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讃岐うどん - Wikipedia

讃岐うどん

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』

讃岐うどん(さぬきうどん)は、香川県(旧讃岐国)特産のうどんである。一般的には、ひらがなで「さぬきうどん」と表記される事も多い。

目次

[編集] 沿革

かけうどんといなり寿司(観音寺市 柳川うどん店)
かけうどんといなり寿司(観音寺市 柳川うどん店)

江戸時代前期の元禄の頃に描かれた「紙本着色金比羅祭礼図」には、既にうどん屋を見ることができる。また、瀬戸内海式気候で雨が少ない土地柄のためうどんの原料となる小麦栽培が古くから盛んであり、和漢三才図絵(江戸中期)の小麦の項目では「讃州丸亀の産を上等とす」と記された。

小麦の生産に加え、瀬戸内海沿岸で生産されるイリコ小豆島で生産される醤油など、うどんの材料となる主要な産物が入手しやすかったことから、讃岐国でもうどんが発達することになった。

小麦粉の切り麺として、うどんは讃岐国以外でも日本各地で発達したが、理由は定かではないがいつの頃からか代表的・中央値的なうどんとして讃岐うどんの名が全国に認知されるようになった。県外では、普通の店屋物のうどんでも麺だけは(商業的な理由で)讃岐・讃岐風を標榜するなど、讃岐うどんは人口に膾炙するようになっていった。

香川県内においてもその名に違わずうどんは特に好まれ、県民の生活のなかで特異な位置をうどんは占めている。また香川県民の多くは、県外に出てもうどんへの拘りを隠さない。かつて故郷へ帰る香川県民は、宇野港から乗船した宇高連絡船甲板のスタンドで供されるうどんに、帰郷を実感したという。

香川県内でも地域ごとに差異があり、よく全国区で取り上げられるうどん処は高松市以西の河川沿いが多いが、県内各地の住民はそれぞれの地元に贔屓の店を持っており、県全域で生活に密着した食物・食習慣となっている。香川県には、「讃岐うどん通り」などと称されるような店鋪の特定集中区域はない。

讃岐うどんは単なる香川県の一名物ではなく、正に香川県の県民食であると言える。

[編集] 全国的な広まり

1990年代、香川県のタウン情報誌『月刊タウン情報かがわ(TJ Kagawa)』編集長(当時)の田尾和俊(現・四国学院大学社会学部教授)が企画・執筆した連載から発展して編纂された書籍『恐るべきさぬきうどん』が広く脚光を浴びた。以来、讃岐うどんは香川県の重要な観光資源として注目されるようになる。

2002年、香川県独特のセルフサービス店に似た業態のセルフうどん店が首都圏にオープンすると物珍しさから耳目を集め、雨後の筍のように日本各地でセルフうどん店が開業した。

これらセルフうどん店は業態を模倣しただけで品質の伴わない店が少なくなかったこと、讃岐うどんのブームも一段落し新規開店が減ったことで淘汰も始まっている。そうした中で、セルフうどん店は廉価・手軽なファストフードの一つとしてある程度の定着を見、ショッピング街やフードコートなどでも見かけることが珍しくなくなった。

2006年8月、讃岐うどんを題材にした映画『UDON』が公開された。監督は香川県出身の本広克行

[編集] 定義

「生めん類の表示に関する公正競争規約及び公正競争規約施行規則」においては、次の通り定められている。

  • 香川県内で製造されたもの
  • 手打、手打式(風)のもの
  • 加水量 …… 小麦粉重量に対し40%以上
  • 食塩 …… 小麦粉重量に対し3%以上
  • 熟成時間 …… 2時間以上
  • ゆでる場合 …… ゆで時間約15分間で十分アルファー化されていること

ただし、「讃岐うどん」という呼称は、香川県特産のうどんを指す外に、香川県外においてしばしば特定の具が乗っていない素のうどん(特にかけ)を指すことがある。香川県内では、そのようなうどんは「かけ」「かやく」「すうどん」などと呼ばれる。

