公衆送信権
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公衆送信権(こうしゅうそうしんけん)は、著作権の一部で、公衆によって直接受信されることを目的として著作物の送信を行うことができる権利である。
日本の著作権法において、公衆送信権は、放送権・有線放送権・送信可能化権から構成される。
このうち送信可能化権とは、インターネットなどで著作物を自動的に公衆に送信し得る状態に置く権利であり、平成9年の著作権法改正の際に導入された。 なお先進国で送信可能化権を認めているのは日本とオーストラリアのみである(2004年現在)。
日本においては、インターネット上での著作権侵害(または、公衆送信権侵害)といえば、この送信可能化権の侵害を指す(例:ホームページ上や動画共有サイトでのテレビ番組の権利者に対する無断アップロードなど)。
[編集] 送信可能化権侵害事件の例
- 1999年6月1日 他人のウェブサイト上に、ビジネスソフトをアップロードした疑いで、宮城県警は東京都世田谷区の高校生(16才)を摘発した。
- 1999年8月19日 自宅のサーバー上に、パソコンソフトや音楽データをアップロードした疑いで、秋田県警は秋田県矢島町の公務員男性(39才)を書類送検した。
- 1999年11月17日 ウェブサイト上に、ビジネスソフトなどをアップロードした疑いで、北海道警は北海道美幌町の会社員男性(32才)を書類送検した。
- 1999年11月25日 ウェブサイト上に、ゲーム機用ソフトなどをアップロードした疑いで、北海道警は札幌市の男子大学生(21才)を書類送検した。
- 2000年7月4日 「ファミコン決死隊」を名乗り、ウェブサイト上に任天堂のゲームソフトなどをアップロードした疑いで、長野県警は主催者ほか4人を逮捕した。逮捕されたのは、主催者である宮城県多賀城市の会社員男性(27才)、その会員である東京都世田谷区の都内大手プロバイダー派遣社員男性(34才)、同じく大阪府守口市の無職少年(17才)、その友人である秋田県大館市のコンビニエンスストア店員の男性(21才)。
- 2001年11月28日 WinMXを使い、Adobe社のビジネスソフトなどを共有した疑いで、京都府警は男性2人を逮捕した。逮捕されたのは、東京都杉並区の大学生(19才)と埼玉県さいたま市の専門学校生(20才)。
- 2003年4月10日 オンラインストレージサービス上に、音楽データをアップロードして配信した疑いで、京都府警は東京都新宿区在住の男性(18才)を逮捕した。
- 2003年11月27日 Winnyを使い、ゲームソフトや映像ソフトを共有した疑いで、京都府警は男性2人を逮捕した。合わせて Winny 作者宅を家宅捜索した。逮捕されたのは、愛媛県松山市の無職男性(19才)と群馬県高崎市の風俗店店員(41才)。
- 2004年5月10日 この事件の共犯として、Winnyを製作した東京都文京区の大学助手(34才)を幇助の容疑で逮捕した。
- 2004年5月18日 自身のウェブサイト上に、発売前の物も含めゲームの画面の静止画像をWebサイトに大量に掲載しダウンロードできる状態にした疑いで、福岡県警はこのウェブサイトを運営していた東京都墨田区の会社員(26才)を逮捕した。
- 2006年7月4日、福岡県警は、レンタルビデオ店のDVDをコピーするなど権利者に無断で複製した映画などの映像コンテンツを、自らが運営するWebサイトの有料会員に閲覧させていた、岐阜県各務原市の自営業男性(41)を逮捕した。