信貴山縁起
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信貴山縁起(しぎさんえんぎ)は、平安時代末期の絵巻物で、2006年現在、日本の国宝に指定されている。『源氏物語絵巻』、『鳥獣人物戯画』、『伴大納言絵詞』と並ぶ四大絵巻物の1つと称される。朝護孫子寺が所蔵(原本は奈良国立博物館に寄託されており、霊宝館では複製を展示)。「信貴山縁起絵巻」とも称する。後述のごとく、表題は寺社縁起絵に属するものであるが、内容は高僧伝絵の範疇に入る。
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[編集] 成立
この絵巻の成立は、平安時代後期の12世紀頃とされ、『伴大納言絵詞』や『源氏物語絵巻』と同様に、後白河法皇が関与した、という説もある。内容は、概要で述べるごとく、信貴山の中興である命蓮を主人公とした霊験譚である。延喜加持の巻で、醍醐天皇の病気を命蓮の加持祈祷の法力で治したという話が語られるが、ほぼ一致する説話が『宇治拾遺物語』、『今昔物語』にも収められている。また、『扶桑略記』にも同様の記事が見える。
[編集] 概要
通常の寺社縁起のごとく、開山の縁起を記したものではなく、平安時代中期に信貴山で修行して当山の中興の祖とされる命蓮に関する説話を描く。山崎長者の巻、延喜加持の巻、尼公の巻の3巻からなる絵巻で、作者は不明ながら、人物の表情や躍動感を軽妙な筆致で描いた絵巻の一大傑作であり、『鳥獣人物戯画』とともに、日本の漫画文化のルーツとされる。
- 山崎長者の巻(飛倉の巻): 31.7cm×879.9cm
- 命蓮が神通力を行使して、山崎の長者のもとに托鉢に使用する鉢を飛ばし、その鉢に校倉造りの倉を乗せて飛ばし、信貴山に居る命蓮の所まで持って来る。長者が中に収められていた米俵だけでも返してくれと訴えたので、今度は、鉢に乗せた米俵を先頭にし、米俵を数珠繋ぎにして飛ばし、長者のもとまで飛ばす。
- 延喜加持の巻: 31.7cm×1290.8cm
- 尼公(あまぎみ)の巻: 31.7cm×1424.1cm
- 命蓮の生国である信濃国から姉の尼公が、はるばる信貴山まで命蓮を訪ねてやって来る。東大寺の大仏前で祈りかつまどろむ尼公のさまを描いた部分が、異時同図法を用いた圧巻として知られる。巻末では、飛倉の巻で登場した倉の朽ち果てたさまが描かれ、それによって主人公である命蓮の臨終を暗示して終わる。
[編集] 関連項目
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