伊号第三〇潜水艦
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伊号第三〇潜水艦は大日本帝国海軍の伊一五型潜水艦10番艦で、呉の海軍工廠で建造された。1942年(昭和17年)2月28日竣工。
[編集] 概要
第一次遣独潜水艦として有名。竣工後はインド洋の偵察を行い、魚雷の設計図や零式水偵、鉱物資源を積んで枢軸国の友邦であるドイツへ出航した。機関の故障や進水波浪に悩まされ、8月2日にはイギリス軍の偵察機に爆撃を受けた。なんとか危機を乗り切り8月6日にフランス大西洋岸のロリアン港(当時ドイツの占領下)に到着した。
8月22日にロリアン出航。ウルツブルク射撃管制レーダー、魚雷発射誘導装置、潜水方位盤、エニグマ暗号機50台、イギリスの軍用暗号解読機を搭載して帰途に就く。海軍兵備局の命令により予定を変更して10月13日にシンガポールに入港、エニグマ暗号機10台を陸揚げし出航するも港内にて機雷に触れ沈没、13人の死者を出した。
1944年4月15日に除籍された。1959年に艦体が引き上げられ設計図なども有効に活用された。しかし、本艦が再び任務に就くことはなく解体処分された。
[編集] 関連項目
[編集] 文献
- 新延明/佐藤仁志(著)、『消えた潜水艦イ52』、NHK出版、1997年、ISBN 414-080307-X