ボーイング757
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
|
ボーイング757(Boeing 757)は、アメリカのボーイング社が開発・製造した双発ジェット旅客機である。ボーイング767より一回り小型の旅客機の位置付けで開発された。ボーイング727型機の代替にイースタン航空及びブリティッシュ・エアウェイズ向けに設計され、1983年に引き渡しが行われた。
日系航空会社では、1機も使用されていない。
目次 |
[編集] 開発経緯
1970年代、ボーイング社は7X7計画(後の767)として、胴体内に通路が二列あるワイドボディー機の開発を進めていた。しかし、それより一回り小さい機体開発、特にニューヨーク市のラガーディア空港へ就航可能な胴体内に通路が一列のみのナローボディー機の必要性が認識されたため、開発が開始することとなった。これが7N7計画として1976年より始められた。7N7計画には、1978年に757の名称が付けられ、正式に開発が開始された。
短胴型の-100型と標準型の-200型の開発が予定されていたが、-100型には発注が無かったために-200型のみ開発された。1998年には、胴体を7.11m延長した-300型の開発が行われた。
初飛行は1982年2月19日。1983年1月よりイースタン航空で運航が開始された。
[編集] 特徴
低翼配置、双発ターボファンエンジン装備のナローボティー旅客機である。座席配置は、通路を挟み標準で3-3となっている。搭載エンジンについては、初期はロールスロイス(RR)製RB211-535C ターボファンエンジンのみであったが、後にRR RB211-535Eやプラット・アンド・ホイットニー(P&W)製PW2037、PW2040、PW2043の搭載可能となり、燃費向上・出力向上が行われた。
757と767は、同時期に姉妹的関係で開発が行われたことから、共通点が多い。主翼を始めとするいくつかの部品が共通であるほか、操縦方式・整備方式も似通ったものになっている。
コンチネンタル航空では燃費改善のために、自社の保有する-200型に対してウィングレットを後付けする改修を2005年より行っている。また2006年10月現在、アメリカン航空、ノースウエスト航空そしてアイスランド航空でも同様の改修が確認されている。
[編集] 販売実績
初期の販売実績こそ低調だったものの、後に上向きになり、アメリカ国内を中心に900機以上が販売されている。アメリカ空軍もC-32の名称で-200型を副大統領などのVIP輸送機として運用している。ただし日本では、国内の航空会社で採用するところはなく、海外乗入会社の機材でもノースウエスト航空のグアム・サイパン・広州線の機材や中国南方航空・中国国際航空の機材が飛来する程度である。
しかし、単通路機としては安価な737NGに市場を奪われるなど、ここ最近の売り上げが伸びていなかったため2004年に販売を中止、2005年4月に上海航空向けの機材(通算1050機目)を最後に生産終了した。
[編集] 派生型
2つの基本型が生産された。757-200型機は短胴型で757-300型機より航続距離が長いタイプである。100型は提案されたのみで受注を得られなかったため、生産はされなかった。
[編集] 757-100型機
短胴型。727型機の代替にするために客室数150座席で最初に設計されたが、受注が得られず開発が中止された。
[編集] 757-200型機
標準型。
[編集] 757-200F型機
200型機の貨物専用機タイプである。
[編集] 757-200M型機
200型機の貨客混載機タイプである。この機種は1機のみ製造され、ロイヤルネパール航空(機番 9N-ACB)で使われている。
[編集] 757-300型機
200型機の胴体を7.11m延長した型。
[編集] ビジネス及び軍用型
サウジアラビア政府とアメリカ合衆国空軍は軍高官および政府首脳輸送任務用の757型機を購入した(C-32型機)。また、小型の757型機はビジネスジェット機としても使用されている(マイクロソフト社創業者の一人のポール・アレンなど)。2004年、アメリカ合衆国大統領候補者ジョン・ケリーは選挙期間中、"Freedom Bird"とニックネームを付けた757-200型機をチャーター使用した。アルゼンチンやメキシコなどの大統領専用機としても使用されている。
[編集] 一般的な要目
757-200型機 | 757-200F型機 | 757-300型機 | |
---|---|---|---|
旅客数 (2クラス制) |
200 (12 + 188)人 | 243 (12 + 231)人 | |
旅客数 (1クラス制) |
228人 | 280人 | |
全長 | 47.3 m | 54.5 m | |
全幅 | 38 m | ||
全高 | 13.6 m | ||
胴体 | 横幅3.76 m(キャビン横幅 3.54 m) | ||
貨物容量 | 43.3 m³ | 239 m³(最大グロスペイロード39,780 kg) | 67.1 m³ |
最大離陸重量 | 115,680 kg | 123,600 kg | |
燃料容量 | 43,490 L | 42,680 L | 43,400 L |
航続距離 | 7,222 km | 5,834 km | 6,287 km |
巡航速度 | Mach 0.80 (868 km/h) | ||
エンジン | 双発 ロールスロイス製RB211型、プラット・アンド・ホイットニー製PW2037型、プラット・アンド・ホイットニー製PW2040型、 か プラット・アンド・ホイットニー製PW2043型 high-bypass ratio ターボファンエンジン、 rated at 36,600 lbf (163 kN) to 43,500 lbf (193 kN) thrust each |
[編集] 757 Deliveries
2005 | 2004 | 2003 | 2002 | 2001 | 2000 | 1999 | 1998 | 1997 | 1996 | 1995 | 1994 | 1993 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
2 | 11 | 14 | 29 | 45 | 45 | 67 | 54 | 46 | 42 | 43 | 69 | 71 |
1992 | 1991 | 1990 | 1989 | 1988 | 1987 | 1986 | 1985 | 1984 | 1983 | 1982 | 1981 | 1980 |
99 | 80 | 77 | 51 | 48 | 40 | 35 | 36 | 18 | 25 | 2 | 0 | 0 |
[編集] 事故概略
(2004年現在)
- 機体損失事故:6回、総計568人死亡。
- 他の原因:2回、総計0人死亡。
- ハイジャック:5回、総計282人死亡。
- アメリカ同時多発テロ事件:アメリカ国防総省(ペンタゴン)に突入した航空機及び、ペンシルバニア州ピッツバーグ郊外に墜落した航空機は共にボーイング757である。後者の乗員乗客の行動は映画『ユナイテッド93』で再現された。
[編集] 外部リンク
|
---|
レシプロ旅客機:40A | 80 | 221 | 247 | 307 | 314 | 377 |
ジェット旅客機:367-80 | 707/720 | 717 | 727 | 737 | 747 | 747-400 | 747-8 | 757 | 767 | 777 | 787 |
構想・開発中止:2707 | 7J7 | NLA | ソニック・クルーザー | Y1 | Y3 |