八切止夫
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八切 止夫(やぎり とめお、1914年12月22日 - 1987年4月28日)は、歴史小説家。日本大学専門部文学科卒業。日本大学講師、明治大学助教授を経て、昭和39年(1964年)に発表した短編『寸法武者』が第3回小説現代新人賞を受賞し文筆生活に入る。
本名は矢留 節夫(やどめ せつお)。戦前は耶止説夫他の筆名で活躍した。「上杉謙信は女性であった」「織田信長暗殺は明智光秀ではない」など、歴史学の常識に大胆な疑問符を投げかける奇抜な歴史書を数多く出版したことで知られる。その論説は揶揄的に「八切史観」と呼ばれ、アカデミズムの歴史学界からは黙殺されているが、最盛期には大手出版社から年間20冊以上のベストセラーを生み出すなど多数の読者を獲得していた。後に大手出版社からの発表が困難になると、自ら日本シェル出版を立ち上げ著作の発表を続けた。八切作品に対する一般的な評価は「歴史書というよりも、知的娯楽性に富んだ歴史フィクション」というものであるが、作家の井沢元彦のように八切を絶賛している論者もいる。
終戦時、親交のあった関東軍将校と共に自決を図ったが、相手の将校が怯んだために未遂に終わった。「八切止夫」の筆名はこの経験によるもので、「腹切(=ハラ(チ)キリ)を止めた男(=止夫)」という意味であるという。
『サンカ民俗学』『サンカの歴史』などを著し山窩研究家としても知られるが、その論説の多くが他の研究者の著作からの剽窃ではないかと指摘する声もある。
[編集] 参考文献
- 『検証・八切止夫: 異端の歴史家・八切止夫を解剖する (『歴史民俗学』 21号)』 ISBN 4826503520