動物解放戦線
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動物解放戦線(どうぶつかいほうせんせん ALF;Animal Liberation Front)とは、動物の権利を提唱する過激派組織。アルフ(ALF)ともいう。
1963年にイギリスで結成された狩猟妨害協会(HSA;Hunt Saboteurs Association)に由来する活動団体。 1973年にロニー・リーが始めたハンターの車両に対する放火活動「慈悲の連帯」(Bands of Mercy)が毛皮専門店や研究機関への襲撃などへ発展し、1976年にイギリスで動物解放戦線として発足した。 動物の権利確保を目的とし、非合法活動を行うことも辞さない団体である。
動物解放戦線が関与していると考えられる非合法活動の例として、食肉・鮮魚店、食肉処理場、毛皮専門店、サーカス、動物園、牧場、畜産場、大学、製薬会社等の施設への放火、爆破、窃盗、略奪等の破壊活動及びそれら施設の従業員とその家族、近隣住民への脅迫、中傷、暴行、傷害などがあげられる。
公式には人間を含む動物に対する殺傷行為を否定しているが、実際には動物解放戦線による誘拐、暴行、傷害事件が発生しており、付近で起こった破壊活動に巻き込まれる者も多い。
企業の施設とその従業員、株主、取引先、近隣住民への攻撃により採算ラインを越える警備コストをかけさせることを目的とした経済テロを標榜している。
思想的同調者が動物解放戦線を名乗ることを制限しておらず、直接的な指揮命令系統も存在しないため組織の実態は不明確であるが、主に北ヨーロッパとアメリカで活動している。
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[編集] 他の組織との関係
動物解放戦線はイギリスとアメリカではテロ組織として認定されている。 類似のテロ活動を行う団体には地球解放戦線(ELF;Earth Liberation Front)、ストップ・ハンティンドン・アニマル・クルエルティ(SHAC;Stop Huntingdon Animal Cruelty)などが存在し、連携あるいは同じ者が声明を使い分けていると目されている。
世界最大規模の動物の権利擁護団体である動物の倫理的扱いを求める人々の会(PETA;People for the Ethical Treatment of Animals)は動物解放戦線との一切の関与を否定しているものの、同団体が動物解放戦線の資金源となっているとする指摘がなされている。[1]合法的な活動を行う支持者・団体も存在するため、実行犯の特定が難しく、各国の捜査は難航している。
[編集] 主な事件
- 2006年6月30日 ロスコマレロード住宅放火未遂事件(アメリカ)
- カリフォルニア州ロスコマレロードの住宅で焼夷爆弾が発見された。付近に動物解放戦線から脅迫を受けていた大学教授の家があり、誤って標的にされたと見られる。
- 2003年9月26日 シャクリー社爆破事件(アメリカ)
- カリフォルニア州プレザントンの製薬会社シャクリー社(Shaklee corporation)の事務所でパイプ爆弾が爆発。動物解放戦線が犯行声明を出した。
- 2003年8月28日 キロン社爆破事件(アメリカ)
- カリフォルニア州エメリービルの製薬会社キロン社(Chiron corporation)でパイプ爆弾が爆発。動物解放戦線が犯行声明を出した。
- 2003年8月22日 サンガブリエルバレーSUV放火事件(アメリカ)
- 2001年5月21日 ワシントン大学放火事件(アメリカ)
- 1999年10月28日 グラハム・ホール誘拐事件(イギリス)
- テレビ局チャンネル4のディレクターグラハム・ホール(Graham Hall)が動物解放戦線に誘拐、拷問され背中に「ALF」の焼印をつけれらた。