[編集] 業態

休日のうどん店での行列
休日のうどん店での行列
セルフサービス店の店構え
セルフサービス店の店構え
津田の松原サービスエリア自分で湯煎し、具を入れ、会計してからダシを入れる
津田の松原サービスエリア自分で湯煎し、具を入れ、会計してからダシを入れる
大阪市鶴見区・さぬ吉
大阪市鶴見区・さぬ吉

讃岐うどんは、飲食店もしくは小売店で販売され、飲食店はうどん屋と称される。

[編集] 香川県内のうどん屋

香川県全県でのうどん屋の数は多く、株式会社あわわより刊行されている「うどん屋全店制覇攻略本」シリーズでは毎年800軒前後が掲載されている。またうどん一杯の価格は他の地域に比べてごく廉価である。形態は概ね一般店セルフサービス店製麺所に分類される。

一般店
通常の飲食店と同様の形態であるが、多彩な形態でうどんが供されており、夜遅くまで開いている店も多い。高級店では職人がうどん打ちの実演を行っており、客は打ち立てのうどんを一日を通して食べられる。一般店での注文方法は、県外のうどん店と同様に、うどんの種類(きつね、山菜、など)、量(大盛りなど)、薬味の加減(ネギ抜きなど)を注文時に伝えることによる店が多い。また、香川県のうどん店で特徴的なのは、おでんおにぎりなどがよく併売されていることである。これに関しては後述する。
セルフサービス店
廉価さと手軽さを特徴とし、客自身が何らかの作業を行う。カウンターで注文を述べ、品を受け取り、食後は定められた場所に食器の返却を行うという、いわゆるセルフサービスの業態であるだけでなく、讃岐うどんのセルフ店では様々な自足作業が求められることが少なくない。うどん玉を鉄砲ざるで客自ら湯煎し、具や薬味が並べられている棚から自分で好きなものを取り、蛇口付きのタンクからだしを自らかける、などがそれにあたる。極端な例では、うどんに入れるネギを、客が店のそばのから刈ってくる(抜いてはいけない)ような店もあった。香川県下のセルフうどん店では、店の役割と客の役割とが店によって違うことがままあり、県民でさえはじめて入るセルフ店ではまごつくことがあるため、メニューではなく手順が大書してある場合が多い。うどんの量に関しては、うどん玉が最小単位となる店が多く、たとえば支払時に玉数を数字で指定する店、大(3玉)・中(2玉)・小(1玉)で玉数をあらわす店、大が普通の倍(2玉)の店など様々である。セルフサービス店の多くは主に昼食客を対象としており、夜は早く店を閉める。
製麺所
セルフサービス店の中でも、元々小売をしていなかった製麺所に、セルフサービスの設備を併設したタイプで、うどん玉がなくなり次第営業を終了するような店である。本当に打ちたての麺を食べられるため、トップクラスの評価を受ける店も少なくない。このタイプの店では長く続いている店でも什器類は間に合わせのままだったり、店の看板や上記セルフの手順も掲示されていなかったりする。このような店が紹介された当初、他県民には大変ユニークに映り、また香川県民でも知らない人は本当に知らなかったため、県内外で注目された。

[編集] 香川県外の讃岐うどん

セルフサービス店
2002年以降、急激に増加した。最近では新規開店は少ない。香川県で標準的なセルフ店よりも客自ら行う手順は少なくなっており、セルフ店がはじめての客にも入りやすい工夫がされている。
讃岐うどん専門店
讃岐うどん用の小麦粉や香川県から仕入れた材料にこだわる店もあるが、地方によりその地域に応じた具材が載せられる場合もある。
一般のうどん店
特に讃岐うどんとしての有りようにこだわらず、うどん=讃岐うどんとして販売している店。香川県で生産されるうどんの総量よりも「讃岐うどん」は多いとも言われる所以でもある。そばも併売されることが多い。

