原子力工学
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原子力工学(げんしりょくこうがく)は原子力の工業利用を研究する工学の一分野。
第二次世界大戦後、原子力の平和利用の推進に伴い、それまでの電気工学・機械工学・材料工学・化学工学などをベースに独自の発展を遂げた。
1950年代後半にシカゴ大学のアルゴンヌ国立研究所留学から帰国した鳥飼欣一ら研究者によって、茨城県東海村の日本原子力研究所で、原子力の平和利用に関する研究、原子炉の製造が始まっている。
学問の取り扱う対象としては、原子力エネルギーの工業利用と放射線の工業利用が代表的である。前者は主に核燃料および原子炉の設計・製造技術と安全評価技術が挙げられ、後者は主に工業技術、検査技術および医療技術が挙げられる。
研究対象が多岐に渡り、前述の通り他の様々な工学部門と密接な関係を有することから、学問体系としては広く浅い傾向にある。また近年は原子力の産業利用停滞に伴い、学問としての原子力工学の進展も停滞している。さらに、大学受験生からも原子力工学が敬遠され、大学側では、学科名の変更を行っている(例、東京大学はシステム量子工学科、京都大学は物理工学科)
今後は、核融合炉開発の様な世界的なプロジェクトを基盤とした研究の進展が期待される。