医療費
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医療費(いりょうひ)とは病院や診療所で医療にかかった費用である。日本では保険診療の場合は健康保険から費用が出され、2007年4月現在、原則、3-69歳の患者は医療費の3割、0-2歳の小児は2割(自治体で別途公費補助あり)、70歳以上の高齢者は1割(所得によっては2割)を窓口で支払う仕組みとなっている。なお、美容整形・歯科矯正など保険対象外の自由診療(保険外診療)の場合は全額患者負担となる。
診療報酬の引き下げが続く中、医療機関の経営改善(政策的には医療費抑制)を目的に特定機能病院や一部の民間病院では、既存の出来高払い方式から診断群分類包括評価(DPC)方式を採用している。
先進国最低水準の医療費ではあるが、人口の急速な高齢化に伴い、老人医療費の増加が問題になり、健康保険制度や老人保健制度の見直しが長年議論されているが、政局の影響や各種団体(日本医師会、保険者、企業経営者、労働組合など)の利害が衝突し、抜本的な改革はなかなか進まない状況にある。
また、医療機関の規模の格差による診療報酬の格差の存在や当直制度と診療報酬、労働基準法による矛盾点から救急医療や産科医といった24時間体制をとらないとならない医療制度においての危機が叫ばれている。
[編集] 国民医療費
厚生労働省統計情報部の「統計要覧」によれば、平成15年度の国民医療費は31兆5,375億円(このうち、入院医療費は37.2%、入院外(=外来)医療費は39.2%、歯科医療費は8%、調剤医療費は12.3%)で、1人あたりの医療費は約24万7千円となっている。国民医療費とは、単年度内の医療機関等における傷病の治療に要する費用であり、この額には診療費、調剤費、入院時食事療養費、訪問看護療養費のほかに、健康保険等で支給される移送費などを含むが、健康診断、予防接種、正常妊娠・分娩、固定した身体障害のために必要とする義眼や義肢などは含まれない。