[編集] 小売

玉売り
茹で上げ水締めしたうどん玉のみを販売する形態。製麺所や店鋪店頭で蒸篭から取り分け販売されるほかに、1玉ごとに袋詰めにして、スーパーマーケットなどでも販売されており、食べる前にさっと湯通しする(湯掻く)。
冷凍うどん
凍った状態の物を熱湯に入れて指定された時間茹でて、水で締めて利用する。近年改良が進んで飛躍的に食感が向上し、また水で締めてから時間が経った玉売りよりも食味がよいため、人気が出ている。いったん冷凍してから解凍するときに弾力が低下するのを防ぐために、弾力の強いタピオカ澱粉が使用されているが、このために同じ重さの生うどんよりもカロリーが高い。
生、半生
茹でる前の、生地を伸ばして切った状態で販売されるもの。水分量を調節するなどして乾麺に近い状態にし、常温である程度の保存が可能なものもあり、半生と呼ばれる。指定された時間茹で、水で締めて利用する。よく贈答品として販売されている。

[編集] 食べ方

以下に、讃岐うどんの代表的な食べ方を列記する。

かけうどんと各種具材
かけうどんと各種具材
かけうどん
温かい出汁をかけたうどんをかけと呼ぶ。最も一般的な食べ方であり、具材を載せない場合はすうどん(素うどん)とも呼ぶ。具材を載せる場合は、海老ちくわイカゲソタコ天ぷらかき揚げ、揚げ餅、、甘辛く煮た油揚げ牛肉、天かす、じゃこ天など魚肉を使った練り物の天ぷら、生卵、稀にコロッケなどを載せる。薬味としてはネギショウガ胡麻七味唐辛子鰹節などを加える。特徴的な具材としては、半熟卵の天ぷらがあげられるだろう。また蛸の天ぷらは味付きの厚い衣が付いた独特のものであり、冷めていても美味しく食べられる。
ざるうどん
普及度ではかけうどんに次ぐ食べ方。茹で上がったうどんを水で締めた後、そのままザルやせいろに上げ供する。食べ方は箸でうどんを一口ほどをとり、別添えの小鉢や茶碗などの小容器に前もって作り注いでおいた、濃い目のつけ用の出汁に浸してから食べる。薬味としてはかけうどんと同様、刻みねぎ、おろし生姜、擂り胡麻胡麻、擂り山葵などを使う。高松市内において、その元祖は高松市大工町の川福本店とするのが通例である。
釜揚げ(かまあげ)うどん
から茹でがったばかりの麺を、茹で汁と共に供しつけ汁で食べる。水で締めないため独特の食感とぬめりを持つ。飲食店の場合は注文を受けてから麺を茹でるため調理に時間を要する。伸びやすいので速やかに食べねばならない。
県外では釜揚げと湯だめは区別されない場合もあるが、香川県では明確に区別される。香川県で一旦玉取りをしたものを釜揚げと称して出すと「偽物」になる。特に釜揚げと湯だめで値段が違う場合、詐欺行為とも考えられるが、実際ここまで厳格に監視されていない。しかし、そのような店は自然淘汰される厳しさが香川県にはある。
故に、製麺所やセルフ店では、釜上げを出さない、または出せない店もある。
時間帯により、釜上げを注文しても断られる場合もある。うどん玉の在庫が十分にあり、釜に麺を入れられない(入れると過剰なうどん玉を抱え、古いものを処分しなければならなくなる)状態の場合である。もちろん、注文分だけを釜に入れて提供する店も存在する。
湯だめうどん
茹であげて一度水で締めた麺を再度湯で温め、ためたまま供し温かいつけ汁で食べる。釜揚げとは見た目は似ているが食味が異なるため、別のうどんとしてメニューに記載される。釜揚げよりも調理は早い。供されてからも麺が冷めにくく、冬場にうどんをつけ汁で食べる場合に好まれる。
釜揚げで述べた理由のため、釜揚げはないが、湯だめはある店も多い。
ぶっかけうどんとおでん
ぶっかけうどんとおでん
ぶっかけうどん
