傾向にあるが別物である。
[編集] 歴史
起源・始期は明らかではない。
もともと農民が自分たちの食事のために作っていたことから、できるだけ手間がかからず延ばす手間がいらない太い麺が、また安く済むネギだけの具といううどんが形作られたのではないかと考えられている。タレには、家庭で作った味噌からできるたまり醤油を使っていた。
浦田町橋本屋七代目である小倉小兵がお蔭参りの参詣客へと供するためにうどん屋を開業したのが、伊勢うどん屋としての最初と言われている。すぐに参拝客に提供できるよう、常に茹で続け必要量釜揚げ ていた為、茹で時間を気にしないでよいコシのないうどんが最適だったとの説がある。
伊勢うどんという名称は昭和40年代以降に名づけられ定着していったが、それまでは地元の家庭では特に他地域のうどんと違う点があると意識されることのない料理の一つであった。
この地方の小麦栽培では「農林61号」が主流であったが、地域産業振興の活動の中、低アミロース品種である「あやひかり」がこの伊勢うどんに向いていることが明らかとなり、2003年(平成15年)より奨励品種として採用されている。