募金詐欺
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募金詐欺(ぼきんさぎ)とは、詐欺の一形態。
ボランティアやチャリティー活動と称して街頭募金活動をする、戸別訪問して募金を募る、あるいはホームページを開設したり電子メールや葉書を送付して、ありもしない話をでっち上げたり、実在する有名な話題(天災など)に便乗したりして金品を詐取する行為。
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[編集] 街頭募金詐欺
街頭募金詐欺は、あたかも実在するようなボランティア団体を名乗り、主に東京都内、およびその周辺で活動している。2003年、『報道特捜プロジェクト』(日本テレビ系)で国際人文交流協会(代表:原田直二)や「NPO法人緊急支援グループ」、日本ボランティア会(=緑の党=荒野座)などといった団体が報道され、多くの国民が注目した。架空の団体のみならず、日本赤十字社や共同募金、地方自治体などの名を騙ることもあるので注意が必要。また、募金を募っている人間が警察の許可証を見せて安心させるということがあるが、それは単に道路使用許可証に過ぎず、募金の正当性を保証するものではない。中には、しつこく募金を迫ったり、千円を出そうとした通行人の財布から五千円札を取ったりするような、悪質な団体も出現した。更にマスコミ報道では募金を集めている者が実はアルバイトであり、その給与は集められた募金の一部から支払われていたというケースが紹介された。
従来から街頭募金活動を行ってきた救世軍(社会鍋)やあしなが募金(あしなが育英会)といった慈善団体に警察からの道路使用許可が下りず、集めた金額が半減したケースも出ているといわれる。
その時々の旬な話題に便乗することが多く、地震や台風などの天災、あるいは北朝鮮による拉致被害者支援と題し詐欺を行うことが社会問題化している(報道各社による災害救援基金は「**厚生文化事業団」「―チャリティ」と必ず自社名を冠しまた専用の受付口座を持っている)。「名前だけ」といいつつ記名後に金銭を要求する団体、募金額に不満を表すような団体、通行人に直接話し掛けて募金を迫る団体は、いずれも詐欺の危険性が高い。
なお、北朝鮮の拉致問題に関しては、被害者本人も救う会も金品を求める活動はしていないので、拉致被害者の名前を出す街頭募金は詐欺である可能性が高い。
「○○ちゃんを救う会」など、臓器移植が必要と診断された重病の子供の治療費 [1] 名目で集められた募金の行方について疑問が提起されることがあるが、募金詐欺や架空募金などとは異なり、会計処理や使途の明朗性が問題とされているものである。
[編集] 葉書や電子メールによる義捐金詐欺
新潟県中越地震の発生後、日本赤十字社や共同募金、自治体を騙り、葉書や電子メール、ビラなどで義捐金を呼びかけ、全く無関係の口座に振り込ませようとする義捐金詐欺が確認されている。これらの組織では葉書や電子メール、ビラでの個別の義捐金の呼びかけは行っておらず、その名を騙った義捐金募集は直ちに嘘である事が明らかであり、警察当局では架空請求詐欺の一つの形態としている。
尚、イーバンク銀行では、口座開設者全員に中越地震の義捐金に関するメールを配信している事例があり、一概に葉書や電子メールを用いた義捐金の呼びかけが全て嘘とは言い切れない。故に本人がその真偽を判別する能力が問われる。
[編集] 脚注
- ^ 現状の日本では、15歳以下の子供について、脳死者からの臓器移植が必要と診断された場合、健康保険制度の対象となる日本国内での移植手術を法的に受けられず、外国へ渡航せざるを得ないため、渡航費や医療費、滞在費などに数千万円からの費用が発生する。子供の臓器移植を始めとする外国での臓器移植については公的な支援制度は一切存在せず、民間を含めても、16歳以下の子供を対象とした産経新聞の「明美ちゃん基金」が挙げられる程度である。