つけ汁をぶっかけ、多くは夏場に冷やして食べる。出汁はたまり醤油を元にし、いりこ、昆布、味醂、椎茸等を使用する。具材はかけと同様か、涼味を求めて大根おろしレモンスダチの絞り汁を加える場合もある。ちなみに発祥の店は善通寺市与北町の山下といわれている。しかし岡山県倉敷市の「ふるいち」が自ら発祥を称しており、讃岐の食べ方としては異端に属するという考え方もある。一般に「ふるいち」他の店鋪では前もって出汁を店鋪側で「ぶっかけ」て出していたのに対し、高松市今里町一丁目の大円(だいえん)は「出汁」と「うどん」とを分けて出し、客自身が出汁を客の好みに「ぶっかけ」て出汁の量を調節できるという、新たな形での「ぶっかけ」を考案している。
あたたかいぶっかけうどんも存在する。釜上げうどんにだしをぶっかけて食べる「釜ぶっかけ」は、高松市牟礼町のうどん本陣山田家の登録商標であるが、他店でも「ぶっかけ(温)」として、釜上げ状態のぶっかけが提供される場合もある。
釜あげと玉取りをした後の麺との違いは、釜揚げと湯だめほど、厳格には区別されない。しかし、各々食感には違いがあり、好みも分かれる。
しっぽくうどん
主に香川県東部(東讃)で好まれる伝統的な食べ方。かけうどんの亜流と取ることもできるが、かけ出汁に大きな特徴があり、香川県東部独特のうどんとも言える。主に大根人参牛蒡などの根菜類と、などの肉類を甘く煮た出汁を用いる。店によっては油揚げなど独自の材料を入れる場合がある。これを出汁の原材料を入れたままでうどんにかけて食べる。根菜類に起因する独特の香りが好き嫌いを大きく分ける要因となっているが、地元民など愛好者からはその癖がかえって好まれている。店によっては、そのまま「しっぽくうどん」で注文できる店もある。原材料の旬の関係から、大抵は冬季限定メニューとする店が多い。
生醤油うどん
生醤油うどん
生醤油(きじょうゆ)うどん
茹でて水で締めたうどん玉に、少量の醤油をかけてそのまま食べる食べ方。汁気や具が少ない分、麺そのものの味を楽しめる。薬味はねぎや大根おろし、すだちレモンなど。店鋪としての発祥はまんのう町の小縣屋(おがたや)と言われる。小縣屋は生醤油うどんを「しょうゆうどん」の名で登録商標としているが、実際にはこの名称は他の店舗でも使われることが多い。

元来は、農作業の合間の食事として、さっと醤油をかけて食べたことが由来と考えられている。

使われる醤油は、店により様々であり、一般的な濃口醤油を使う店もあれば、だし醤油を使う店もある。醤油をだし同様、昆布などを加えて煮たものを使う店もある。味の深みを出すため、調味料(味の素など)を添える店もある。初めて食べるときに、醤油をかけすぎ、辛くて食べられなくなるミスが後を絶たないので注意が必要である。
釜玉ゲソ天乗せ(山越)
釜玉ゲソ天乗せ(山越)
釜玉(かまたま)うどん
釜揚げ卵うどんが正式名称。綾歌郡内のうどん店(山越)を発祥とする食べ方。製麺所「山越」の近くにある役場の職員が、昼にうどんを食べに来る際に自分で生卵を持ってきて絡めて食べたのが始まりであるという。釜から揚げて湯を切った熱い麺に生卵を割り入れて薬味を加え、生醤油もしくはダシ醤油を垂らし、かき混ぜる。ぬめりの残る麺にその熱で半熟となった卵がからみ、独特の食味を持つ。セルフうどん店のメニューにも登場するなど、近年各地に広まりつつある。
名前の通り、本来は釜からあげたままの、「釜揚げうどん」と卵を絡めるものである。一部店舗では一旦玉取りしたものを湯通しし、卵を絡めて釜玉として出す場合があるが、この場合卵が半熟状にならず、限りなく生にちかい卵が絡んでいる状態になってしまい、釜揚げを使ったものとは食感が大きく異なってしまう。

