厦門航空機ハイジャック事件
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厦門航空機ハイジャック事件(あもいこうくうきーじけん)とは、ハイジャックされた旅客機が犯人が要求した台湾行きを機長が拒否したため、言い争いになっているうちに燃料が枯渇したために広州に着陸しようとしたために、犯人が激怒し機長ともみ合ったためにハイジャックされた旅客機は着陸に失敗、その後暴走したため空港内の2機の旅客機にも衝突し、あわせて3機が大破したため多くの死傷者を出した事件である
[編集] 事件の概略
1990年10月2日、中国福建省にある厦門航空の厦門発広州行きの8301便(ボーイング737、機体記号B-2510)が若い男性にハイジャックされた。彼は操縦席を機長一人だけを残し他のクルーを追い出したうえで、台湾行きを要求した。しかし機長はその要求を拒否したため言い争いになったが、その間にも燃料が枯渇しかけたため、機長は香港(当時イギリス領)への着陸を妥協策として提案したが拒絶された。そのためいよいよ燃料がなくなったため広州白雲国際空港(旧空港)に着陸しようとしたが、犯人が激怒し機長ともみ合ってしまった。そのため着陸に失敗し滑走路を逸脱したが、途中で駐機場にいた中国南方航空のボーイング707(機体記号B-2402)に衝突した後、次に上海への離陸のために待機中であった中国南方航空のボーイング757(機体記号B-2812)に衝突し、その胴体前部と主翼を切断したうえで、最終的には草地で横転した上で停止した。
結果的にボーイング737の乗員乗客104人のうち生存者20人を除く全員と、ボーイング757の乗員乗客118人のうち47人と、空港内の車両運転手1名のあわせて132名が犠牲になった。なおボーイング707には操縦士が1人が搭乗していたが奇跡的に生命に別状はなかった。原因であるが、ハイジャックを許した中国の航空保安体勢に不備があったことがあげられるが、ハイジャック機が着陸するにもかかわらず、ボーイング757(余談であるが、当機種にとっては直接の事故原因があったわけではないが、初めての死亡事故であった)に離陸のための地上走行を許可した管制塔の危機感の欠如が被害を拡大させたため、中国当局も不備を認めざるを得なかった。
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