佐々木幹郎
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佐々木幹郎(ささき みきろう、1947年-)は、日本の詩人。奈良県で生まれ大阪府南河内郡で育つ。美陵町立(現・藤井寺市立)藤井寺小学校、大阪市立阪南中学校、大阪府立大手前高校を経て、同志社大学文学部哲学科中退。
1967年、大手前高校卒業。高校時代は大手前高校社研(社会科学研究会)に所属し、当時から詩作に励んでいた。羽田闘争で死亡した山崎博昭とは同期である。1970年、その死を追悼した第一詩集『死者の鞭』で詩壇にデビュー。大学時代は「同志社詩人」に所属。以後、清水昶、藤井貞和、鈴村和成らと同人誌「白鯨」(1972年~75年)を創刊。
1976年、中原中也と小林秀雄の恋人であった長谷川泰子を主演にした映画「眠れ蜜」(監督・岩佐寿弥、撮影・田村正毅、脚本・佐々木幹郎)を独立プロダクション「シネマ・ネサンス」で製作。
1984年、ミシガン州立オークランド大学客員詩人。1988年以降、ヒマラヤ山岳部を旅することが多く、日本文学をネパールに紹介する「ヒマラヤ文庫」を日本とネパールの詩人とで創設。チベット、上海など、アジアの都市の比較文化論、紀行論も多い。
『新編中原中也全集』(2000年~2004年)の責任編集委員。中原中也研究の第一人者として知られている。
写真の腕前はプロ級。日本において詩だけで自立している数少ない存在。
[編集] 受賞歴
- 1988年 評論『中原中也』(筑摩書房)で第10回サントリー学芸賞
- 1990年 脚本『OROCHI』(NHKテレビ音楽番組)でプラハ国際テレビ祭特別賞
- 1992年 詩集『蜂蜜採り』(書肆山田)で第22回高見順賞
- 2002年 随筆『アジア海道紀行―海は都市である』(みすず書房)で第54回読売文学賞・随筆紀行賞
[編集] 主要著作
- 【詩集】
- 1970年 『死者の鞭』(構造社、復刻版国文社1976年)
- 1973年 『水中火災』(国文社)
- 1978年 『百年戦争』(河出書房新社)
- 1979年 『気狂いフルート』(思潮社)
- 1982年 『佐々木幹郎詩集』(思潮社・現代詩文庫)
- 1984年 『音みな光り』(思潮社)
- 1986年 『風の生活』(書肆山田)
- 1988年 『Demented Flute Selected Poems 1967-1986』(Katydid Books,Michigan)
- 1991年 『蜂蜜採り』(書肆山田 高見順賞)
- 1996年 『続・佐々木幹郎詩集』(思潮社・現代詩文庫)
- 2002年 『砂から』(書肆山田)
- 2004年 『悲歌が生まれるまで』(思潮社)
- 【評論・エッセイ集】
- 1977年 『熱と理由』(国文社)
- 1978年 『溶ける破片』(国文社)
- 1986年 『詩人の老いかた』(五柳書院)
- 1988年 『中原中也』(筑摩書房・近代日本詩人選 サントリー学芸賞)
- 1989年 『河内望郷歌』(五柳書院)
- 1990年 『地球観光―深川・ミシガン・ネパール』(五柳書院)
- 1993年 『カトマンズ・デイ・ドリーム』(五柳書院)
- 1993年 『都市の誘惑―東京と大阪』(TBSブリタニカ)
- 2001年 『自転車乗りの夢―現代詩の20世紀』(五柳書院)
- 2001年 『すみとも風土記―銅が来た道』(NTT出版)
- 2002年 『アジア海道紀行―海は都市である』(みすず書房 読売文学賞)
- 2003年 『やわらかく、壊れる―都市の滅び方について』(みすず書房)
- 2003年 『パステルナークの白い家』(書肆山田・りぶるどるしおる)
- 2005年 『中原中也 悲しみからはじまる』(みすず書房・理想の教室)
- 【共著】
- 1988年 『天使の羅衣(ネグリジェ)』(岡井隆、思潮社・組詩)
- 1990年 『「かたり」の地形―大阪詩の原風景』(富岡多恵子、作品社・「現在」との対話)
- 1997年 『口承文学Ⅰ』(岩波書店・岩波講座「日本文学史」第16巻)
- 1997年 『生者と死者のほとり―阪神大震災・記憶のための試み』(人文書院)
- 1999年 『詩歌と芸能の身体感覚』(岩波書店・「短歌と日本人」第4巻)
- 2002年 『経験を盗め』(中央公論新社)
- 2006年 『夢みる身体』(岩波書店・「身体をめぐるレッスン」第1巻)
- 【編著】
- 1997年 『中原中也詩集 山羊の歌』(角川書店・角川文庫クラシックス)
- 1997年 『中原中也詩集 在りし日の歌』(角川書店・角川文庫クラシックス)
- 2000~04年 『新編中原中也全集』全5巻・別巻1(角川書店)
- 【監修】
- 2007年 『中原中也 魂の詩人』(平凡社・「別冊太陽」日本のこころ№146)