[編集] 讃岐うどんに関する知識

讃岐うどんは中央から遠く、海を隔てた土地で発達したが、同時に全国にも「うどん」があったため、その特異性・特徴がその名ほどには知られていない。

[編集] 伝承・いわれ

香川県における伝承では、善通寺を故郷とする弘法大師からもたらしたとされ、このエピソードがWEBページやうどん屋の内装、広告などに挿入されることが多い。

現在、香川県にはさぬき市があるが、この市は2002年に合併によって誕生した比較的新しい市である。市の大部分はかつて大川郡と呼ばれており、また香川県の中でも比較的うどん屋の少ない東讃地域にあった。そこに「さぬき」という旧国名がひらがな地名に採用されたのには、旧国名の讃岐よりはうどんの「さぬき」というブランドに肖る意図が大きかったと考えられる。市名候補「さぬき」は住民アンケートでは「大川」「東讃」に次いで3位であった[1]

香川県民はしばしば自らのうどん好きを評して「香川県民は一人あたり年間○○玉のうどんを食し、日本一うどんを食べるのだ」と語ることを好むが、その数字は100玉程度から300玉を超えるようなものまで様々であり、根拠がはっきりしない。これは「うどんの玉の数」という信頼のおける統計がないためである。たとえば、総務省統計局の家計調査[2]では、「うどん・そば」と一括りにされている。また小麦(粉)の消費量などから類推した数字が使われることもあるが、どれだけの割合の小麦がうどんに使われるのか、うどんに加工されてもそのうちどれだけが県内で消費されるのか、などのデータを欠く。何より、統計における数字はトン数または金額で表されるのに、それを基本的に目分量であり店によって量が倍ほども違う「うどん玉」の数に換算することは難しい。

「香川県のうどん屋の数は○○軒もある」ということもよく語られる。株式会社あわわより刊行されている「うどん屋全店制覇攻略本」シリーズでは毎年800軒前後が掲載される。うどん屋またはうどんを生産していると思しき箇所として、県では1100軒程度(2005年度)を把握しているようである[3]

県では県下のうどん店に、うどん店排水処理対策マニュアル[4]などの配布を行い、環境対策を行っている。うどん屋は零細であるため排水規制がかからず、栄養に富むうどんの茹で汁が浄化装置も通さず露天の水路に放水されることが多いためである。

[編集] コシについて

讃岐うどんはよく「コシが強い」と表現される。また大阪のモチモチしたうどんに比して讃岐うどんはシコシコしている、とも言われるが、この擬態表現もコシが強いという以上の意味を持たない。コシという言葉はそれを使う人によって、堅さであったり、弾力であったり、粘度であったりし、食味を語る上でコシという言葉は共有された定義の下で使われていないのが現状である。ワインの味を表現する言葉にもコシが出てくる昨今、コシはただ旨さの感嘆詞であると見るのが適当であろう。

香川大学農学部には、うどんのコシについての研究をしている研究室があるが、その研究においても「咀嚼中の総合的な食感」というテクスチャーをもってコシというほかなく、その主観的な好悪を客観的で一次元的な強弱に落とし込むことは今後も出来そうにない。

