公式
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数学において公式(こうしき)とは、数式で表される定理のことである。転じて俗に、「問題を簡単に解決することができる魔法のようなもの」というような意味で用いられることがある(同様な意味で「方程式」という言葉が用いられることも多い)。
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[編集] 例
- 展開・因数分解公式:
- (a + b)2 = a2 + 2ab + b2
- (a + b)(a - b) = a2 - b2
- an - 1 = (a - 1)(an-1 + an-2 + … + a + 1)
- 二次方程式 ax2 + bx + c = 0 の根の公式:
- ピタゴラスの定理:
- c2 = a2 + b2.
- a, b, c は直角三角形の三辺の長さ。ただし c を斜辺とする。
- オイラーの公式: eiθ = cosθ + isinθ.
- スターリングの公式
- ただし、n は自然数で、n! は n の階乗を表す。
- 三角関数の加法定理(加法公式)
- sin(α+β) = sin α cos β + cos α sin β
- sin(α-β) = sin α cos β - cos α sin β
- cos(α+β) = cos α cos β - sin α sin β
- cos(α-β) = cos α cos β + sin α sin β
- tan(α+β) = (tan α + tan β) / (1 - tan α tan β)
- tan(α-β) = (tan α - tan β) / (1 + tan α tan β)
[編集] 道具としての公式
公式は定理であるから、一度その式が成り立つことを(場合によっては変数に制限を加えて)証明すれば、次に同じ問題に遭遇したときには式に現れる変数に、その状況に応じた値を代入するだけで答えが求まるため、計算や考察の手間を省くことができる。
しかし当然のことだが、公式を適用できる場面でなければ公式は何の力も発揮してくれない。そして、公式が適用可能かそうでないかの鍵は、その公式の証明の内容が握っているのである。
[編集] 暗記学習
初等教育においては、公式を知っていれば直ちに解答を得るような問題に、基礎演習として触れる機会が少なくない。
そのため、「数学とは公式の暗記である」と捉えてしまうものが少なからず存在する。しかし、このような捉え方をしてしまうと、丸暗記のみに専念することで、柔軟な発想ができなくなる、公式を知らないから解けないと投げ出してしまう、などのデメリットが考えられる。
尤も、これが公式の存在によるデメリットか、丸暗記という学習態度によるそれなのかは定かではないし、意見も分かれるところであろう。少なくとも、公式が定理であること、数学が論理の学であることなどを踏まえれば、「公式が現れる "理屈" に一度はきちんと触れておく」というようなことは望ましいことであると考えられる。
[編集] 公式集
有用な公式を多数集めた公式集と呼ばれる本が市販されている。そのような本に載っている公式の数は膨大であり、かつそれぞれの形も複雑である。
では、数学者はみなそのように膨大な量の公式を覚えているのだろうかといえば、そんなことはない。