収れん火災
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収れん火災(しゅうれんかさい、収斂火災)とは、凸レンズ状の透明な物体、あるいは凹面鏡状の反射物によって一点に集中した太陽光が、可燃物を発火させることにより発生する火災である。火災の発生原因全体に占める割合は決して高くないが、年間数件~十数件の事例が見られることから、火災の原因としては無視できない。
[編集] 収れん火災の事例
以下に収れん火災の事例をまとめた。いずれの事例においても、思いもよらぬ物が原因となっており、この点が予防を難しくしているといえる。
- アクセサリー取付用吸着盤
- 1991年8月17日、和歌山県で無人の自動車が爆発した。原因は、まずダッシュボードに置かれたライターに充填されたブタンガスが高温により漏れ出し、次にフロントガラスに貼り付けられていたアクセサリー取付用吸着盤が、太陽光を集めてブタンガスを発火させたためだと推定されている。
- 水晶玉
- 1991年3月19日17時頃、東京都台東区の貴金属店でボヤが発生した。このボヤの原因はショーウインドウに置かれていた水晶玉であった。ショーウインドウに差し込んだ太陽光を水晶玉が集光し、水晶玉の置かれていた座布団に焦点を作って、火災を発生させた。
- その他の原因
- 以下も収れん火災の原因となったことがある。
- ビニールハウスの屋根(水が溜まって垂れ下がったもの)
- 調理用ステンレスボウル
- ステンレス容器のふた(凹面鏡状になっているもの)
[編集] 収れん火災が発生しやすい時期
収れん火災は、日差しの強い昼間、あるいは夏に発生しやすいと思われがちであるが、夕方あるいは冬に比較的多く発生することが知られている。夕方や冬の方が、昼間や夏に比べて太陽の高度が低いため、室内に太陽光がより差し込みやすいためであると考えられている。
[編集] 収れん火災の予防
レンズおよび凹面鏡の役割を起こす可能性のある物体は、直射日光の当たらない場所に置くこと、外出時はカーテンを閉めて、室内に直射日光を入れないこと等が有効である。