ただし、讃岐うどんがほぼ麺の食感のみによって美味い不味いを評価されるということは、讃岐うどんにおける共通認識であろうと思われる。だし(つゆ)の味や具の味、環境なども店を特徴付けることはあるが、それは麺の美味さ(すなわち食感=テクスチャー=コシ)に付随する、二次的な評価に過ぎないことが多い。讃岐うどんにおいては、麺の評価がそれ以外の要素の評価よりも明らかに上位に位置しているのである。これは、つゆ、麺、具の調和によりひとつの「料理」として評価される大阪や京都のうどんとは対照を成している。

もう一つ、讃岐うどんのコシを語るにあたって忘れてはならないのが、それが「時間とともに急速に失われていくものである」ということである。讃岐うどんの美味さ・コシは、茹でて水で締めたその瞬間に最大となり、秒分単位で失われていく。一時間も経ったものはうどんの「死体」などと表現され、店で食べる讃岐うどんの当たり外れは、店に入るタイミングが全て、とも言われる所以となっている。讃岐うどんには時間とともに出現するような類の美味さは存在しない。これは「つゆとなじませ、よりつゆを吸いやすくするために、しばらく置いておく」などということが普通に行われる大阪や京都のうどんとの明確な違いの一つである。

[編集] だし(つゆ)について

讃岐うどんでは、調味されたうどんのかけ汁をつゆとは呼ばずにだしと呼ぶ。

讃岐うどんとは麺であるから、近年では醤油を少しかけただけで賞味されることも多いが、伝統的にはだしをかけた「かけ」などで供される。讃岐うどんのだしの多くはいりこ出汁で作られる。

いりこの出汁は、一般的な日本料理の料理法では、煮物味噌汁などには用いられるが、うどんつゆなどには用いられない。これはいりこは濃厚な反面、青魚独特の臭みを持つためで、本来二番出汁相当の使われ方をするものだからである。うどんつゆのような「表の味」には通常、鰹節昆布によって調製される繊細な一番出汁が用いられることが多い。

歴史的に見れば瀬戸内海近海で入手しやすかったことから、この地域でいりこがよく使われているのであるが、いりこの濃厚な出汁が讃岐うどんの主張の強い麺と豊富な食べ方のバリエーションを下支えしていることは否めないであろう。繊細な鰹の一番出汁では、讃岐うどんの「強さ」に負けてしまうのである。一番出汁に合わせるために、逆にうどんの力を弱めて、一品料理としての完成度を求めたのが大阪・京都のうどんであるとも言える。

種物や、時には麺つゆをたっぷりつけることさえ無粋とされることがある蕎麦とは対照的に、様々な天ぷらが好んで乗せられ、時にはコロッケまで崩し入れられるような讃岐うどん文化には、いりこだしが欠かせない。トッピングとして花かつおをたっぷり乗せてもなお、いりこだしはいりこだしのままである。

かけうどんの薬味として七味唐辛子のほかにショウガがよく使われるのも讃岐うどんの特徴であるが、これもまたいりこだしゆえに可能なものである。鰹と昆布の出汁にショウガなど加えると風味が台無しになってしまうが(出汁が自慢の店では山椒の痺れる香りを嫌って七味さえ使わせず、一味唐辛子しか置かないこともある)、いりこだしにショウガを加えてもその旨味は揺らがないばかりか、臭みが消え、爽やかな風味がうどんの食感をより引き立てる。

香川ではいりこだけでなく、他の地域に比べるとうま味調味料が忌憚なく使われる傾向にある。また他の地域では極めて珍しいことだが、香川では店の食卓調味料として味の素が置かれていることも多い。出来立てのうどんに味の素をパッと振って醤油をチャッとかけてすすり込むのはポピュラーな食べ方であるし、もっと簡易なだし醤油などもよく使われている。どこまでも強い麺が、だしや味付けを決して繊弱なものにしなかった、これは讃岐うどん独自の文化・哲学であると言えよう。

うどん目当ての県外観光客が増えるに従い、いりこだしの臭みを嫌って鰹だしの讃岐うどんを供する店も最近は増えている。

[編集] 「ひやあつ」について

琴平町のうどん店「宮武(みやたけ)」を発祥とした親戚、暖簾分け、師弟関係にあたる店(「宮武」、まんのう町の「山内」、高松市の「あたりや」など)では、かけうどんの注文時に出汁と麺の温冷の組み合わせを選ぶことができ、それぞれ「あつあつ」「あつひや」「ひやあつ」「ひやひや」(「麺、だし」の順)と注文する。これを紹介した『恐るべきさぬきうどん』の影響か、この注文方法は有名になったが、実際にこの注文方法が行われているのは前述の宮武系うどん店とその影響を受けている一部うどん店に過ぎない。大多数のうどん店舗ではこのような注文方法は行われていなかったが、「冷たい/温かいだし」や「冷たい/温かい麺」を用意している店舗はいくつか存在し、また前述の本の影響で、「ひやあつ」などが通じる店舗も増えてきている。

[編集] 「釜玉」について

釜玉うどんは、全国区でそれを売りとしてチェーン展開している店舗もあって有名になった。釜玉は一種のマーケティングに成功したブランドであると言える。

[編集] 表記

看板、暖簾では、讃岐うどんはひらがなで太々と「さぬき」うどんと表記されることが多い。

[編集] 小麦粉

香川県産のうどんの原料となる小麦粉は多くがオーストラリア産であり、日本のうどん用に最適化して開発された品種『Australian Standard White』(略称ASW)を製粉した麺用中力粉が用いられることが多い。

2000年代に入り、讃岐うどん用小麦として香川県が新品種『さぬきの夢2000』を開発したが、生産量が圧倒的に少ないことや、製麺の難しさ、また2004年に起こった県農協による不正表示問題(『さぬきの夢2000』100パーセント使用と銘打ちながら実際には主に海外産小麦を使用していた)によるブランドイメージの低迷、などにより、広く普及するまでには至っていない。

[編集] おでん・おにぎり

香川県の一般店・セルフサービス店の多くで、おでん、おにぎり、いなり寿司、ばら寿司(ちらし寿司)などが併売されている。これらは一般店でもセルフサービスのことが多い。店に入ってすぐにこれらを取り、うどんが出てくるまでの間にも食する。

おでんはガス式や電気式保温器で、いくぶん濃い(黒い)つゆで煮込まれているものを、客自ら皿に取って、茶色く甘い味噌ダレや黄色い辛子味噌を添える。おにぎりやいなり寿司はガラス製の棚からやはり客が好きなように取る。勘定はセルフ店ではうどんと同時に、一般店では、うどんを持ってきたときに店員に申告し伝票に書き込んでもらうか、会計時に自己申告する。

このようなセルフのおでん・おにぎりも、セルフうどん店とともに県外に紹介されていった。それまでは、うどん屋にはおでんがあるもの、という香川県の常識が県外へは浸透しなかった。

[編集] その他のうどんメニュー

以下は主に一般店のメニューである。

  • かやくうどん
    一般店では、かけうどんがなく、かやくうどんがもっとも安いうどんとなる場合もある。かけうどんを基本とし、かまぼこ天かすなどをかやくを乗せたもの。
    かやくご飯がセットになっているわけではない。しかし、かやくご飯セットなどとして、うどんとかやくご飯をセットにしたメニューを提供する店も存在する。かやくご飯は一般的な炊き込みご飯と変わらないが、ここでもうどんだしもしくはその過程で出るだしを使うため、独特の風味を持つものが多い。
  • わかめうどん
    かけうどんにわかめをトッピングしたもの。だしにわかめ風味が加わり、だしの味が多少変わる。
  • 釜天・天ざる
    釜あげうどん・ざるうどんにに天ぷらの盛り合わせをセットしたもの。天つゆが添えられない店では、うどんつゆを天つゆ代わりに使う。

[編集] 関連項目

[編集] 外部リンク

他の言語

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